和食の味はどこから?
通訳ガイドのぶんちょうです。和食はユネスコの無形文化遺産に登録されています。和食目当てで来日する外国人観光客も多くいます。和食の味の決め手となるのが出汁ですね。
この出汁の原料はカツオ、昆布、椎茸など色々ありますが、原料まで知っている外国人は多くはありません。特にあの世界一硬い食品であるカツオ節から削り節が作られていくのが面白いようです。
出汁をおいしくさせているのが旨みです。Umamiという言葉で世界に浸透しつつあるので、Umamiをなんとなく知っている外国人もいます。旨みの正体はグルタミン酸やイノシン酸などです。
それらの成分のたっぷり含まれるカツオ節や椎茸や煮干しのおかげで煮物、茶碗蒸し、そば・うどんのつゆなどがとてもおいしく感じられます。
旨みは、約100年前に日本の化学者によって発見されました。甘み、辛味、酸味、苦みの次に来る5つめの味として「うまい!」という言葉から「旨み」と命名されたようです。
日本食をすでに日常生活に取り入れている欧米の観光客もいて、味噌汁を家で作りたいからと出汁のパックを買い求める人もいます。一方、出汁だけのスープを飲むと顔をしかめる人もいます。
味覚は3歳までに決まるので、それまでに食べたことのあるものでないとあまりおいしく感じないと聞いたことがあります。なので、日本食を食べて本当においしいと感じている人には子どものころに何か和食を食べたことがあるかどうか聞いてみることにしています。
全く食べたことがないと言う人のなかにも心から和食の味がおいしいと感じる人もいたので、その話が本当なのかはわかりません。
ある赤ちゃん連れの家族と食事をしているときに、その2歳くらいの子はひじきの煮物がとても気に入ったようで、ぱくぱくと小皿一枚きれいに平らげました。両親は、ひじきが海藻であることさえ知らない人でした。
この子は将来、間違いなく和食が大好きになりそうで、何だかうれしくなりました。でも、ひじきを食べた記憶は残らないでしょうね。
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