RNIB(イギリス王立盲人協会)に行ってきた その1
社会福祉士であり視覚障害リハビリテーションワーカーでもある筆者が、イギリスの視覚障害者支援について2018年に視察研修したことを書いています。
さて、イギリスの視覚障害児・者に対する多様な生活支援の実情と支援者の関わりについて調べる、ということで、まずはイギリス最大の視覚障害者支援団体であるRNIBを訪問しました。正式名称は Royal National Institute of Blind People で、日本ではイギリス王立盲人協会等、いくつかの呼称があるようです。
RNIBについて少し紹介します。
1868年に設立され、2018年に創立150周年を迎えたイギリス最大の視覚障害者支援団体。本部はロンドン、ハリー・ポッターシリーズで有名なキングスクロス駅近くにあり、駅から歩いて10分くらいの便利な場所です。
職員数はグループ全体で約2000名(2018年)、視覚障害者が多く働いており、RNIB周辺では白杖や盲導犬を使ってひとりで歩いている視覚障害者をよく見かけました。RNIBの事業はすべての世代の視覚障害者に向けたもので、拡大文字や点字の書籍出版、Talking Books(録音図書)作成、学校経営、教育支援、雇用支援、リソースセンター(福祉用具の開発・販売)、視覚障害予防、ピアサポート、ICT機器の使い方支援、電話相談等、イギリス各地で幅広く展開しています。
詳しくはRNIBのWebサイトをご覧ください。
最初にこのサイトを見た時、なんてスタイリッシュなんだろう!福祉っぽくなーい!と思いました。人を引き付けるにはこういうデザインやイメージ戦略も大事ですよね。私はこっちの方が好み。
なおタイトルに書いた ”See differently”はRNIBの2018年からの新しいモットーです。訳すと「違う風に見よう」でしょうか。
対応してくれた職員のHannahさんによると、これは、
・視覚障害者は世界を違う風に見ている(それを知ろう)
・視覚障害者に対する見方を変えよう(偏見を取り除こう)
という2つの意味が込められているそうです。
このキャンペーンの動画がユニークなので見てください。思わずニヤッとします。
RNIBが開発した視覚障害者向け便利グッズは日本でも売っています。
液体インジケーターです。
(※写真は日本盲人会連合 用具購買所のWebサイトから引用しました)
コップ等に引っかけて使います。
黄色い箱の中にボタン電池が入っていて、その本体から金属製の棒がにょきっと3本出ていてコップに引っかけられるようになっています。3本中、真ん中だけやや短いのですが、そのちょっとした工夫のおかげで、コップに液体を注いでいくと音と振動で液面の大体の位置を知らせてくれるこの装置、音や振動が2段階に分かれていてうっかりこぼしてしまうことがないというすぐれもの。この商品は視覚障害者だけでなく、視覚と聴覚の障害がある盲ろう者にも紹介したら喜ばれました。ネット通販で買えます。
そろそろ本題に入ります。RNIBが実施する事業の中から本部で実施しているサービスをいくつか紹介します。
とかいいつつ、長くなると何ですので、今回はここまで。
次のnoteをお楽しみに。