営業マンの読解テストII
次の文章を読んで下記の問に答えよ。
顧客Aと営業Bは商談をしている。どうやら顧客Aは営業Bが取り扱う価格100,000円の商品に興味をもっているようだ。
実際の会話
A「他の皆さんはどのような経緯で購入されているのでしょうか?」
B「初めは弊社のHPやポータルサイトを見て頂いて、ご購入される方がほとんどですね。他には口コミやご友人からのご紹介でご購入されるされる方もいらっしゃいます。」
A「なるほどですね。どんな方が購入されていらっしゃいますか?」
B「ご年齢としては、30代の自営業されている方が多いですね。」
A「そうなんですね。ありがとうございます。」
B「それでは手続きの流れをご説明させて頂きます。」とBは手続きの流れを説明した。
A「非常に分かりやすかったです。前向きに購入手続きを進めたいのですが、実は他社の似たような商品があってそれが7万に値引きしてくれるそうなのですが・・」
【問1】
顧客Aが営業Bに「他の皆さんはどのような経緯で購入されているのでしょうか?」「どんな方が購入されていらっしゃいますか?」と聞いた時の顧客の心情について適切なものはどれか?
(a)商品に魅力がない。
(b)購入に前向きだが、多少不安がある。
(c)今すぐにでも購入したい。
【問2】
顧客Aの営業Bに「前向きに購入手続きを進めたいのですが、実は他社の似たような商品があってそれが70,000円だったのですが・・」という言葉について下記①、②の問に答えよ。
①顧客Aの真意について適切なものはどれか?
(a)他社の商品の方が値段が安いので購入したい。
(b)営業Bの商品を買う気はないが、安くなるなら検討したい。
(c)営業Bの商品が第一候補だが値引きしたい。
②この商談の営業Bの提案として適切なものはどれか?
※会社の値引き可能額は40,000円とする。
(a)85,000円で提示する。
(b)値引きは一度断ってから様子を見る方がよい。
(c)値引き可能額一杯の60,000円で提示する。
【問3】
顧客Aが「そうなんですね。ありがとうございます。」と言った後に、営業Bは「それでは手続きの流れをご説明させて頂きます。」と進めた事に対して適切なものはどれか?
(a)「その他、ご質問ありますか?」と質問を頂く方がよい。
(b)「また、このようなご質問を頂くことが多いです。」と質問例を提示する方がよい。
(c)この進め方で問題無い。
【回答・解説】
【問1】(b)、【問2】①(c)、② (b)【問3】(b)
【問1】回答(b)
顧客Aが営業Bに「他の皆さんはどのような経緯で購入されているのでしょうか?」「どんな方が購入されていらっしゃいますか?」と聞いた時の顧客の心情について適切なものはどれか?
(a)商品に魅力がない。
(b)購入に前向きだが、多少不安がある。
(c)今すぐにでも購入したい。
【解説】
顧客が実際に購入した客層や経緯を質問する心理としては、「不安」であると言える。自分の判断に自信が持てない場合に、「周りの人はどうしているか」を正しいものとして受け入れてしまうような同調心理と似ており、この場面でも購入に前向きだが、多少不安がある(b)が適切です。(a)は商品に魅力が無ければ、そもそも商談の場にいないので適切でない。また(c)は、不安を考慮すると適切でないと言える。
【問2】回答①(c)、②(b)
顧客Aの営業Bに「前向きに購入手続きを進めたいのですが、実は他社の似たような商品があってそれが70,000円だったのですが・・」という言葉について下記①、②の問に答えよ。
①顧客Aの真意について適切なものはどれか?回答(c)
(a)他社の商品の方が値段が安いので購入したい。
(b)営業Bの商品を買う気はないが、安くなるなら検討したい。
(c)営業Bの商品が第一候補だが値引きしたい。
【解説】
この問題を解くには、顧客Aの商談に来るまでの経緯を辿る必要がある。ポイントは、「なぜ他社商品の値引き情報を知っているのか?」というところ。ここで想像できるのが、他社商品の商談をしてきた可能性が高い。顧客は2社以上商談をする場合、本命は基本的に最後にすることが多い。あなたも顧客の立場になって考えてみるとご理解いただけるかと思うが、「第一候補の話を聞く前に、第二候補の話も聞いてみよう」が自然な流れで、「第一候補の話を聞いてから、第二候補の話を聞こう」とは特別な理由がない限りなりにくい。なので(c)が適切である。
②この商談の営業Bの提案として適切なものはどれか?回答(b)
※会社の値引き可能額は40,000円とする。
(a)85,000円で提示する。
(b)値引きは一度断ってから様子を見る方がよい。
(c)値引き可能額一杯の60,000円で提示する。
【解説】
①の解説通り、顧客Aは営業Bの商品が第一候補の可能性が高い為、(b)の値引きは一度断ってから様子を見るのが適切です。(a)は他社商品と自社商品の差額30,000円の半分(お互い15,000円ずつ譲歩)の85,000円だが、値引きを一度断って様子を見てからの提案でも遅くない。(c)の値引き可能額一杯の60,000円で値段勝負するのは、顧客Aに「商品に自信ないの?」という疑問が生まれるリスクがある為、危険な提案です。
そもそも前提として、値引きして購入していただくより自信を持って値引きを断ってご購入頂く方が顧客満足度は得られやすい。値引きを受けることは、「もっと値引きできたのでは?」や「商品に自信がないの?」という疑問が生まれるので、そこから顧客満足に繋げるのは非常に困難です。
【問3】回答(b)
顧客Aが「そうなんですね。ありがとうございます。」と言った後に、営業Bは「それでは手続きの流れをご説明させて頂きます。」と進めた事に対して適切なものはどれか?
(a)「その他、ご質問ありますか?」と質問を頂く方がよい。
(b)「また、このようなご質問を頂くことが多いです。」と質問例を提示する方がよい。
(c)この進め方で問題無い。
【解説】
問1の解説通り、不安が残る顧客Aに対しては営業Bは不安を解決に徹すことが大切です。(a)の「その他、ご質問ありますか?」という問いかけは、顧客Aの思いつく範囲に寄り添っているだけです。どういうことかと言うと、顧客は「自分が気付けないところで不安要素があるのではないか?」という不安を抱えているので、そこに寄り添うことが大切です。(c)でも問題無いケースもあるが、ここで不安を解決できれば、最後に値引きをお断りしたとしても、顧客の購入のハードルが下がります。よって、(b)の「また、このようなご質問を頂くことが多いです。」と質問例を提示するのが適切です。
この度は、営業マンの読解テストIIに挑戦して頂きありがとうございます。
営業経験が長い方は既にお気付きかと思いますが、この読解テストは、回答が100%正解とは限りません。
その場の雰囲気や接客の流れ、その時の顧客の体調、顧客の感じている営業マンの印象など、様々な要因が絡み、同じような場面が訪れてたとしても正解が不正解となる場合もあります。
この営業マンの読解問題の目的は、分かりやすい場面でも「様々なことが想定される」という心構えを構築することを目的としております。
これから営業される方や、営業マニュアルなどの型にはまり過ぎてなかなか成果に繋がらない営業マンにお役に立てれるような問題を今後も作成して参ります。
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