2024年度IPS実践研修会⑤「トライ&エラー」
9月から開催されたIPS実践研修会ですが、5回目を迎えた11月20日で最後になりました。今回は1名欠席の計4名の参加でした。
尚、欠席の場合でも、後日に都度、研修会の録画映像を参加者に配信しています。欠席者は講義の取りこぼしを防ぐため、参加者は復習を兼ねて活用して頂きたいと思ってのことです。
前回の振り返り~クライエントの可能性~
前回の振り返りから講義は始まりました。講師からは「IPSは、働くことが困難は人のためにある」との話から、支援者がクライエントの支援目標を立てる(個別支援計画等)ときの話がありました。
目標を立てるには「~しない」「~し続ける」といった文言は避けるべきであるとのことでした。
理由は、「~しない」「~し続ける」を目標に立てると、達成が不可能になるからです。例えばアルコール依存症の人に「酒を飲まない」という目標を立てたとします。仮にその人が、10年禁酒を続けたとしても、10年と1日目に酒を飲んでしまっては、計画した目標は失敗になってしまい、苦労した10年は無駄になってしまいます。
同様に、「健康の為、走り続ける」という目標も1日でも休んでしまっては、計画は失敗になってしまいます。
目標を立てるコツは「~する」など能動的なものにするべきです。アルコール依存の例の場合、その人がお酒を飲みたくなる夕刻などの時間帯に「散歩をする」などが例となります。その際に期間を決めて、振り返り時に次の目標を決めていくなど、変化のある目標にすべきです。
私たちは、困難な人に対してつい「~しない」等の目標を設定してしまいがちですが「達成」する目標を計画することで、クライエントの可能性を広げる支援をしなければなりません。
トライ&エラー
講師より「挑戦しない」「エラーしない」の反対はなんだろうか? と問いかけがありました。受講者からは「上手くやる」「綿密にやる」などの意見がでました。
また「挑戦は成功のためにやるのだろうか?」「挑戦と希望の関係性はなんだろうか」とも問いかけがありました。
願いを叶えたいという想いから、人は主体的となって動いて経験を得ていきます。例えば、会社に応募したけれど、すでに採用者が決まっていたとします。結果、気落ちしたり、悔しい思いもするかもしれません。だけどその結果は就職活動したからこそ得たものなのです。得られた経験から次は早めに応募するかもしれません。悔しさから、より就活に集中していくかもしれません。
エラーは終わりを意味しないのです。支援者は、そのことを意識し本人を励まし応援し続けるのです。働いた先にある充実を目指すのがIPSであるからです。
最後に、講師から受講者に全体の感想を尋ねました。参加者より「現在支援に行き詰まりを感じているが、講義で問われたことを自分自身問い続けて行きたい」「講義を受けたことで誰かの一助になりたい」などの声が聞かれました。
講師より、(5回に渡る)講義はテクニカルな支援ではなく、クライエントひとりひとりの希望、願い、夢などを支えるために、支援者がどう考え続けるか問いかけのものであり、これからも皆さんも誰かの一助のために考え続けてください。誰かの夢の一助になれるよう、来年も研修会を実施すると思います、との言葉で9月から始まった今年度のIPS実践研修会は終了しました。
全体の感想と、IPS全国大会について
今回の講義は、外部参加者1名と法人参加者4名となりましたが、皆さん真剣な表情で講義に臨まれていたのが一番の印象でした。仕事が終わってからの講義は、体力的にも大変だったのではないか、と思います。その中で参加者の「支援」に取り組む情熱を感じた研修でもありました。
道外の方々から「オンラインなら参加したかった」との声も聞かれました。来年はオンラインでの参加も検討していく必要もあると感じました。
そして、2026年のIPS全国大会は札幌で行われます。すでに3回の打ち合わせが行われました。
より多くのクライエントが働いた先にある充実を目指せるよう、その一助になるべく、質の高い全国研修会の開催を目指して、私たちも挑戦していきます。
昨年の研修会はこちら
前回のIPS全国研修会 東京大会はこちら