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1:2:√3のパズル

ちょっと前に、表記の比率をもった直角三角形を利用した「ラジくまる作」のパズルを提唱したことがあります。

この「ラジくまる」理論を、ラジくまるとは違う視点で使っており、しかも1ひねりの応用まで入っているパズルがKawadaさんからいつのまにか市販されていました。

・・・・ラジくまるのパズル案をそのまま直撃はしていません。でも「こんな着眼点もあったんだー。完全にヤラレタ。」というのが正直な感想です。

おみごと!Kawadaさん!

ということで、このようなピース構成です。

販売時には三角形に組んであって、小さい正三角形が外に出ています。
さあ、「小さい正三角形」も仲間に入れて、改めて大きな正三角形を作ろう!という問題です。

小さい三角を仲間に入れると、大きな三角形を作れません・・・・・・・・・

黄色の三角形グリッドをあてはめて「配列の状態」を見直してみます。
すると、グリッド(黄色の三角)の向きを90°まわして、初期配置とは違う向きの配列にするのがたぶん正解、という雰囲気が見て取れます。

左が初期配置、右は正解っぽいけど、まだもう一息

このパズルでは、パズルピースは全てが「1:2:√3」の直角三角形単位で構成されています。
だとすれば、最終完成形となる大きな正三角形(赤)の内部に「単位的な正三角形グリッド(黄色)」がいくつか見えてくるはずです。

黄色の三角形グリッドを見るとき、パズルピースがじゃまなんで、どかしました

説明を省きますが、実はわたくし、このパズルを購入してすぐに「小さい正三角形を頂点に置いてみる」という置き方について、ほぼすべてのパターンを試行してみました(約99%?)。
もしかしたら残り1%の見落としがあるかもしれませんが。まあ、その場合は再挑戦しますんで。

とにかく、小さな三角形を「頂点」に置くと、解けないパズルになっちゃう可能性が99%ということが確かめられたと言えます。そろそろ別のパターン(小さな三角形は頂点には置かない)を試すべき頃合いでしょう。

さて、「小さな三角形は、絶対に頂点には来ない」という条件を与えると、黄色の正三角形のグリッドたちが「ありえる並び配置パターン」が上の図に示す5通りに減ります。(左上は99%の確率でありえないパターン)

上の図で、黄色の正三角形どうしの間に「クリーク(creek):細い水路」が見えますね。このクリークの「曲がりカドor末端」に「小さな正三角形」が入るのです。

ところで、「これらのクリークはどうやって埋めるんだ?こんな奇妙なカタチのピースは、ないよね?」と気になりませんか?
クリークは下図のように、うまいこと2個のピースを組み合わせて埋めなければなりません。そのあたりは、かなり知恵を使う必要があります。

クリークを巧みに埋める方法の例

小さな三角形は、絶対に頂点には置かない。そんな条件をつけた場合、重大な制限ルールが同時発生することに気づきます。すなわち、

完成品(正解の時)の大きな三角形(赤)の頂点には、「黄色の正三角形グリッドをちゃんと正当に埋めることができる」ピースが来る。

ということです。下図で〇✖を示します。

下段、紺色の三角形は黄色のグリッドをきちんと正当に埋めることができません。
従って、このピースは「こういう風」な置き方は禁止です。

完成品(正解状態の大きな正三角形(赤))の頂点では、図に〇で示した4パターンのどれかしか、ありえないと断言できるのです。

これは、スーパー・ビッグ・ヒントですよ!

今回説明用に(わかりやすくするために)それぞれのピースに色をつけて区別しました。この場合、完成品となる大きな正三角形の3つの頂点は、正解の時は、たぶん全部色が異なる「色とりどり」であろう

そうなる確率が非常に大きいと予想されるのです。
こんな紆余曲折を経て、ラジくまるはついに正解に至ることができました。すごいパズルでした。素晴らしい作品です。

***

ここまでの解説文を読んだ読者さまへ。
これはもう、Kawadaのパズルを購入して、自分で解いてみるしかないですよね?

ちなみに、正方形よりも、こっちの正三角形のほうがむつかしいのでお勧めです。


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ラジくまる
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