マクロの信用創造シュミレーション
【前提①】簡単のため市中銀行が3行のみ存在するとしてそれぞれA銀行,B銀行,C銀行とする。
各行の当初口座残高をA:B:C=500:300:200(合計1000)とする。・・・【変数①】
この場合
口座残高シェアはA:B:C=50:30:20となる。
【前提②】各行の当初日銀当預保有高=100(合計300)とする。・・・【変数②】
【前提③】各行の行う信用創造=100(合計300)・・【変数③】
又貸しされる場合とは、信用創造によって創造された預金が他行へ振り込まれる場合と考えることができる。
そこで、
又貸し率=他行へ振込額/信用創造額とする。
つまり逆に、万年筆率=1-又貸し率
【前提④】信用創造した預金が他行への振込が行われる(流出する)のは、概ね口座残高シェアに沿った金額となる、とするのが自然である。
つまり、例えばA銀行で信用創造された預金は、他行のシェア(B銀行へ30%、C銀行へ20%)に応じて各々の割合だけ流出する、と想定できる。
<流出入シュミレーション>
【A銀行】:
預金残高増減=A創造預金100–他行流出(Bへ30+Cへ20)+他行流入(Bから50+Cから50)=150
日銀当預残高=100-当預流出(30+20)+当預受領(50+50)=150
又貸し率=流出50/創造100=50%、万年筆率=50%
【B銀行】:
預金残高増減=B創造預金100–他行流出(Aへ50+Cへ20)+他行流入(Aから30+Cから30)=90
日銀当預残高=100-当預流出(50+20)+当預受領(30+30)=90
又貸し率=流出70/創造100=70%、万年筆率=30%
【C銀行】:
預金残高増減=C創造預金100-他行流出(Aへ50+Bへ30)+他行流入(Aから20+Bから20)=60
日銀当預残高=100-当預流出(50+30)+当預受領(20+20)=60
又貸し率=80/100=80%、万年筆率=20%
【A・B・C3行合計】:
預金残高増減=A150+B90+C60=300
日銀当預残高=A150+B90+C60=300
ここで又貸し率=流出合計(50+70+80)/創造合計300=66%
ではない。3行合算すれば他行への流出額は0である。
よって
又貸し率=0%
万年筆率=100%
が正解となる。
「又貸し」はミクロの銀行が複数存在することに伴う付随的な業務なのである。市中には複数の銀行が並立するので、信用創造された預金を他行振込に応じる必要が発生する。つまり信用創造が行われ、その後に又貸し(他行振り込み)が行われる。又貸しは信用創造の本質的な部分なのではなく、あくまでも事後的・従属的・随伴的な業務なのである。
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