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『オセロ』のイアーゴとサンティアゴ・デ・コンポステーラ
テレビでやっていた「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」巡礼。compostelaは俗解では「星の荒野」だが、どうやら「埋葬地」らしい。
Santiagoは聖ヤコブ(James the Great)。Iagoはもちろん『オセロ』に登場する「悪人」。発表された1603年といえば、ジェイムズ一世が王位についた時期でもある。
当然ながら、この関係を巡る読解はすでにある。
Eric Griffin "Un-Sainting James: Or, Othello and the "Spanish Spirits" of Shakespeare's Globe"(1998)
20世紀末の関心を踏まえ、グローバルとローカルをめぐる関心から、スペインとイングランドのネーションの関係が『オセロ』にどのように描かれているかを考察する。無敵艦隊などを経てスペイン帝国との敵対関係はプロテスタントとカトリックの対立として存在していた。それを調停したのが、ジェイムズ一世だったわけだが、そうしたなかで、アメリカのメキシコ国境線での問題を、ラス・カサスを媒介にして重ねてみせる。
Grace Tiffany "Shakespeare and Santiago de Compostela"(2002)は、『終わりよければすべてよし』『オセロ』『シンベリン』におけるスペインの聖者との関係を扱っている。
『ドン・キホーテ』の一節が引用される。
”Sancho replied, "I would like your grace to tell me why Spaniards, when they do battle calling on Saint James the Moor-Killer, say, `Sant Iago, and close [ranks for] Spain!'"
ここに出てくる”Saint James the Moor-Killer”は「ムーア人殺し聖ヤコブ(サンチャゴ=聖イアーゴ)となる。つまり、イアーゴとオセロの関係である。
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