怪奇エクトプラズム耳クソ妖精
あの時までは、耳掃除が好きだった。
雨が静かに降る梅雨入り直前の19:30の出来事だった
耳に綿棒を突っ込むと口がポカンと開く
反射的にいつもは口を閉じるのだが俺はあまりの耳掃除の気持ち良さに思わず口を紡ぐのを忘れていた
すると喉の奥からなのか舌の裏からなのかエクトプラズムがシュルシュルニョロリと現れた
な、なんじゃこりゃ
声に出そうと思っても口が塞がらず思うように喋れない。
呆気にとられていると、口からポトリと零れ落ち、その謎の白く半透明なエクトプラズムは次第に形を成していき小さな人型になっていった。
目がつき、口が現れ、四肢が完成。
[やぁ、僕耳クソの妖精。君の邪な魂さ!]
「じゃあ、残った俺は善良な天使か?」
[いや、君はもう空洞だよ?残念だったね?]
そう言い残すと半透明の人型は窓を開けて外に出ていってしまった。
俺は口を閉じ、それから3年の月日が流れた。
あれから怖くて一度も口を開いていない。
俺の中の空洞が次にポロリと抜け出し
喋りかけてくるのが怖いのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?