『それぞれの孤独のグルメ』とシュニッツラーの『輪舞』
現在放送中の『それぞれの孤独のグルメ』は、毎週中心となる人物が替わり、そこに井之頭五郎がからむ展開となっている。キャラクターの立場も多彩なのでそれも楽しめるし、五郎のつぶやき声もあるので、今までのファンもそれなりに納得できるようにしている。「ふらっと久住」を省いたので、それをドラマのなかに持ち込んだとも言える。
問題は次週への引き継ぎであって、テレビのなかや通りすがり的な形で次につながっている。これはすぐにアルトゥル・シュニッツラーの「輪舞」を思わせた。ウィーンの世紀末が見出した形式がこんなところで応用されている。もとは、順列組み合わせのように10人がズレていく話だが、今回のドラマはそれが10話で10人ということだろうか。
『団地のふたり』のビーダーマイヤー様式といい、こうしたウィーンの洗練が、案外現在のドラマにも影響を与えているのだろう。