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創作落語小説 『心灯杯のプレゼント』


A「いやあ~っ!オマエ、昨日のアレ聴いたか?」

B『アレだろ~?アレ!アレは無いわ~』

A「だろ?」

B『だな!』

A「やっぱ、丑三つ時ってテンションおかしくなるんぢゃねーの?」

B『だよな、二丁目とかで、おねーちゃん、おにーさん、おネエさんたちとしこたま呑んじゃって、うぇいうぇいしちゃうとあの結果なんだろうなぁ』

A「あぁ。そうだよなぁ。その後、帰ってからのアレだったんだろうなぁ。ありゃ、ヒドいわ。気の毒だわ」

B『もっと気をつければ良かったのになぁ』

A「でもスゴく嬉しかったんぢゃないの?スゲー、きゃぴきゃぴしてたぢゃん」

B『いや、いくらなんでも嬉しいからって、はしゃすぎすぎはだめだろっ』

A「でもまわりが優しいから多めにみてくれるんぢゃねーの?」

B『いやいや!まわりが優しいとか優しくないとか、そういう問題ぢゃないから。もっと、きちんとしなくちゃ!』

A「あははー!オマエって、くそマジメだよなぁ。そーゆうところキライぢゃないけど、ちょっとしたお遊びなんだから、めくじら立てることないだろーよ」

B『はあ~っ?“遊び”とか気軽に言うなよ!真剣に扱わなくちゃいけない問題なんだぜ?』

A「あははー!だーかーらぁ、マジになるなって! 常にピリピリしてたら、人生つまんねーぞ!ソンするぞぉ~?」

B『・・・っ!』(怒りを滲ませた表情を見せる)

A「おいおいっ。そんなにコワい顔すんなよおう」

B『おまえみたいなヤツが、いるから、日本が、世界が、世の中が良くならねぇんだよぉっ!!!』(相手に掴みかかろうとする)

A「ちょっ!待てよ、オマエ!!!ホントにどうしちゃったんだよおっ!?“心灯杯”は別に世界なんか背負ってないぜ!?」

B『・・・えっ?』(殴りかかった手を下ろす)

A「・・・えっ?って?」

B『・・・お、俺は、繁華街でのクラスター発生問題と都内の感染者数について苛立ってるんだよっ!』(やっぱり、勢い良く殴る!)

A (殴られた頬を押さえながら)「・・・っつー。怒り心頭(心灯)に発(杯)してらぁっ」


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なんて、創作落語の台本を書き上げて溜め息をつく女がひとり。

仕事の合間のほんの1杯と、コニャックに輝くジョニ黒のグラスを傾ける。


この創作落語の演目は「続・マリオとスナオ」

かつて、一世を風靡した「友情の形が変わる時」という作品の後続シリーズものである。

赤いシャツのマリオと緑のシャツのスナオの、禁断の愛からのドタバタ劇が人気を博している。


飲み干したグラスの氷が、カランと鳴る。

それがやたらと大きく響くのは、この女の部屋があまりにも殺風景なせいかもしれない。

女には執筆中にラジオを流す習慣がある。

周波数を『88.88』に合わせる。

“銀河鉄道フォーエイトの夜”

この新番組の初回は巷では酷評であったが、彼女は番組名のセンスの無さが好きだという理由だけで聴いていた。


しかし、今夜は電波の調子が良くないらしい。

どうやら、誰かが特定の人物に宛てた感謝のメッセージを読み上げているようだが、音声が途切れ途切れで内容がはっきりとわからない。

せっかく楽しみにしていたラジオなのにと、聞き取れない音声と伝わらない内容に女は少し苛立ちを覚えた。

最後に唯一聞き取れたのは

《ささやかながらプレゼントを用意した》

という言葉だけ。

「・・・プレゼント?・・・あっ」

女はふと気付いたように、あのとき出会った “彼ら”のことを思い出した。

そして、彼らへの熱い感謝の思いをししたためるために、彼女は再び筆をとった。

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A「・・・っていう、創作落語を執筆する女の話があるんだけど、マリオ、知らないか?」

B『聞いたこと無いわ。それ、小説?』

A「いやあ、どうかなぁ。人から聞いたはなしだから、実話かどうかもわからないんだけど」

B『ふーん。で、その話がどうしたの?』

A「だいぶ昔に聞いた話だから、“2020年”の今、知っているヤツがいるのかなぁーって。なんとなく」

B『へぇ。まぁ、そんなことよりさぁ、どーなるんだろうな、“2020”(ニーゼロニーゼロ)」』

A「あぁ、本当にどうなるんだろうな、“2020”」

(ふたりは顔を見合わせ「今度はお互いの言いたいことは同じだな!」というよろこび混じりの確認の表情をする)

B『あ。でも延期になったんだよな、確か』

A「え?そーなのか?聞いてないけど」

B『スナオは、きちんとしてそうで、ちゃんと確認しないのな。オホホホー!オマエこそ、人生ソンするぞぉ~?』

A (きょとんとした表情で)「んー?でもホントに聞いてないぞ。マリオの勘違いなんじゃないの?」

B『いや、だって、2021年に延期になったぢゃないか』

A「いやいやいや!それは無いって!“2020のゆくえ”なんだから、今年中に開催されるって、さや香が言ってたぢゃないか

B『ちょっと、待てよ!今、日本が、世界が、世の中が未曾有の事態に陥ってるんだぞ!?さや香の気分次第で開催なんてできるわけないだろ!』

A (はて?という表情で)「え?できるけど?」

(お互い顔を見合わせて)

B『・・・え?』
A「・・・え?」

B『オリンピックが今年中に開催されるわけないだろーーっ!』(相手に掴みかかろうとする)

A (それをパシッと止める)「オリンピックはもちろん来年だろーよっ!今年開催されるのは、第2回心灯杯“2020のゆくえ”だよっ!!!

B『な、なにぃ~っ!?』

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「でーきたっ!・・・まぁ、たいしたサゲにならなかったけどね」

と、女は筆を置いて苦笑した。


するとなにやら引き出しから小切手を取りだし、金額を書き込んだ。

額面は2020円。

そして、それを6枚用意して、それぞれ別々の封に入れた。

「2020年に出会えた人々だから、2020円!・・・なんちゃってーー☆」

やはりこの女、センスの無さと与太郎並のきゃぴきゃぴ感は折り紙つきである。


あんなにも煌めいて感動を与えてくれた“彼ら”に感謝の気持ちを。

とても楽しかったと改めて伝えたい。

そして・・・

また一緒に感動を巻き起こして欲しい。

エゴイスティックな願いを込めて小切手に同封したのは『第2回 創作落語 de 心灯杯 』の招待状。

果たして“彼ら”にこの思いは届くのだろうか。

再び“彼ら”は集まってくれるのだろうか。

それは彼女にはわからないことであり、また、“彼ら”自身にもまだわからないことであった。


≪完≫


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みなさま、創作落語 de 『心灯杯』おつかれさまでしたーーーっ!

溢れる感動をありがとうございました!

という感謝の思いを込めて・・・

受賞者の2名には優秀賞と特別賞を、

6名の参加者の皆さんには“2020年のご縁を2020円のご円”として、伝書鳩の脚に括り付けて先ほど新宿の夜空に飛ばしました。←


・・・というわけで

第2回 創作落語 de 『心灯杯』 開催いたします!!!!

タイトル(演目)は、『2020のゆくえ』に決定!

第1回参加者の皆さんは再び集まってくれるのか!?
新しい参加者はどれだけ集まってくれるのか!?

そんなところにも注目しながら次回の企画も楽しんでくださいね!

詳細は近日公開!お楽しみに☆








・・・個人的には、アンジャッシュ風の「話題の対象が違うのに話しが噛み合ってしまうネタ」好きなんだけども、ね。

コレとコロナネタは今時不謹慎だろうか、ね?









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