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イギリスの特別支援学校にはリハビリ専門職がいる その1

社会福祉士であり視覚障害リハビリテーションワーカーでもある筆者がイギリスの視覚障害者支援について2018年に視察研修したことを書いています。9回目はロンドンにあるリンデンロッジスクール(Linden Lodge School)を見学した話その1です。

リンデンロッジスクールとは

ロンドン自治区の一つであるワンズワース区にあり国立支援学校として指定されている特別学校48校の1つで、日本でいうところの特別支援学校です。もともとは視覚障害児のみを対象としていましたが、現在はイングランド南部の約28の自治体から視覚障害、聴覚障害、盲ろう、学習障害や複雑な健康ニーズを抱える2歳~19歳までの生徒145名(2018年)が通学や寄宿舎を利用して学んでいます。

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写真は学校最寄りのSOUTHFIELDS駅のホーム。ホーム端には点字ブロックがきちんと貼られています。テニスで有名なウィンブルドンも比較的近くです。学校は駅から坂道をちょっと登った所にありました。

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写真はリンデンロッジスクールの入口です。趣ある。

この学校はワンズワース感覚サポートサービス(Wandsworth Sensory Support Service; WSSS)の傘下にあります。WSSSはワンズワース区が行うサービスであり、リンデンロッジスクール、聴覚障害をサポートするHearing Support Service、視覚障害をサポートするVision Support Serviceから構成され職員総数は約250名。どの部門も同じリンデンロッジスクールの敷地内にあり、WSSSに所属する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、専門看護師といった医療系専門職と一体となって生徒や家族、また、その地域に住む支援を必要とする方への教育・医療・介護といった支援を行っています。手厚いですね。ただセラピストたちは国民保健サービスNHSから派遣されており、予算の関係上、経験の浅い人が多いそうです。もちろん、われらがROVI(Rehabilitation Officer for Visual Impairment)もチームの一員です。あ、ROVIはいわゆる歩行訓練士や視覚障害リハビリテーション担当者という役職です。私も同業です。念のため。

このような組織だとタテ割りではなく広く横断的にサービスを必要とする人や家族を支えることができますね。いい発想。日本もこうあるべきでしょう。某国立施設で働いていた時「施設の中心は法律であって人ではない」ように感じていましたので、人を中心に考えるならWSSSのような組織ができるんだろうな。

日本でも近年、生徒数の激減により視覚支援学校(盲学校)と聾学校が統合される地域が増えているようです。これはいい流れなのかもしれません。


ムーンアルファベット!

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写真は校内案内板。矢印の横に注目です。ちょっと分かりにくいですが、点字の下にはムーンアルファベットという触読文字が記載されています。

私はイギリスに来るまで全くこの文字のことを知りませんでしたが、これは英語圏で主に使われる、浮き上がらせた形を指で触ることで読み書きする方法で、形はアルファベットに似ており、小さな点で表される文字である点字より習得が簡単とされています。実際どのくらいの方が利用されているんでしょうね?

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これはRNIB作成のムーンアルファベットカードです。エンボス加工されており指で触って文字を学ぶことができます。

日本語のWikipediaではムーン・タイプと書かれてますね。もっと詳しく知りたい方はhttp://www.moonliteracy.org.uk/をご覧ください。


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次回はリンデンロッジスクールのROVIに校内を案内してもらった話です。日本の学校とはちょっと違うことがまだまだ出てきます!



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Kumi
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