![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94765741/rectangle_large_type_2_13cd7fc7ff41467164e91d8fafcf7383.jpeg?width=1200)
助産
助産士は、時に思いもしない所から、拠り所を産んで呉れる。
それは素晴らしい子供を取り上げて下さるかもしれないけれど、出てきたものは腐った嬰児かもしれない。
しかし誰かがこう、口を広げる役割を担わなければならない。
そうでもしないと、大きく成り過ぎた塊は皮膚を搔っ捌いて、血まみれにして了う。
塊は気づかぬうちに、否、気付かない素振りを続ける限り、どんどんと大きく成る。どんな形で、姿で、中身なのか。外からでは絶対に分からない。
ダイアモンドでさえ、尿道に入って仕舞えば只の苦痛で或る。
塊を取り除けるのは、近くに今いる人かもしれない。縁もゆかりもない他人かもしれない。縋れるよすがは、笑える藁は、存外、自生していたりする。
助産の人を援助するのも、へそを曲げて体裁上は嫌いと言うのも、それぞれ。共に堕ちて行く人もある。
援助だとか互助だの謳う人にだって、出来ない手術はある。
国際テロ組織にだって、出来る手術はある。
たらい廻しにされて、果てに堕ちた先がユートピア、なんてこともある。
天地を逆転して仕舞えば、あら不思議、弱点属性の攻撃が、ふと平気に、却って得意になることさえしばしば。
逆も然り、ではあるけれど。
すべての、誰かの助産士に捧ぐ。