見出し画像

大学の単位について考えてみる

(中身がほとんどない)初記事を投稿してからはや3ヶ月。突然、「大学の単位についての記事を書こう」と思い、本記事を執筆することにした。

大学の単位の定義

まずは、大学の単位の定義について確認する。単位の定義は、大学設置基準第21条に記載されている。以下にその条文を示す。

第二十一条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。
2 前項の単位数を定めるに当たつては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。
 一 講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。
 二 実験、実習及び実技については、三十時間から四十五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて一単位とすることができる。
 三 一の授業科目について、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法の併用により行う場合については、その組み合わせに応じ、前二号に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。
3 前項の規定にかかわらず、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、単位数を定めることができる。

要約すると、
‣1単位あたり45時間の学修時間(授業時間+予習、復習など授業時間外の学修)
‣講義、演習は1単位あたり15~30時間の授業時間
‣実験、実習、実技は1単位あたり30~45時間の授業時間

となるように授業内容を構成してくださいね(ただし例外あり)、ということになる。

後の議論で用いるため、第22条(一年間の授業期間),第23条(各授業科目の授業期間)についても確認しておく。

第二十二条 一年間の授業を行う期間は、定期試験等の期間を含め、三十五週にわたることを原則とする。
第二十三条 各授業科目の授業は、十週又は十五週にわたる期間を単位として行うものとする。ただし、教育上必要があり、かつ、十分な教育効果をあげることができると認められる場合は、この限りでない。


1単位あたり45時間とは

1単位あたり45時間の学修を必要とする、と言われてもすぐにはイメージが湧きづらいだろう。そこで、単位数・授業時間・授業期間を仮定して、「1単位あたり45時間」が意味するものを読み解いていく。


【仮定1】標準的な大学1年生(講義、演習科目のみ受講)
単位数(半年): 20
授業時間(2単位1回分): 1.5時間(90分)
授業期間: 15週

この場合、1単位あたりの授業時間は11.25時間(※1)、授業外学修は45-11.25=33.75時間となる。これが20単位あるので、総授業時間は225時間,総授業外学修時間は675時間,総学修時間は900時間、ということになる。
授業時間は1週間あたりで15時間、1日あたりだと3時間(週5登校の場合)になり、授業外学修時間は1週間あたり45時間、1日あたり約6.4時間となる。
1日あたり約6.4時間の授業外学修が必要だと聞いて、驚いた方も多いのではないだろうか。

※1...後述するが、実際には1単位1回分が90分の授業、3単位1回分が180分の授業といったものが混在している場合があるため、授業時間はもう少し長くなる。


【仮定2】標準的な大学4年生(卒業研究のみ)
単位数(1年間): 9
授業時間: ?(まだ大学1年生なので分かりません...)
授業期間(1年間): 30週(?)

9単位なので、総学修時間は405時間、1週間あたりにすると13.5時間となる(1日あたりだと約2時間)。実際には、これよりも多くの時間がかかると考えられる(学校や学部によっても異なるが)。


【仮定3】遠隔授業が多いのをいいことに、単位を取りすぎた大学1年生(私です笑)
単位数(半年): 31
授業時間: 2単位1回分(90分)*11科目+1単位1回分(90分)*3科目+3単位1回分(120分,180分)
授業期間: 約15週

総授業時間が約390時間、総授業外学修時間は約1005時間、総学修時間は1395時間となるので、1単位あたりの授業時間は約12.6時間となり、授業外学修は45-12.6=約32.4時間となる。
授業時間は1週間あたり26時間、1日あたりだと5.2時間(週5日授業)、授業外学修時間は1週間あたり67時間、1日あたりだと約9.6時間となる。

週5で大学に通いながら、毎日10時間弱も授業外学修を行うというのは非常に困難だと考えられる(おそらく、私にそんなことはできないだろう)。大学設置基準を定めるにあたって、半年で30単位も取得するといったことは想定されていなかったのかもしれない。


実際はどうなの?

授業内容や大学、本人のやる気にもよるが、1単位を取得するのに45時間以上学修するといったことはほとんどない(多分)。私の場合、今のところはどんなに忙しい授業でも、授業外学修時間が40時間を超えたことはない(2年次以降、授業外学修時間は増加していくと思われるが)。


さいごに

ここまで、大学の単位について簡単に述べてきたが、単位を取得することが(定義上は)容易ではないことがわかった。
次回に続くかは未定だが、続くとすれば「学業で忙しい大学生がアルバイトをする時間的余裕はあるのか」ということについて書きたいと考えている。


出典
大学設置基準 | e-Gov法令検索, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331M50000080028#Mp-At_21, 2021年11月12日アクセス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?