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Gram Parsons & Emmylou Harris の「Love Hurts」#62
「歌ってみた」のドラム版「叩いてみた」新シーズンです。
曲目の一覧はこちらにあります。
🔷EAD10を使って叩いてみた演奏曲
ヤマハのEAD10でドラムを録音し、AIで音源のドラムを抜いて、録音した自分のドラムと差し替え。好きなアーティストや想い出の曲を叩いて疑似セッションを楽しんでいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1737511010-VOtqE4oRhWyPNij6zLsxCbl2.png?width=1200)
1980年頃、組んでいたバンド、キャメルキャラメル。
毎年2回開催されるPOPCONは入賞どまり、あと1歩というところで全国大会には行けず。
「今度こそ」という意気込みで僕達は練習に励んでいた。
そして、その出来事はPOPCONの2週間前に突然起こった。
僕は当時、弁当配達のアルバイトをしていた。
配達コースの途中、深刻な顔をして、降りだした雨に濡れながらヴォーカルのツボ君は僕を待っていた。そして、何かを捜し求めるように僕の顔を見ていた彼女の目からふいに涙が零れ落ちた。
いつも弁当を配達している喫茶店のマスターがそれを見ていて
「おい!rakuda君、女の子を泣かしちゃいかんな!ハハハ」
と大きな声で僕をひやかした。
とりあえず彼女を車に乗せて理由を聞いた。
しばらく黙っていた彼女は、声にならない声で「私、もう唄えない」と言ったきりまた泣き出した。のどにポリープができていたのだ…
治療の為、僕と彼女の病院通いが始まった。弁当配達の途中、彼女のバイト先に行き、病院に連れて行く。しばらくして又、病院へ迎えに行きバイト先へ送り返す。そんな毎日が続いた。
メンバーと話をする為、当時のアマチュア・ミュージシャンがよく集まっていた店でミーティングをした。
メンバーの意見は2つに割れた。
彼女が唄えないなら出場は辞退する。
もうひとつは、他の人にヴォーカルをたのんで出場する。
話しても、話してもみんなの気持ちがひとつにならない事にいらだった僕は、テーブルの上の灰皿を叩きつけ、やりきれない気持ちで店を出た。
コンテストの3日前、奇跡的に彼女の声が出るようになり、「無理しなければ」という条件付きだが唄うことの許可がおりた。
彼女はちゃんと唄うことができるのか不安だったろう。
それは僕達も同じだった。
そしてPOPCON当日。エントリーナンバー18。
彼女は堂々とステージに立ち、スポットライトを浴びながら見事に唄いきった。ステージを降りた彼女は泣いていたし、僕達も少しだけ泣いた。結果はもうどうでもよかった。
ひとりで暮らしていた頃の記憶は、実にたよりない。
改めて思い返してみると、何もかも、ぼんやりとしか覚えていない。
断片だけが雑然と散らばっている。
が、彼女の唄を聴いていると、それらが集まりだして、ひとつのはっきりとした場面となって頭の中に蘇ってくる。
それは、少し淋しくてせつない、奇妙な味がする…
<了>
この曲を叩いていたら、そういえば彼女(ツボ君)もバンドを解散してからこの曲を唄っていたことを思い出しました。
彼女のカセットテープに録音された歌と上記の音源の歌を差し替えたのがこちら。
彼女の声を聴くとあの頃の風景が蘇ってきます。
よかったらお時間がある時に聴いてください。
★おまけ
POPCON中国大会、当日の演奏。声もガラガラで風邪をひいてるみたいだけど頑張って歌いきりました👍
こちらはスタジオ録音