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[フェルメールの周辺]楽器と小犬とメツーの絵画
生前フェルメール以上に有名だったアムステルダム派のハブリエル・メツーだが、古楽器(もちろん当時は同時代楽器)を描いた絵を残している。絵画の小道具として楽器も重要だが、静物画のように単に置かれているのではなく、手に取ったり演奏したりする姿が書き込まれている。楽器の在りし日の姿をとどめているのはなんだか嬉しくなる。
若い女性がヴィオラ・ダ・ガンバを演奏している絵は、視線が別な方を向いていてちょっと奇妙な感じを与える。隣で犬がポーズをとっているのもおもしろい。演奏に身を入れているように思えないところが、いかにも背景や小道具としての楽器なのだ。
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それに比べて、若い女性が作曲をしている姿を描いている絵はおもしろい。ここでリュートのような楽器を演奏をしているのは左側の女性だが、楽想をねっているらしい真ん中の女性の表情は真剣である。背後の若い男性が楽譜を覗き込んでどことなくニヤついているのも、作曲内容を見下しているのかもしれない。そして足元の小犬が飛びかかるようなポーズをとっている。
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弦楽器だけでなくヴァージルもあって、こちらは物語性が豊かに使われている。突き当りに開放された窓があって、そこから斜めに光が差し込んでいる。奥の使用人の女性は、聞き惚れているというよりも、聞き飽きたのかもしれない。奥の絵画がカーテンで隠されているのも意味深である。手前がくらいのだが、足元に片方の靴が落ちていて、やはり小犬がポーズをとっている。小犬は愛玩動物というだけでなく、三枚をつなげると、何事かを示すものに思えてくる。楽器と小犬の関係が興味深い。
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