欧州のラーメン屋と日本のラーメン屋の違いについて
欧州で100軒近くのレストラン様とお取引をしており、日本人の経営者、現地の経営者、様々な人達とレストラン運営について話をする機会が多い。
特に日本からやってきたオーナー様が口を揃えてお話されている事は共通する点が多くある。オーナーさんから聞いた失敗談も含めてまとめていく。
今後、欧州に出店を計画されている方、ラーメンや以外でも飲食店についてはだいたい共通していると思うので、参考にしてなれば幸いだ。
収益構造の違いについて
基本的な考え方は日本も欧州も同じだ。
客数×単価=売上
日本と欧州で最も大きく異る点それは、回転率だ。
欧州ではラーメン屋といえど、客の回転率は期待できない。欧州の人達はどこのエリアでもゆっくりと会話を楽しみながら食事をするのが外食の考え方だ。これはラーメンも例外ではない。
・麺が伸びるから早くラーメンを食べよう。
・時間が無いからチャチャとラーメンで昼ごはんを済ませよう。
・並んでるから、会話を切り上げて早く席を開けよう。
この様な考え方は存在しない。
なので「客単価をどれだけ上げることができるか」これが売上に大きく左右する。
ラーメンの価格について
ラーメンの価格について以下の画像を確認してほしい。
今回は主要欧州の各国の平均的な価格のレンジを記載していく。
ラーメン屋として利益を出しながら運営を継続できているお店を見ると大体上記の価格レンジだ。日本と比べるとかなり高く見えるが、これは全て内税である事を考慮する必要がある。
ドイツの場合
19%が内税として価格の中に含まれる。
つまり10.0EURで販売している場合、税抜き価格は、8.1EUR(1,023円※1EUR126円換算2020年12月27日現在)
それぞれ出店したい国ごとに税率は異なるので必ず調べる必要がある。
固定費について
欧州の場合、人件費がとても高いので、固定費がかなり高くなる。
また、毎年この最低賃金は上がる傾向にあり、固定費は上がっていく。
その他、家賃なども契約内容によって異なるが、更新ごとに家賃が上がる契約などが多く存在し、固定費は年々上がるという認識を保つ必要がある。
従業員を雇うと、社会保障費なども必要になり、人にまつわる費用が高いのが欧州主要国の特徴だ。
原材料について
主にラーメンの仕込みで使用する、豚のげんこつや、背ガラ、鶏のガラ(首や胴など)は廃棄する部位として定められている国が多いようで、一般的には流通していない事が多い。そのため、地元の肉屋などに直接交渉をする必要がある。
しかし、廃棄する部位の為、交渉次第では無料で手に入る場合もある。値付けされてもかなり格安になることが多い。
廃棄する部位のため安定供給という面で不安が残る。
是非、一箇所ではなく、複数の仕入先を確保する必要がある。
日本では当たり前に流通している背脂なども手に入らない場合もあるので要注意だ。
開業に必要な資金について(ドイツの場合)
ドイツに限っていっても連邦制度のため各州によって法律は異なる。
そんな中、開業にかかった資金をヒアリングしてみると、居抜き物件、内装工事ありで約20万EUR(約2500万円)が相場だ。
レストランの営業権やアルコールの販売権が付帯していない物件だと申請などでかなり時間を要する事が多い。
また、開業に当たり一番のネックが、営業許可が役所からなかなか下りない事だ。夏休みシーズンは大抵稼働していないし、途中で担当者が変わる事もザラにある。そうなると全て振り出しに戻る。このやり取りが起こらなかった事例を聞いたことが無い。もちろん許可が下りない期間はから家賃が発生してしまう。
物件の取得についても日本とはかなり費用が異なるのではないか。大都市の街ナカとなるとこれよりも更に高くなる。
まとめ
日本と欧州では、同じラーメン店でも店舗戦略や費用構成などがかなり異なると思う。また、欧米はラーメンが高いと日本人のブログやSNS等のコメントを散見するが、実際には、かかる費用や税金などが日本よりも高く、日本との物価の違いも大きく影響していると思う。
欧州に希望を見出し、問い合わせを頂くケースも多いがこの様な現状があることも検討要素として捉えて頂けるとより具体的なイメージができるのと思う。