インデックス投資のバイブルを読んでいる人はS&P500連動のインデックス・ファンドを買わない
インデックス投資のバイブルを読んでいる人はS&P500連動のインデックス・ファンドを買わない
インデックス投資の提唱者であるバートン・マルキールの著書で、インデックス投資のバイブルでもある「ウォール街のランダムウォーカー」を読んでいれば、S&P500ではなく米国株全てをカバーする指数に連動したインデックス・ファンドを買っているはずなのですが、X (Twitter)を見ている限り、S&P500しか知らないかのようなポストが沢山見られます。
これは私の勝手な想像ですが、おそらくインデックス投資の受け売り本やユーチューバー、自称インデックス投資家(リーマン・ショックのような50%の下落でもインデックス投資を続けられるかまだ分からないので)しか見聞きしてなくて、バイブルを全く読んでないからではないかと思っています。
バートン・マルキール(この名前すら知らないかもしれませんが)の「ウォール街のランダムウォーク<第5版>」が初めて日本語に翻訳され出版されたのが1993年(原著は1990年)ですが、既にそのときから米国株全てをカバーする「ウィルシャー5,000銘柄インデックスの勧め」という章を設けてS&P500ではなく米国株全てをカバーするものを勧めています。
このことは現在出版されている「ウォール街のランダムウォーカー<第13版>」でも書かれており、こちらではCRSP USトータル・ストック・マーケット・インデックスなどに連動したものを勧めています。
理由は画像に書かれているとおりなのでそちらを読んでいただくとして、実際にS&P500よりパフォーマンスがいいかのか。
CRSP USトータル・ストック・マーケット・インデックスに連動したETFにバンガード社のバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ティッカーシンボル:VTI)がありますので、これとS&P500に連動したETFであるSPDR S&P 500 ETF(ティッカーシンボル:SPY)の比較チャートは以下の通りです(VTIが設定されたのが2001年5月24日なのでこの日からの比較チャートになります。またバンガード社のS&P500連動ETF(ティッカーシンボル:VOO)と比較したかったのですが、こちらは2010年9月7日設定なのでSPYとの比較にしています)。
VTI(水色)が400.12%(約5倍)なのに対してSPY(ピンク色)は366.70%(約4.7倍)とVTIの方が上でした。わずかな差と思うかもしれませんが、20代から始めたのであれば、定年を迎えるであろう60代まで残り20年前後あるわけですから、差は広がることが考えられます。
では国内で買えるCRSP USトータル・ストック・マーケット・インデックスに連動した投資信託を軽く検索したところ、以下の2つを見つけました。
楽天・全米株式インデックス・ファンド【愛称】楽天・VTI
SBI-SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全米株式)
CRSP USトータル・ストック・マーケット・インデックス以外に米国株ほぼ全て(といっても99%ですが)に連動したものとしてMSCI USA インベスタブル・マーケット指数がありますが、こちらに連動したものとして「eMAXIS Slim 全米株式」があります。
eMAXIS Slim 全米株式
こちらは2023年9月15日設定と若いため純資産総額はずっと少ないですが、こちらでも問題無いかと思います(この記事を書いている時点ではNISA成長枠投資の対象ですが、NISAつみたて投資枠の対象ではないです)。
iDeCoだと投資対象ファンドが限られててこれらを買えないかもしれませんが、NISAや特定口座では買えますので選ばない理由はないと思います。
バイブルを読んでいれば、受け売り本やユーチューバー、自称インデックス投資家のたわ言に耳を貸す必要もなくなり、趣味や家族との団らんなどもっと有効なことに時間が使えるようになると思います。たった1冊で済むのですから、私ならこっちを選びます。
米国以外の投資も考えるべき
21世紀に入ってからの10年間に、S&P500はインターネットバブル崩壊とリーマン・ショックでそれぞれ50%の下落を経験しています。このときに「S&P500のインデックス・ファンドに投資すべき!」なんて言おうものなら頭がおかしいとか気が狂っているなどいろいろ言われると思います。
もし米国株以外にも投資していたらどうだったのか。「ウォール街のランダムウォーカー<第13版>」にその結果が掲載されていますのでこちらを以下に貼っておきます。
この地獄のような10年間の間でも資産を増やすことができました。
将来を約束するわけではありませんが、米国がダメでも他でカバーできて、しかも資産が増えていることを考えると、米国一点集中に固執するのはあまり賢い選択とは言えないかと思います。