ある女性とブドウの物語
まずはヘッダーの写真を見てほしい。
今回の話はこの写真の物語だ。
念の為プライバシー云々があるので雑ではあるがモザイクはしておいた。
うん、よくみると雑すぎたか。そんなことは今はどうでもいいのだ。
この写真はなんちゃらマルシェみたいなもので出店しているような状況であろうか。
たくさんのぶどうやらマスカットが置いてある。
それはそれはとても立派なものである。
これを作るためにこの女性は血の滲むような努力をしたのだ。
毎日毎日果物の成長を確認しては、無言で頷き家路に急ぐ。
そんな毎日をしているのだ。
彼女は兼業農家なのだ。
ぶどうやマスカットを育てながら、レジンを使ったキーホルダーやアクセサリーを作っては出品している。
今となってはどっちが本業なのか彼女も時折疑問に思っている。
しかし、そんな生活に不満はない。
不満がないどころか、満足していたので日々の生活は楽しんでいたのだ。
今日もまた果物の成長を確認しては家路に急ぐ。
つくづく血の滲むような努力である。
そして家に帰ったらアクセサリー作りに勤しむ。
なんて勤勉な女性なのだろう。
そんなある日のことだった。
種無しのぶどうを作る際にジベレリン処理というものを行うのだが、
その処理方法としてジベレリン溶液を房に漬ける事により種無しのぶどうができるのだ。
彼女はジベレリン溶液ではなくレジンを漬け込んだらどうなるのだろうとふと思ったのだ。
そして彼女は迷う事なくブドウの房にレジンを漬け込んだ。
燦々と降り注ぐ太陽から発せられる紫外線によりみるみる固まるレジン。
彼女はきっと高揚感で心が満たされていただろう。
その日はその高揚感を持ったまま帰宅した。
次の日、彼女はいつもと違う気持ちで朝を迎えた。
それもそうだ、レジンブドウはどうなっているのか
期待と不安に胸を膨らませていたのだから。
今日の彼女の足取りといったらいつもは4ビートだが
この日に限っては8ビート…いや、16ビートだったと記憶する。
そしてその先の光景は彼女の想像を超えるものだった。
成長スピードもさることながら、丸々とそしてハリがある立派なブドウがなっているではないか。
彼女は思わず跪き泣いた。
人目も憚らずに泣いた。
農園なので誰も居ないのだが、人目も憚らずにだ。
そのブドウは今まで見てきたブドウにも似て非なるものだった。
まさに新品種の誕生の瞬間なのだった。
これは彼女が彼女のひらめきにより誕生した新品種のお話である。
画像をスワイプなりしてアップにして見られるのかどうか、noteの仕様に関しては正直わからないが、よく見てほしい。
シャインマスカットの隣にある黒々とし、均一な丸々とした一粒一粒を。
これはまさに芸術と言わずしてなんという。
この「ナガノパープル」はそんな彼女のひらめきと好奇心でできた賜物なのだ。
もし、あなたの街のスーパーにナガノパープルが置いてあった際は思い出してほしい。
彼女の努力を、彼女の挑戦を。
※この記事はもらった写真から妄想をして記事を書くという完全にフィクションの話だ。