当時フェルメールより有名だったメツー
どんな芸術家も、同時代の人気や評判が死後にも保たれるわけではない。生前は飛ぶ鳥を落とす勢いだったものが、パタリと消え失せることはよくあるし、興味深いことだが、死後になって名声がますます高まる人もいる。バッハやフェルメールなどもさしずめその一人で、今や世界的な名声を獲得しているが、かつて忘れされていた時代があったなど、信じられないほどだ。
デルフト派のフェルメールが生きていた時代、彼よりも評判が高かったのが、アムステルダムで活躍していたハブリエル・メツーである。なかでも有名な2枚の絵を見ると、あたかも彼がフェルメールを模倣したかのように思えてくる。
左からのライティングといい、地球儀などの小道具、さらに市松模様のような床など、すぐにフェルメールを連想してしまう。そして、この絵の続きとなるのは、もちろん手紙を受け取った女性の絵である。
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