トランプ大統領の空間的想像力とフランク・キャプラ

フランク・キャプラ監督をBSP4Kで続けて放映していたが、なにやらトランプ大統領への揶揄にも見えてきた。ガザに対する発言を聞くと、トランプ大統領がもつ「再開発」不動産王としての想像力は、空間的なものに限定されているのかもしれない。歴史性を剥ぎ取ることで、平らな土地にして、そこに新しい建物を建てる論理しかもっていないわけだ。
キャプラ作品が後世に与えたのは、そうした「開発」や「再開発」への疑念だった。『スミス都へ行く』1939のモンタナのダム開発をめぐる不正とその停止は、テネシー川流域開発公社問題ともつながっているはず。


ダムをめぐる問題系は『インディー・ジョーンズ』4作目、『オー・ブラザー!』『アナ雪2』などとして展開していく。トランプがカリフォルニア北部のダムを放出させたが、南の山火事の消火には何の役にもたたず、これから夏の干ばつを招くことになる予想が立てられているのも、歴史性を何も学ばない姿勢にあるだろう。
キャプラの『素晴らしき哉、人生!』1946は宅地開発をめぐる映画として重要なわけだが、それ自体が「やり直し」を時間的に問い直す歴史性を問題にしていた。それを引き受けたのがスピルバーグの『未知との遭遇』であり、そして露骨な形で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作がある。


植民地主義とは歴史性を圧殺して空間的に”Make it new"を行使する行為なのだろうから、トランプがそうした発想をもっても不思議ではない。グリーンランドをよこせ、とか、カリブ海名称問題にもつながる。

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