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こざき亜衣/あさひなぐ(29)
世の中にはまっとうでない人がいる。
ただその人がまっとうかどうか、
決められる人はいない。
自分が常識と思っていることも、
他者にとっては
とんでもなく非常識かもしれない。
周囲の人みんなが
まっとうじゃないと思ったとしても、
ところ変われば当たり前ということもある。
他者は他者、自分は自分。
自分にとっての正義というものはあっても、
全員にとっての正義というものはない。
かろうじて多数決で、
便宜的な正義を決めるだけだ。
だからまっとうじゃない行為、
と簡単に他者を責めることはできない。
けれど自分の領域に踏み込まれれば、
時にそれをはねのけ、
力によって守ることも必要となる。
だからこそ守るべき聖域は
なるべく減らした方がいいのかもしれない。
許容度を広げ寛容に構えた方がいい。
何事も何とかなる。
どうしようにもできるから。
多様性、それが時に敵意であったとしても、
甘んじて受け止める必要がある。
何かにこだわると、
守るべき領域ができやすい。
何かを目指せば、
自然と譲れないものが出て来る。
それでも大らかに行くべきだ。
自分を最小化して、
必要なものだけを究めればいい。
無に近づいてこそ、大は得られる。