大事なことはなかなか書けない
日常の些事についてや妄想についてはガンガン書けるけど、自分の人生にとって大事なことって、なかなか書けない。
それについて結構考えてきたはずで、時々「あれ書こうかな」と頭に浮かんだりするのだけど、「人に向けてどう説明すればいいんだろう。っていうか結論は?」などとぐるぐる考えているうちに「うん。今日はやめておこう!」と先延ばしにしてしまう。
仕事でも大事なこと、大変なこと、つまり自分に負荷がかかることほど後まわしにしがちで、細かい「どうでもいいタスク」を先にやりたくなるけど、アレと同じだ。
そんな時は「えーい!」とやり始めると案外「思ってたよりできる」となることが多いので、今回も「えーい!」と書いてみることにする。
「カミングアウト」について。
LGBTの自覚
私の場合は自覚するのが遅くて、22歳の時だった。
それまでも、今思えば「あれは恋だったな」とわかる感情を抱いてはいたけど、当時は全然気づいていなかった。
もしかしたら「気づくこと=認めること」が嫌だったのかもしれない。
時代的にまだそういうことについてオープンになっていなかったし、田舎育ちなので性について保守的というか、「普通であること」が「普通」な空気の中では、「同性が好きかも」なんて「ありえない」ことだった。
とにかく耐性がなかった。
「同性愛者だったら、もし同性愛者で周囲にばれたら一生つらい人生が待っている」
「生きていけない」
と真剣に思っていた。
めちゃ偏見。
ほんとに失礼。
なぜ自覚したかというと、
22歳の時にとんでもなく人を好きになったから。
うふふ。
若かったなあ私も。
その人との関係をどうにかしたい。
好きだから。
でも、そもそも自分がそうだと認めたばかりで、「バレるのも嫌。一生片思いも嫌」という矛盾した想いだった。
(若かったから、その人のことを一生好きだと思っていた)
こういう時、片思いで悶絶している時って、とにかく誰かに相談したい。
私ったら女子だなー。
でも当時は異性愛者の友人しかいなかったので、言えない。
自分が受け入れられる気がしない。
だけど悶絶を一人で抱えるのがしんどすぎて、誰かと共有したい。
それはギリギリで、自分がそうなのか断言することもできなくて、でも圧倒的に好きで、でも認めたくない、という思い。
とにかくグルグル考えていて、なのにきちんと言語化できなくて、パニック。
そういう状態だったので、誰かに「それでいい」と言って欲しかったのだと思う。
でも当時は、パニック。
一人で抱えきれなかった。
LGBTのカミングアウトについて
カミングアウトについては、とてもセンシティブな問題で、人によって考えも全然違う。
周りにバラされた(アウティングっていって、絶対にしちゃいけない行為だよ)人が自殺してしまった事件もあった。
だから自分の話を書くのも控えた方がいいのかしら、と思ってしまったりもする。
書く、というのは主張する、という行為でもあるので。
でも、私が子どもの頃、思春期の頃、自認できなかったのは壊滅的に情報がなかったからだ。
だから、書いておこうと思う。
大事なことだから、書いておきたい。
この人が味方ならあと世界全員敵でもいいや
一人で抱えきれないその状態を、誰に相談すればいいか。
家族→絶対にありえません。
友達→だったら誰よ。
選んだつもりは全然ないけれど、
Aさん……無理!
Bさん……無理!
と無意識にジャッジしていたのだと思う。
そして……
幼なじみのSちゃんなら、打ち明けられるかもしれない。
わずかな可能性を見出した。
個性的な人はたくさんいる、というか世の中に個性のない人なんていないけども、Sちゃんは少し変わっている。
どこがどう変わっている、という説明は難しいけども、例えば家にくるとラジオのようにずーっと喋り続けるところとか(内容はとても面白い)、合唱部のコンサートを観るのにパジャマで来ちゃったところとか(高校生です)、あとは、追っかけしていたバンドのメンバーと仲良くなってツアーバスで一緒に移動するようになっていたりするところとか。
ちょっと変わっている、と私は思っている。
今、例をあげてみると、なんだかヤバイ奴な感じがするのでフォローを入れておくけど、彼女はとても頭がよくて、何かに対する意見とか、ツッコミとか、そういうことが切れ味鋭くて、私はとても好きだ。
だから私は思った。
これだけ変な人ならば、受け入れてくれるかもしれない(失礼)、と。
というのは冗談で(ちょっとはあるけど)、変わっている、ということは、人と違っても我が道を歩くし、ものすごくパワフルなので、私の中では存在感が大きく、「最強の友達」なのだ。
それに小学校から高校までずっと同じ学校に通っていたので、距離も近い。
変だしパワフルだし、そもそも大好きだし。
Sちゃんが受け入れてくれたら、あとは世界中が敵にまわってもいいや。
そう思えたことが一番の理由だった。
(周りにバレると世界中が敵になる、世界中から差別される、と思っていた。
実際はその後友人に話しても態度が変わる人は一人もいなかったけど)
今でも思い出すことができる。
携帯電話を持って、Sちゃんの電話番号を呼び出したものの、ドキドキしたまま何分も「発信」ボタンを押せなかったこと。
「えいや!」「なるようになる!」で押したこと。
「はーい」といつも通りの声で出てくれたこと。
あ、うそうそ。
Sちゃんが何て言って出たかは覚えてないや。
想像はできるけど。
そして、「Sちゃん私ね、女の子が好き……かもしれない」と、千代田線のホームに飛び降りるくらいの気持ちで打ち明けたところ、彼女の反応は、
「あ、そうなんや」
以上。
びっくりした。
リアクションがあっけなさすぎてびっくりした。
「え……本当に!? 本気で言いよん?」
とか、そういう風に驚かれると思っていた。
1時間くらいかけて話そう、くらいに思っていた。
結果は2秒でした。
カミングアウトはあっけなく終わった。そして、
「で、誰が好きなん?」
から私の恋バナは始まり、彼女はその後、私の恋のアドバイザーになるのだけれど、長くなるので別の機会に書くことにする。
結論:カミングアウトしてよかった。
これは人によって様々だけど、私が今「カミングアウトしてよかったと思えるか」は書いておかなければいけないと思うので、書いておく。
カミングアウトしてよかった。
その後、周りの友達には大体言った。
みんな、Sちゃんと同じようにあっけなく「そうなんや」と受け入れてくれた。
態度が変わった人は一人もいなかった。
会社でもカミングアウトしているが、上司も妊活を応援してくれているし、人事も「二人で妊活? 妊婦二人なんてイケてるでしょ」と言ってくれている。
世界は、私が思っていたよりも優しかった。
もちろん、奇異の目で見られる人もいると思う。
私もどこかでそういう目で見られているかもしれない。
実際、私も飲み会で彼氏について尋ねられた時に「パートナーは女性です」って言ったら社長に「俺、レズとか無理ー」って言われたし。
ストレートすぎて笑った。
その頃には私も少し図太くなっていたので「私のことが、受け入れられませんか?」と尋ねたら「それは受け入れられる」と言ってくれ、その後、特にいじめられることもなかったけども(むしろかわいがってもらったと思う)。
話が拡散してきてるけども、私の場合は、今カミングアウトして良かったと思えるし、カミングアウトしていることで掴んだ幸せもある。
そして、その最初の一歩となったのは、Sちゃんだった。
「この人が味方でいてくれたら、あと世界中が敵にまわってもいいや」と思える人。
人生で一人でも、そういう人がいるということはラッキーだと思う。
一人もいないって人には、私が恋のアドバイザーになってあげたい。
(それで恋が成就するかどうかは保証しかねます)
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