“それ”が大須演芸場を救う。
わたしにとっての野田洋次郎氏は、役者であってミュージシャンでは無い。
『前前前世』よりも『100万円の女たち』のほうが遥かに響いた。
『RADWIMPS』も、彼らの作品もにあまり詳しくないけれど、『マニフェスト』という曲の歌詞はいいなぁと思う。
10年くらい前、竹下通りから何気なく見上げた明治通り沿いのビルの屋上に、たしかムラサキスポーツの入ったビルだったんだけども、そこに大きな大きな看板が掲げられていた。
日本国民一人ひとりから
一円ずつだけもらって
君と一億円の結婚式をしよう
という大きな大きな文字だけで埋め尽くされた看板。
電通か博報堂あたりがつくった『ゼクシィ』のキャッチコピーかなんかかなぁ、とその当時はぼんやり思っただけだった。
が。
10年の時を経ても強烈に色濃くわたしに残っていたこの言葉が、野田洋次郎氏の書いた『マニフェスト』という曲の歌詞だと知ったのは割りと最近のこと。
もし僕が総理大臣になったら、、、という前提で、好きな女の子への熱い想いによる“マニフェスト”が綴られていくラブリーな歌詞。
そして、最終的に「僕は総理大臣ではないけれど“一番”の意味を知っていて、まぎれもなく君は僕の“ファーストレディ”だよ」という、ベッタベタに甘ったるい終末。
キライぢゃない♪
ところで今の日本の人口が1億2700万くらいだから、仮に国民一人ひとりから1円ずつ集めると1億円以上集まる。
当たり前の計算なのだけど、ほんの1円であっても、少しずつみんなで出し合えばかなりのまとまった額になるのだ。
きっと前澤友作社長なら、ひとりでどーん!って出せちゃう金額なんだろうけど、それだとなんだかロマンチックではない。笑
『みんなから1円ずつ』というのが、オシャレなのだ。
わざわざ日本の流通貨幣における最小額を、わざわざ日本の全国民から集める。
“資産家からの一億円”より“全国民からの一円ずつ”のほうが、はるかに集めるのは難しい。
わずか1円であっても、全国民の想いを同じベクトルに乗せるのには、なかなか骨折る労力を伴う。
世の中には、金銭感覚を含む多様な価値観が人口の数だけある。それを1点に集約させるなんて無謀な試みだ。
「それを君と僕の結婚式のために捧げるよ」なんて言えちゃう男の子は、ちょっと洒落ててカッコイイ。
たとえ彼が1億円を用意できなかったとしても、きっとそれに匹敵する魅力があるようなタイプだろう。
『モテる男の5大要素』の、4番5番目は満たしていそうだもの。↓
例えば、同じ『1億円』でも、誰のもとから出てきて、どんな目的のために、どんな方法で用意されたかにより、その額面の価値も、そこに込められた意味や想いもまったく異なるものになる。
どちらが良いとか悪いとかではない。
が、きっと多くの人の想いが集結された『1億円』のほうが“強い”のではないかと思う。
ところで、名古屋に大須演芸場という寄席などが行われる小屋がある。
名古屋では一番大きく歴史のある芝居小屋である。
わたしもぜひいつか行きたい会場のひとつなのだが、今日の事情の通り、営業自粛故の継続が危ぶまれているという。
前回のブログにも記したが、このコロナ騒ぎがすぎれば、以前よりも人々は寄席に集まってくのだ。
無形芸術文化に直接触れられる貴重な場所を失ってしまってはいけないのだ。
もし、落語、講談、浪曲、その他の舞台ファンが“1円ずつ”寄付をしたら、どれくらいのまとまった額になるのかしら。
寄付なんてものは“ゆとりある熱くて暖かい気持ち”を貨幣に乗せて届けるものなので、コロナ禍で“明日食うものに困るような人”は、少額であっても無理して出してはいけない。
ただ、そんな人でもこの情報を右から聞いたら、左に伝えることはできると思う。
そしたら、左に居た人はこの情報を聞いて“2円”を寄付をするかもしれない。
人はどんなものでも、自分の中から出せるものは出したほうが良い。
それが、金だろうが情報だろうがそれ以外のなにかだろうが、それを自分の中から絞り出して、心理的にも物理的にもできるだけ広く遠くの世の中まで循環させられることが好ましい。
そうすることで、社会がまわって潤って、結果的に住み良い世の中に繋がって自分に還元されるのだ。
まさに『情けは人の為ならず』である。
偽善でも美談でもなく、自分自身の為だ。
きっと、そういうことを前澤社長は本能的に解っているから、『1億円のお年玉』を世の中に循環させたのだ。
まわりまわって、自分のために。
そして、きっと本当は『受けとること/入れること』より『与えること/出すこと』のほうが幸福度が高いのだと思う。
もちろん、あのとき、お年玉を受け取った人たちは嬉しかっただろうけど、それ以上に“1億円を世の中にまわすことができて、多くの人の喜びを集めた前澤社長自身”が一番幸せを感じていたんだろうな、と思う。
みんなも自分もハッピーだから、なんとも理想的な幸せの相乗効果なのだ。
あ。
コレ、アーティストである野田洋次郎氏と、芸術にも傾倒していて財力のある前澤社長に対して、「大須演芸場が大変なのっ!」という無駄に上目遣いのプレッシャーを与えたいわけぢゃないですよ?笑
くれぐれも、くれぐれも誤解なきように。
きっと今回の場合、古典芸能や舞台などの無形芸術を愛する人たちが、その想いをお金や情報に乗せて世の中全体に巡らせることが、一番効果的で“強い”ことだと思うのですよ。
さて、あなたがあなた自身のために世の中に提供できるものって、一体なんなんでしょう?
きっと、パッピーな人とそうで無い人の違いは、そこに気付いているかいないかの僅かな差なんだと思う。
この“コロナ期”は、一人ひとりがそうゆうことを真剣に考えるためにも設けられたのかもしれないね。
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