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『授業』の上演に併せ、2024年の総括からの、思いとかいろいろ!!

今年は、間もなく公演するイヨネスコ『授業』の公演まで、カンパニーにとって、あるいは長堀にとって演劇活動の特別な年だったと思う。2月に谷崎潤一郎『白昼鬼語』を上演した。それは、33年続く楽園王にとって、地味に特別な意味のある公演だったと思う。一言で言って、楽園王らしい楽園王作品だった。そして、楽園王が楽園王らしい楽園王作品を上演する意味や意義を再確認させられる公演になった。それは、実のところ、今年の長堀のすべての公演に影響を与えていると思う。長堀が長堀埼品らしい長堀演出作品を上演する意味、と言い換えてもいい。それは、特に上演作品のクオリティを上げるのに貢献すると考えているし、実感も得ている。すべての公演や企画が成功していると思う。
夏に茨城で上演した『風』が初代茨城劇王に輝いたのも、宮沢賢治『よだかの星』の演出が高評価だったのも、その長堀の意識の表れと思っている。そして、その東京公演を兼ねた『本棚より幾つか、』では、『風』と『よだかの星』に併せて上演した多くの短編すべてが、長堀演出、長堀演劇を代表するような作品たちで、ますます今年が特別な年になったと思わざるを得ない。『本棚より、夢十夜』『お国と五平』『華燭』『赤い靴』『アオイハル』『紙風船』すべてだ。また、ずっと継続している月2回の『通常稽古46』という企画、吉と成る『灯台』の公演の、作品だけではない様々な意味での成功、プロデューサーとして係わっているウテン結構が『晴耕雨読』にて第3シーズンをスタートさせたことも、1年に満たない間に起こった出来事で、すべてが実はつながっている。

そして、とうとう、半年間稽古してきているイヨネスコ『授業』だ。最後の最後に大ボスが待っていた的な、長堀演出の自他共に認める代表作を、かなり久しぶりに上演することになった。久堂秀明が脳梗塞で倒れてから、初演からの久堂教授にて再演することが、カンパニーにとっては大きな課題、目標のようなものになっていたと思う。それは、単に劇団の問題ではなく、人生とか、そういったものに関係した課題だと思う。利賀演出家コンクールにて優秀演出家賞を受賞した作品だが、その受賞をスタートに、むしろその後の活動で、楽園王を支える支柱の一つになっていた作品で、だから、再演は再演でも、過去に向いているわけではなく、この公演で、また1歩次に進みたい所存だ。

と言っても、レパートリーという考え方で自分たちの作品を考える劇団なので、基本的には最初の上演、コンクールで受賞した演出を踏襲する。特に今回は、メインのメンバーがその受賞時の出演者だ。20年前の仲間と同じ作品に取り組める幸福や幸運に熱い思いも沸き起こる。『本棚~』の時もそうだったが、小劇場の劇団で、10年前、20年前という年月の出演者と同じ作品の稽古や公演が続けられるところは、ほぼないだろうと思う。つくづく仲間に、運や偶然にも恵まれていると思う。天や神社などに強く手を合わせるくらいの気持ちだ。ここを去ったあいつに、まだやってるぜって言いたい。

さて、と、いう訳で、間もなくイヨネスコ『授業』の公演だ。意味の深い年の、ラスト、今年創作に係わった、短編を併せると実に12作品目の、有終の美を飾る作品、地味に凄い良い公演にしたいと思っている。高揚感は高い。ぜひ、多くの方に目撃してほしいと願っている。騙されたと思ってサブテレニアンに足を運んでほしいと思う。ああ、そりゃこんな作品なら優秀演出家賞だよね(20年前だけど)、って思ってもらえるだけの長堀演出作を御見せする。どうぞよろしくお願いします。実はここまでで本当予約少ないの、経済的な事情もあるので、本当、心から。長堀

写真は、20年前、BeSeTo演劇祭参加、戸山公園(早稲田)の特設野外劇場での上演から。


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