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子どもの本音を聞くために〜【安心安全】の場と聴き方のコツ

親として子どもに向き合うとき、
教師として子どもに向き合うとき、
塾の先生として子どもに向き合うとき、

経験上、皆さんは
「やれと言ってもやらない」ことは重々ご承知のことと思います。
命令、指揮することは、なかなか相手に届かないですよね💦

人は、自分の「感情」が動かない限り、行動できないのです。
これは大人でも子どもでも同じ。

ただ、なかなかやらない子どもだけが心配というわけでもありません。

実は、素直にやる子も、それがちょっと心配というケースがあります。

自分で咀嚼して判断した結果、行動変容が起きているならいいのですが、
親や教師に言われて、「そっか、それが『良い』ことなんだ、
『正しい』ことなんだ」と、
思考することなく受け入れて実行してしまっていると、
徐々に「自分はどう思うのか」がなくなってしまうケースがあるからです。

こうして「大人が安心できるいい子」で成長すると、
きっといつか、「あれ?」と気づいて、
そこから”大人の自分探し”をやり直す苦しい旅を始めることになり兼ねないからです。

いずれにしても、子どもに向き合うとき、頭ごなしに命令しない方が、本来のその子らしい成長を促すことになることが多いのは事実でしょう。

となると…? さて、どう向き合いましょうか。

【安心安全】の場って?

コーチングでは、相手は常に”自分で成長するポテンシャルを持っている”。そしてコーチはそのことを無条件に信じる、という前提があります。

ただ、何かが邪魔していて、いま伸び悩んでいるだけである。
そんな考え方が土台です。

よって、自分の主観でこうしろ、ああしろという指示は出てきません。
対等な人間同士として、「話をする」といった関わり方になります。

この話し合いの場の軸になるのが、「安心安全」です。

安心安全を感じられる場でないと、親や教師が関わっても、子どもは無意識に「不安」を感じます。不安を感じた人間は、その「不安」から一刻も早く逃げ出そう、回避しようとする意識を持ちます。

そこに出てくるのが「ウソ」や「誤魔化し」、「言い訳」です。
中には、親や教師が喜びそうな「お利口さん」の正解を口にすることで、その場を終わらせようとするケースもあります。

これでは、その子の問題解決にならない、、、
コーチングでは、子どもの本心と向き合って、本来のその子の伸びやかな成長を支援することを目指します。そして、その本心を引き出すために、【安心安全な場】が必要条件であると考えています。

【安心安全な場】のつくり方

1、距離感や位置どり

まず、距離感。あまり遠いと声を張って話すことになるので、オフィシャル感が強すぎて、心に浮かんだことをそのまま言葉にして出すという気持ちになりにくいですね。かといって、近すぎると圧迫感があったり、ストレス緊張を与えてしまったりします。

「このくらいの位置でいい?」
「気持ちいい距離感って、このくらいで平気?」

と子どもに聴いてしまうのが一番良いと思います。

位置については、真正面は「対立の位置」になるので避けましょう。
また横並びは、友人どうしで会話するときに近く、心理的な安全性は確保できますが、非常に楽すぎて、お互いに無責任な会話になりがちです。

しっかり向かい合って話をしようというときには、90度がおすすめです。

でも、最終的には「ここで平気?」「話しにくくない?」と子どもに聴いてあげてください。

2、ペーシング

相手を安心に導くためには、聴いている側と話している子どもの「ズレ」を小さくすることが重要です。

共通点をたくさん作っていくと、人間は安心を感じていきます。

例えば、

✔️ 呼吸のスピード(吸うとき、吐くときもあってくると良い)
✔️ 声の大きさや高さ・低さ
✔️ 話すスピード
✔️ 表情
✔️ 姿勢・足の置き方・手の置き方など含む

など、なるべく子どもに合わせていこうという感覚を持っているとうまくいきます。

ただ、腕を組むと「相手を受け入れない」表現になりかねないので、腕組みは避けましょう。プレッシャーにならない程度に、少し前傾姿勢で、子どもの全身状態、言葉、表情の変化を優しく観察する感じでいきましょう。

3、「聴いたよ」信号の発信

いちいち相手の話の途中に、声に出して、相槌を入れる必要はありません。
相手が話しやすいように、ペーシング優先です。

すると自然と、分節の区切りで頷いたり、相手と目があったりしてくると思います。

うなづきや「そうか」「うん」というような言葉で十分です。
聴いているよ、
それでそれで?
という応援の気持ちを込めて、相手に注意を向けましょう。

先生と生徒

【安心安全】のよくある誤解

この3つで、随分、話しやすくなってくれるはずです。

ここで一つ、よくある誤解について触れておきます。

子どもに「安心安全」を感じてもらうためには、

✔️ なんでもニコニコ受け入れなくてはならない
✔️ 悪態をつかれたり、あり得ないと感じる態度をされても叱れない
✔️ なんでも「そうだよね」と共感しなくてはならない

こんな風に感じている方がときどきいらっしゃいますが、それは誤解です。

自分が全て肯定される場が、安心安全の場ということではありません。

敢えて言語化すると、「安心安全の場」とは、

✅ 頭ごなしに否定されない場。
✅ これまでの事実を元に「先入観」でレッテルを貼られない場。
✅ 一人の存在として、親や教師が、自らと「対等」な存在として扱ってくれていると感じられる場。

ということになると思います。

重要なことは、次の2つです。

【安心安全を維持する対話のコツ】

① 相手が話してくれたことに、「解釈」や「判断」をしない

こと。

ただ、ありのままを受け止める。
もう少し

② 詳しく知りたいなと感じたことに対して率直に質問する。

この2点です。

逆にいうと、
判断して批判したり、否定したりすること、
「質問」ではなく問い詰める=「詰問」(きつもん)してしまうこと
が、安心安全の場を壊します。

① 解釈や判断をしないコツ

聴いているよー、という信号を出すことの重要性は前述しましたが、
合いの手としてどんな言葉を使うのが良いか、お伝えします。

「そうだよね」

「そうなんだね」

この2つは、とっても似ていますが、コーチングではしっかり区別しています。

「そうだよね」

これは判断や解釈が入った言葉です。
「その通りだと思うよ」「君は正しいよ」ということで、共感のあらわれ。
共感を持って、相手の話を聞くことの重要性を説いた情報に触れることがあるので、誤解を産みやすいのではないかと思いますが、
共感は、コーチングにおける「よく聴く」ときには排除します。

必要なのは、「共感」ではなく「共振」です。
言葉にすると、「そうなんだね」の方です。

これには、コーチ(聴いている親や先生の側)の判断や解釈は入りません。

ただ、聴いて「そうなんだ」と受け止めている言葉です。
判断をせずに、ありのままの相手の言葉を受け止める時は、この「共振」の方が適切だと考えられています。

日本語の日常会話では「へえ〜そうなんだ」というと、「興味がない」「どっちでもいい」「俺には関係ない」というニュアンスを感じる方がいるかもしれませんが、コーチングでは耳だけでなく、心をたくさん使って聞きますので、言い方が全く変わります。

話してくれている子どもの言葉に乗っている「うれしさ」「楽しさ」「悔しさ」「悲しさ」「憤り」などを心で受け止めて、「そうなんだね」という相槌を使ってみてください。

子どもが「もう辛いんです、逃げ出したいんです」と言ったとき、

「そうだよね、確かにつらいよね。そりゃ、逃げたくなるよね」
これは、共感。

「辛いんだね、逃げ出したいと思っているんだね。気持ちがとても伝わってくるよ」
これが、共振。

という感じです。

② 率直な質問のコツ 「なぜ?」より「何?」

「もう少し詳しく聞きたい」
「どんなことがあったのだろう」
「この子はどう感じているんだろう?」

という感じたときの<質問>のコツについて触れておきます。

質問が、はからずも「詰問」(きつもん)になってしまうときは、
「なぜ?」
を問う質問をしていることが多いです。

「逃げたいんです」と言ったときに

それはなぜ?
どうして、そう思うの?
もうダメだとなぜ思ったの?

こう聴いてしまうと、話している方の子どもは「責められている」ような気持ちになるケースが多いです。

では、なんと聞けば良いか?

「なぜ」質問ではなく「何」質問を使うことがうまくいきますよ。
実際に使ってみてると、実感できると思います。

上記の例で言うと、こんな感じになります。

「もう、逃げたいんです」

「そうなんだね、、、辛い気持ちが伝わってくるよ。
何が君にそう思わせたのかな?」

「何がここまで辛い気持ちを大きくさせてしまったと思う?」

「何があったら、少しでも楽に感じることができるだろうか」

「何」質問で、ゆっくりと相手の様子をみながら、聴いていけると、子どもは責められているような気持ちにならずに、

「何が一番、嫌だったかなあ」
「一番、決定的だったのは何かなあ」

と考える方に意識を向けやすくなります。

【まとめ】

1、安心安全の場をつくる

✔️ 距離感や位置どり
✔️ ペーシング
✔️ 聴いたよ信号の発信

2、共感しないで共振する

3、「なぜ」質問で詰問せず、「何」質問で深める

基本的なことですが、プロのコーチでも、ブランクが空いたりすると、ついつい忘れます。本来は、改まって話をするときのみならず、日常会話からいつもこの意識で向き合えると、いいかもしれませんね。

ピンとくるものがあったら、試してみてください。

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大澤 弘子 
日テレHR代表/企業の人材育成を支援しています。
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なかなかの男性社会で30年働いてきたテレビマンが、コーチングやカウンセリングで「自分らしく生きる」を支援中。限定少数しか出来ませんが小学生からシニアまで。