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「なんでやらないの?」高3の頃親友から勧誘された一言。

忘れもしない。

8年前、高校3年生の頃、部活の野球を引退し某開店寿司店でバイトをしながら刺激のない日々を送っていた毎日だった。

当時、僕にはサッカー部に所属していた親友が居た。僕と彼にはある共通点があった。
それは集団行動にあまり馴染めず、大勢でガヤガヤするのが苦手な事だ。

でも目立ちたがり屋な所があり、少し教室内では浮いた存在に見られていたかもしれない。
だから僕達は直ぐに気が合って学校の中でも放課後もほぼ毎日一緒に遊んでいた。

ある日、その親友から「お前に会いたいって女の子が居るから今度某駅にあるガストで会う?俺たち(親友の彼女)も一緒に行ってやるから!」と唐突に言われた。

そしてその会いたいと言っているであろう女の子の写真を見せて貰った。

めちゃくちゃ美人だったと記憶している。
なぜこんな美女が僕に会いたがってるのかと聞くと「まあ、、それは当日のお楽しみだよ!」と期待心を持たせる形で誤魔化された。

この時点で7割のアホな男は下心を持ってその子に会える日を待ち望むだろう。

そして当日を迎え、僕は親友と下心と一緒に某駅のガストへ行った。
するとそこには既に親友の彼女と綺麗な顔立ちの女の子が居た。

席に着いて世間話と各々の紹介を軽くした。美人の目の前にいるのは下心のある猿だったとは言え、初めましての相手だったので多少なりとも警戒心はあったのだろう、所謂アイスブレイクタイムだった。
何を話したかは全く覚えていない。覚えているのは美人は親友の彼女の友達という事のみ。

そしてアイスブレイクが終わり、直ぐに本題に入った。
饒舌でハキハキとした話し方をする美人で本題の入り方も世間話の延長戦で自然な流れだった。
確か「休みの日は何をしているの?」と僕に投げかけたので回答をしたのち、僕が同じ内容を質問返ししてスムーズに話し始めた。

「私は休みの日は毎日仕事してるんだー!」と美人が言ったので「何のバイトをしているの?」と尋ねた。

「バイトじゃなくて、商品を友達とかに紹介して、紹介料を貰う仕事をしてるの!」と言いながらバッグの中からファイルを出した。

そのファイルにあったのは確か化粧品か何か女性用のコスメの商品だった。
そしてその次のページを見た時に僕は目を疑った。

タコ足のような図式で紹介料が入ってくるという図だった。

マルチ商法

僕は見た瞬間にこれがマルチ商法であると分かった。中学、高校の何かの授業中に教科書に載っておりこれは怪しい物だという事を断片的に知っていたからだ。

今でこそもう少しマルチ商法、所謂MLM(マルチレベルマーケティング)の知識は当時よりはある。

マルチ商法
合法。商品を販売し、紹介の輪を広げて自分が勧誘したグループの売上に対して一定割合のインセンティブが得られる。
ねずみ講
違法。商品販売など実体のやり取りがなく、お金の取引で紹介の輪を広げていくもの。

マルチ商法はビジネスとして違法性はないが、よく分かっていない人達が更によく分かっていない人達に紹介し自分の小遣い欲しさに小銭稼ぎをして、個人の信用を失墜させている。家庭崩壊に至ったという事例等もググればいくらでも出てくる。

そうした中身を知らない人達が中にはそこそこ影響力のある人ですら周囲に紹介をしてしまう為、金銭的な被害者が後を立たない。


そして、当時の話戻るとその後美人と親友達の推しが半端なかった。
僕は直球質問を投げかけた。
「これってマルチじゃないの?」
即座に
「マルチじゃないよ!」
と美人からの即答だった。

あくまでも紹介らしい。そして紹介料が入るらしい。マルチじゃん…と思いながらも「僕はいいよ」とやんわり断るも同じ話を繰返し、何とか僕に契約させようとする為、埒があかないので親友と一緒にトイレへ立った。

「どうよ?これめっちゃ良い話だろ?なんでやらないの?」と親友が言った。
「お前、なんで。なんでこんな、、とにかく俺はやらないよ。」と僕は目の前に居る親友を前にして裏切られた感覚が強く言葉に詰まりながらもやらない事をきっぱり伝えた。

そこから先はあまり記憶がない。
どう解散してどう帰ったかもショックであまり覚えていない。

あの時、僕が親友に対して感じた失望感は形容し難いものだった。

同時に本当に親友は
●儲かると思ってマルチとは知らずに悪気なく勧めているのか
●マルチと知っていて自分の利益の為に勧めているのか
この2つのどっちなんだと思いながら真相は聞けずに今僕は20代後半を迎えている。

たとえ、仮に前者の真相だったとしても
無知は罪である事を訴えたい。
「知らなかった」では済まされないルールや無知である事による損失が世の中には溢れ返っていると思う。

だから自分がよく分かっていない構造であるにも関わらず、身銭稼ぎの為に友達や家族など大切な人を勧誘してお金を得ようとするのはやめて欲しいし、上手い話だと思ってやってみたら全然稼げなくて初期投資した○十万が無駄になったというのも無くなって欲しいと思いこのnoteを書いた。

たまに損した後に「いい勉強代になった」と言っている人も見かけるが勉強代にしては高過ぎる。
情報過多の時代で取捨選択をする力を付けていった方がその後の人生で損をしない。

僕の尊敬する経営者の人達は
「自身も体型や容姿にコンプレックスがあった。同じ悩みを抱えている人達の課題を解決出来るジムを作りたい。」
「過去に海外のシェアハウスに住んでいた。安い価格で住めるシェアハウスを自分で作りたい。」
「海外を回った時に泊まったゲストハウスが良かった。これを日本に持ち帰って自分で作りたい」
というような世の中の誰かが抱えている課題を解決した上で対価(お金)を貰っている。

よく分からない商材をよく分かっていない人に売り付けるのは美しくないので僕は絶対にやらないし、そういう人とは距離を置くようにしている。

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