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貧困と品行〜とある日雇人夫の物語〜

これはとある日払い労働者のおじさんのものがたりである



先週ゲットしたお寺のブロック塀解体で

言われたお寺に軍手持参で行ったわけだ。

まだまだ30前ぐらいの元請けが作業説明にやってきた!

確かにブロックを解体するが大した量ではない
元請けがとんでもねえ事を言ってきた

「あとね~この墓石をバラバラにハツって、一緒に棄てて下さい」

でたぁ~聞いてねーぞ‼

一緒に仕事受けたジジイが、

そんなことしたら

目が潰れる‼と断ってた、俺だって嫌だわ‼

そしたら元請けは

これもう供養してるので、コンクリガラと一緒ですよだって抜かしやがる

だいたい見えてきたぞ!

テメーの会社の社員が皆、嫌がって断ったから日雇いに外注したんだ!

汚ねーことばっかりしやがって‼

リスクのある仕事は

低賃金の者がやらされ

楽な仕事は高給取りだ

ブロック解体は午前で終わり

結局、午後から墓石を砕いて棄てる事になった
ジジイがさっきコンビニ行って自腹で塩(しかも味塩)を買ってきて、清めてた

60も70もなるじーさんが涙目で手あせてたぞ!俺も拝んだけど!

何かあったらやだもん!

しかし

金は稼がにゃならんしよ!

まったくウンザリダ

じーさんが言うには

大きな墓を買って

古い墓をまとめたので

廃棄した墓もあるが

ほとんどが

墓を見る者が居なくなり檀家消失で廃棄する墓だそうだ

金の切れ目が供養の切れ目ってわけだ!

クソ坊主め!

底辺で生きてる諸君

死んでも格差は終わらない

死後も平等はない!

俺は仏に手を合わせ

生きる為に

五千円を得る‼

なにか間違ってるのか?

後味の悪い仕事は完了した

墓石はコンクリートガラと一緒に再生プラントへ運搬した

重機で更に砕かれ

RCー40という

アスファルトの下の路盤材料となった

この仕事でお寺は

10万円ちかい金を払うと思う、勿論檀家の金だろう

俺とじーさんは

そこから五千円日当を貰ったわけだ

最後のガラをじーさんと2台のダンプで運び下ろしたあと

先に下ろしたじーさんが再生された採石の前にダンプを停めたので

なんだろうと見ていたら


採石に向かって、手を合わせてるのよ‼


熱いものが込み上げて、

俺もダンプを降りて

手を合わせたぞ!

廃棄された墓石だが

以前はその墓石に故人を映し家族が花を手向け悲しんだり話し掛けたり手を合わせたはずだ。

元請け会社の奴らは

手も合わせずに

ゴミ扱いして大金を得たんだ

じーさんは身銭を切って味塩かって何度も拝んでた

もし仕事をした

俺たちにバチが当たるなら

俺は国に帰っても

二度と墓参りはしない!

今日、夕暮れのプラントで

採石に向かって手を合わせる

頭のおかしい

日雇い人夫が二人いたことを忘れないでくれ

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