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ガイドのおすすめ 高野山で宿坊に泊まる

通訳ガイドのぶんちょうです。ホテル、旅館、民宿、ペンションなど宿泊施設は色々ありますが、宿坊に泊まったことはありますか?宿坊(temple lodgings) は本来、参拝者や僧のための宿泊施設ですが、高野山には一般の人も受け入れてくれる宿坊が50軒くらいあります。

高野山は空海さんが開いた真言密教の聖地、標高800メートルくらいに位置する一帯には100以上の寺院があります。その半分くらいが宿を提供しています。外国人の受け入れもあり、珍しい宿坊体験は外国人にも人気です。

初めて高野山に行ったのはガイドになってからのことでした。下見として宿坊体験をしておこうと思ったのがきっかけです。でも、お寺さんにひとりで泊まるのか。うー、お化けが出そうでこわいな。

新幹線で新大阪まで行き難波に入ります。そこで南海電車に乗り換えるのですが、迷った、迷った!関西に行くとなぜかいつも迷います。ようやく南海電車の改札を見つけ、そこで高野山までの往復と高野山内のバスのフリーチケットを購入しました。

電車からの木々の眺めに癒やされました。電車が進むに連れ、どんどん山奥に入って行く感じでわくわくしたのを覚えています。ただただ木々の風景が続く素晴らしい車窓でした。そして、電車を極楽寺という駅でケーブルカーに乗り換え、最後の勾配を一気に上って行きます。

ケーブルカーの終点は高野山。そこからバスに乗って高野山の中心地まで行きます。新幹線を降りるとすぐに観光地みたいな京都とは違い、関東から行くのは電車でも車でも、けっこう大変ですが、そのぶん道中の楽しみがあると言えます。

予約してあった宿坊に着くと、当たり前ですが「ほんとにお寺だ」と思いました。おそるおそる中に入るとお坊さんが旅館の受付と同じように対応してくれました。「夕食は〇時です」やら「お風呂の場所は..」などと説明してくれているのが頭を剃ったお坊さんなので、なんとなく不思議な感じです。

部屋は昔の旅館という感じでしょうか。畳敷きでシンプルです。民宿と言ったほうがいいかもしれないですね。トイレやお風呂は共同です。夕食はもちろん精進料理で、お部屋まで運んでくれました。

シンプルなメニューで胃も癒やされる

ホテルに泊まるとベッドに寝転んでスマホ見て、テレビつけてと怠惰な格好をしてますが、宿坊では、気がつくと一人でも自然に背筋を伸ばして食事をしている自分にちょっと笑えました。畳に座って食事をすることで日本人はシャンとするのかもしれないです。

せっかくの宿坊の宿泊体験ですから、最大限にそれを活かそうと思いテレビもつけず、ちょっと仏教僧になったつもりで厳粛な雰囲気に浸ってみました。

夕食を下げに来てくれたお坊さんから明日の朝のお勤めに参加しますかと聞かれ、即答でイエスです。旅館と決定的に違うのが、この朝のお勤めに参加できるところです。

夜も心配したおばけがで出るような雰囲気もなく、熟睡できました。ちなみに高野山ではナイトツアーと言って、お墓の場所をガイドと歩くツアーもあります。

翌朝のお勤めは6時頃だったでしょうか。本堂に行くと、すでに沢山人が集まっていました。読経をするお坊さんの後ろに座布団が並べてあり、そこに座ります。

一番後ろの壁際には、正座のできない方や外国人のために椅子が並べられてありました。朝のお勤めは泊まる宿坊によって違い、写経や阿字観という真言密教の瞑想をするところもあります。

宿坊の庭

宿坊体験は高野山だけではなく、色々な所でできます。一度は体験してみると面白いですよ。




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