Elvis Presley with the Royal Philharmonic Orchestra の「You Don't Have To Say You Love Me」#33
中学校生活で重要なものがある。
それは部活。
中学に入ったらバスケット部に入ろうとrakudaは思っていた。
入学式の翌日、教室に野球部の先輩が数人やってきた。
「お前、〇〇町の rakuda か?」
「はい、そうです」
「ピッチャーやってたよな?」
「はい」
「よし、野球部に入れ!」
「ピッチャーってソフトボールと野球じゃ、全然違うじゃないですか!」
なんて先輩に囲まれて小心者の rakuda が言えるわけがない。
結局、半ば強制的に部室に連れて行かれた。
断れなかった。
そういう時代といえば時代だった。先輩の命令は絶対だ。
野球に勉強にと中学校生活を送っていたが、rakudaは、膝のお皿の下の骨が徐々に突出してきて、痛くなるオグスッド病にかかってしまう。
病院に行くと、中年の先生が
「あー、これね、手術が成功すれば治るけど、失敗した場合、一生びっこになるよ。しないなら1年くらい運動禁止。どうする?手術する?」
「しないでしょーーーー」
先生に診断書を書いてもらい部活は禁止。
体育の授業は無理をしない程度で。ということになった。
部活がなくなると、僕はいわゆる帰宅部と呼ばれている連中と、放課後の教室でたむろするようになった。
彼らはちょっとシャに構えたところがあって、不良っぽい雰囲気をかもし出していた。
穴が2列になった太いバンド。そこにさりげなくキーホルダーがぶらさがっていたり、詰め襟のホックをはずしていた…
う~~ん、かっちょいい!ではないか。
放課後の集まりがだんだん楽しくなってきた頃、Nさんという女子をからかった。(注 rakuda ではない)
すると氣が強いのだろう、彼女はスススと rakuda 達に向かってきて
「なによ!なにか私に言いたいことがあるの?」
「なんにもねーよ、ブス!」
とリーダー格のH君が言い放った。
Nさんは陸上部。まだ野球部にいた頃、美しく走るカモシカのような姿にrakuda は見とれていたこともあって、彼女をブスといったことに内心驚いた。
女子も何人か集まってきた。
なんだかんだ言い合ってるうちに、じゃんけんをして勝った方が、負けたほうの胸ポケットに手を入れるというゲームをすることになった。
これは男子にはウヒョ、ウヒョものだが、女子にメリットはあるのか?
なんでこういう展開になるんだ?謎…
女子も男子の胸にさわりたい?いやいや、もしかしたら負けて胸を触られたいのか?
rakudaの胸はドキドキだ。
rakudaのじゃんけん相手はNさん。
「どうかジャンケンに勝てますように」と心の中で祈る。
rakuda 勝った!
「胸ポケットに手を入れると時、手の甲が女子の胸にあたる入れるように」という約束だったが手首を裏返してぎゅっと曲げ、手のひらが胸にあたるようにNさんのポケットに rakuda は手を入れた。
Nさんは「キャッ!」と身をよじったが、顔は笑っていた。たぶんだけど。
このゲームがこれからも続けばいいなぁと思ったが、この日が最初で最後だった。
rakudaは彼女に恋をした。性的要求をともなった初めての恋。初恋。
「この胸のときめきを」ではなく「この胸のやわらかさ」とともに始まった恋は、「私、K柳君が好き」という女子同士で話してるNさんの声が聞こえて一瞬のうちに終わった…
よかったらお時間がある時にでも聴いてください