この街の移ろいと変わらない存在。
自分がこの街に来てだいぶ経つ。
元々東京生まれの私は、この街に配属されて以降毎日見ている風景だ。
配属当初は、それはそれは緊張の連続で私はいつもドキドキしていた。
仕事に対しての期待や不安はもちろんなのだけれど、慣れない土地で1人上手くやっていけるのかなぁ…っていう心配がとっても大きかった。
とは言っても配属された頃はお客様が多かったので、そんなドキドキしている暇すらなく、ただひたすらに働いたことを今は懐かしく思うのである。
どんな仕事でもそうだが、今日はやたら忙しいな?と思う時があれば
今日は暇だなぁという時もあるじゃない?私はその間の忙しくもあるけどちょっと暇な感じもある絶妙なバランスの時が1番好きだ。
しかし職業柄、そんなことも言えないので仕事中はなりふり構わず働く。
仕事の内容的にもワンオペなので、私としては助かった。
誰かと常に一緒に働くというのは正直苦でしかない。
なんで?これ私だけでいいじゃん!!って何度も思うし、一緒になった人と話が合わないとか、いちいち話が面白くないとか…そうなったら私は泣いて仕事やめていたかもしない。
泣きながら辞表を書いて、泣きながら上司に渡して、こう言うのだ
「私大っ嫌い話面白くない人!!意味がないもんそんな人と話すの!!」と。
一応先輩から、配属先によっては2組稼働や3組稼働もあると聞いた時、ゾッとはしたがワンオペ稼働で、住んでいるこの場所に当たり前だが今では愛着が湧いている。
もう配属されてから何十年と経つと、街の風景も含め変化はあり時々ふと考える時間も増えた。
新人のころはただがむしゃらにだった私だったが、数をこなすうちに徐々に慣れていき、今ではベテランだ。
仕事内容に変更はないが、お客様の年齢層や男女の比率など大きく変わってきたなとは思う。
これを時代の流れなのだとしたら、私はその波、割と上手く乗りこなせてるぜ?と流し目気味にギャルにウィンク一つくらいくれてやりたいくらいだ。
だが、寂しい変化というのものある。
それは昔に比べて、来てくださるお客様の数はどんどん減っていることだ。
それも時代の流れといわれれば、そうなのかもしれないが…
こればかりは寂しさを感じてしまうのだ。
何度も何度も昔と今を比べてしまい申し訳ないが、おっさんの小言と思ってしい。
昔はみな、お客様同士でお話をして笑ってお帰りになられる。
きっとこの場だけの関係やコミュニケーションもあったろう。
しかし、最近は皆各々のスマホなどを見ながら利用されるお客様がほとんどなので、笑顔が溢れていたあの時期代に戻りたい気持ちも割とあるんだよねぇ、ぶっちゃけちゃえばね?
そんなこと言いつつ、私は今日もいつもの同じ場所に立つ。
最近はお隣さんのロッカーさんとも仲良く話すことも多い。
そうやって自分の職務を全うしていくのだ。
ご時世なのだから障害はなしではあるが、
近年はなるべく人目から避けるように日陰などが多いが、
それでも私は、私を必要としてくれる人の為にここに立つのだ。
そしてお客さまを待つのだ。あなたが来てくれることを。
そんな我が名は、JTの灰皿と申す。