天童荒太/包帯クラブ ルック・アット・ミー!The Bandage Club
赤ちゃんはなぜ大声で泣け叫ぶのだろう。
身体全体を震わせ、全身を声帯にして、
力限りに大声をあげる。
お腹すいたよ、お尻が濡れて気持ち悪いよ、
痛いよ、かゆいよ、寂しいよ・・・
誰もが持てる力を振り絞る。
それが大人になるにつれ、大きな声をあげなくなる。
他人の迷惑になってはいけない、
大きな声を出すなんて恥ずかしい、
周りの人の迷惑になる・・・
その気持ちのひとつに、声を上げたって、
誰も自分を振り向いてくれない。
誰も自分を助けてなんてくれない。
目の前の問題を解決するのは、自分一人。
誰も助けてはくれない。
自分なんて取るに足らない存在なんだ。
そんな孤独感、寂しさ、諦めといった感情を、
年ととるとともに覚えるのかもしれない。
いつしかそれが当たり前になる。
結局、頼りになるのは自分だけなんだ。
巨大な世界の中であまりにちっぽけで、
強力な社会の中であまりに非力な自分。
そんな押しつぶされない心に、
大きなエールをくれる物語。
あなたのことを見てるよ。
自分を見て、そう言ってごらん。
必ず助けてくれる人がいる。
僕らが助けるから。
優しくって強くって、
それでいて弱さを受け入れてくれる。