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欧州で成功する日本食レストランの秘訣とは?2つの法則を徹底解説

欧州では、日本食が人気を集めており、寿司屋やラーメン店をはじめとする多くの日本食レストランが各地に存在しています。しかし、これらの店が必ずしも「味の良さ」だけで成功しているわけではありません。本記事では、欧州で人気を集める日本食店の成功法則を2つのタイプに分けて考察します。

本格派の味で勝負するレストラン


まず1つ目は、本格派の味で勝負する日本食レストランです。これらの店舗は、日本でも実績を持つシェフが現地でその技を振るい、クオリティの高い料理を提供しています。現地在住の日本人だけでなく、味にこだわりのあるローカルの顧客からも厚い支持を得ています。このような店舗の特徴を以下にまとめます。

1. シェフが味を徹底管理

本格派の店では、1店舗のみを運営するケースが多く、シェフ自身が味のクオリティを細部まで管理しています。この姿勢が、料理への信頼感を生み出しています。

2. 内装へのこだわり

本格派のレストランは、料理だけでなく内装にもこだわる傾向があります。リッチで洗練された空間を作り上げる店舗もあれば、日本の伝統的なレストランをそのまま再現したような内装の店舗も存在します。こうした空間作りが、訪れる客に「本物の日本」を体験させる重要な要素となっています。

3. ミシュラン星獲得も珍しくない

こうした本格派の店は、ミシュランガイドで星を獲得する例もあります。これは、味と空間が両立していることへの評価ともいえます。

本格派の店舗は数こそ少ないものの、質の高さで群を抜いており、日本の伝統的な食文化を海外に広める役割を果たしています。

日本文化を体験できるテーマ型レストラン



一方、欧州で最も多い日本食店のタイプが、日本文化を強く演出するテーマ型レストランです。これらの店は、必ずしも料理の味で勝負するわけではありませんが、内装や演出による「日本の体験」を提供することで人気を集めています。このタイプの店舗の特徴を見ていきましょう。

1. 内装で日本を再現

テーマ型レストランは、その内装に大きな特徴があります。例えば、パリにあるラーメン店「横丁」では新宿駅の雰囲気を模したデザインが施されています。また、同じ系列店の「築地」では築地市場を再現した内装が特徴的です。こうした徹底したテーマ性が、訪れた客に非日常的な体験を提供しています。

2. 総合的な演出

内装だけでなく、店員のユニフォームや接客スタイルまでが「日本らしさ」を追求しています。これにより、料理だけでなく全体的な体験として楽しむ要素が強くなっています。

3. 味は必ずしも本格的ではない

テーマ型レストランの多くは、料理の味に関して日本人から見て驚くようなクオリティの店もあります。たとえば、現地のロール寿司や揚げ物は、必ずしも日本で一般的な味とはいえません。しかし、ローカル客にとっては、こうした「日本らしさ」を感じられる店舗が受け入れられています。

私の自宅近くにも、中国系の若者が経営する「寿司食べ放題」のレストランがあります。店内には満開の桜の木を模した装飾が施され、料理は揚げ物やロール寿司が中心です。この店の料理は決して高品質とはいえませんが、連日行列ができるほどの人気を誇っています。

欧州日本食市場の現状と未来


現在、欧州の日本食市場ではテーマ型レストランが主流を占めていますが、ここ数年で新しい流れが見られるようになりました。それは、日本からの本格派チェーン店の進出です。特にラーメン店の進出が顕著であり、日本の味を忠実に再現した店舗が欧州でも増えてきています。

この流れにより、これまで「どうせ味の違いはわからない」という前提で内装や演出に頼っていた店舗も、味での差別化が求められるようになると考えられます。今後、欧州の日本食市場では、本物の味を提供できる店がさらに注目を集める時代が来るでしょう。

欧州市場の魅力と可能性


欧州市場には、日本国内では得られないビジネスチャンスがあります。日本は少子高齢化が進み、飲食業界は単価を上げるのが難しい状況にあります。一方、欧州では高単価・高付加価値の商品やサービスが受け入れられやすく、特に日本の高品質な料理やサービスは競争力を持っています。

例えば、日本の飲食店がそのままのクオリティで欧州に進出すれば、味だけでなく、日本のホスピタリティや職人技を重視する顧客層に大きな支持を得る可能性があります。これは、特に寿司やラーメンといった定番メニューだけでなく、より多様な日本料理の分野でも同様です。

情報発信の重要性


欧州の日本食市場について、日本国内では情報が少ないという声をよく耳にします。こうした情報を整理し、日本の飲食業界の方々に役立つ形で発信していくことが、欧州と日本の架け橋になると考えています。今後もこうした情報提供を続けることで、日本の飲食業界の海外進出を後押しできれば幸いです。

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