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鯨統一郎/三つのアリバイ

爆笑問題の半生を振り返る番組を見た。
おふざけが過ぎ、悪ノリも度が過ぎる。
お調子者もたいがいにした方がいい。
それでも愛される。
誰彼となく喧嘩をふっかけ、
時には裁判も辞さず。
それなのに誰もが面白がり、
誰からも可愛がられる。
なぜか?

鯨統一郎の小説を読んでいると、
ちょっとふざけ過ぎじゃないか。
小説を馬鹿にしてるんじゃないか。
軽薄過ぎないかと思わされる。
冗談ばっかり言って、
いい奴なんだけど信用できない。
クラスには一人はいそうなタイプ。
でも1冊、2冊、10冊と読んでいけば分かる。
トリコになる人が続出。
時々、無性に読みたくなる。

お笑いに対する真剣さがそこにあるから。
おふざけしているその奥に、
純粋でまっすぐな想いが透けて見えるから。

同じく、これほど物語を愛する人はいない。
その愛の深さ、強さに何度も心打たれてきた。
今回、物語は罪に問われる。
被疑者となる。
幾人もの罪人たちの
アリバイを崩してきた東川東子さんが、
今回初めて、愛する物語のアリバイを証明する。
物語が無実の罪に囚われることを救う。
そこにあるのは東子さんの愛であり、
鯨統一郎の愛だ。

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