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ニルヴァーナで待つ

2月15日は涅槃会(ねはんえ)。

釈迦が亡くなったとされる日に釈迦をしのぶ法要です。

釈迦涅槃像

涅槃はサンスクリット語で「ニルヴァーナ」。
ニルヴァーナといえばグランジロックの雄、カート・コバーンですね。
存命なら今月20日で58歳になります。

涅槃とは「安楽の世界」を指します。

50代以上の方は「おやじ 涅槃で 待つ」という書き置きを残し、1983(昭和58)年にホテルの最上階から飛び降りた俳優・沖雅也さんのことを今でも思い出すでしょう。

「おやじ」とは実業家で芸能プロダクション社長の日景忠男さん。テレビでお馴染みだったこの方も既に故人です。

涅槃、あの世のことを扱った落語に「お血脈」があります。
善光寺縁起をベースとするこの噺は、当地・長野県飯田市と大いに関係があるので丁寧に説明したいところですが、今回はごく簡単に。

善光寺(奥)に続く仲見世通り

信州信濃の善光寺が頒布する「お血脈」は、ひたいに押し当てると誰でも極楽浄土へ行くことが約束される、いわば極楽行きのパスポート。
このせいで地獄が閑散としていることに危機感を覚えた閻魔大王が、地獄にいる大泥棒の石川五右衛門を使い、善光寺からお血脈を盗み出そうとするが…という噺です。

今までに聴いたお血脈の中で一番面白かったのは、長野市の元教師・快楽亭狂志さんの一席です。

飯田と善光寺の関係がきちんと語られるし(当地へのサービスだとしても立派、ちゃんと語れる噺家はほかにいません)、五右衛門が長野の街なかでおやきを買って食べたりしながら夜になるのを待ち、血脈を盗もうと画策する様子がありありと描かれていて本当に面白い。

話を元に戻しまして。
カートさんと沖さん、日景さんを一緒に語ると怒られそうですけど、
3人とも涅槃でそれぞれに、安楽に過ごしているのでしょうか。

残念ながら、他界して久しい方のひたいにお血脈は押し当てられませんが、ご冥福をお祈りします。

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