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寝台特急とカメラの出雲東京旅-vol.1

これまで私は旅行に行くとなると車がほとんどで、前日の夜に出発して夜通し運転し、初日の朝から行動することがほとんどであるが、今回は珍しく鉄道で旅をすることとなった。

一人では絶対に鉄道を使わないが、「寝台特急に乗ろう」という友人からの誘いを受け、彼が手配の一切をしてくれるというので付いていくことにした。彼は既に一度使っているが、私は寝台特急は初めてであったので、誘われた旅行ではあるものの、かなり楽しみにしていた。それに出雲も東京もこの旅行で初上陸である。当blogではその旅の模様を全3回に分割してお伝えする予定である。今回は自分たちで立案した旅であること、かなり詰め込んだため、5月ごろにお伝えした気だるい社員旅行のレポートに比べてかなり長文となるだろう。まとまった文章とする自信はないが、最後までお付き合いいただければ幸いである。


さて、今回は2日間の旅程ではあるものの、出雲と東京とかけ離れた二地点に行き先があるので、フィルムは3本用意した。内訳はKodakのProImage100が2本と同じくUltraMax400を1本とした。帰りに飛行機も乗るのであまりジャラジャラ増えると面倒なのでフィルムの本数も最低限にしている。一方のカメラは、PENTAX17も持っていこうとかなり迷ったが、あれこれ持っていくとどれも中途半端になるのでFM2の一台に絞ることにした。

そうして少しずつ準備を進めて当日になったが、日が落ちてからだとフィルムで写真を撮るのはかなり困難であるので、D780も追加することにした。ミラーレスと違ってレフ機だとバッテリーはなかなか減らないし、D780の場合、バッテリーを入れて保管していてもほとんど放電していないので、急に持っていこうと思ったときに心強い味方である。

さて、持っていった機材の話はこれくらいにしておいて、そろそろ本題に入ろうと思う。

会社から帰って夕食を食べて、風呂に入ってしばらくゆっくりしてから出発。まだまだ人で溢れる地下鉄に乗ってひとまず梅田を目指す。

金曜の夜ということもあって御堂筋線はかなりの混雑ぶりで、駅は蒸し暑い。人が多いからか、川が近いからか日が落ちても梅田の気温は落ち着かない上に湿気が非常に多くてかなり堪える。せっかく風呂に入ったものの、すぐに汗ばんでしまった。


大阪駅に着いたらグランフロントが見える階段から地上へ降り、ビルの間に設けられた水辺を通って工事中のうめきたエリアへ。当時はまだ仮囲いが付けられ中の様子は明らかにされていなかったが、つい最近囲いは外されたようだ。


10分ほど歩くと梅田スカイビルに到着。今回はスカイビルから発着する夜行バスで出雲を目指す。大阪から発着する夜行バスの大半はJRのバスターミナルか阪急のバスターミナルから発着しているのだが、WILLERは少し辺鄙ではあるが、ここから出ている。少し料金は掛かるものの、隣との座席の間に衝立があったり、フードが付いているので友人の勧めで利用することに。

フードがあれば消灯後にスマホを触っていても人に迷惑をかけないし、誰かの光が気になることもないので非常に良かった。座席もバスにしては良いのではないかと思った。


翌朝。6時頃にバスは出雲市駅に到着した。今回は小型の登山リュックサックと大きめのメッセンジャーバッグの2つを持っていたので、使わないものをリュックに移し、使うものをバッグに収めた。荷物を入れ替えたら一度電鉄出雲市駅へ向かい、ロッカーにリュックを預ける。この暑すぎる気温で大荷物を持ち歩くのは御免である。

これで初日の準備は完了なので近くのすき家で手短に朝食を済ませる。まだ朝の7時であるにも関わらずすぐに食べられるのは非常にありがたい。

腹が満たされたところで駅に向かい、ホームに上がる。この旅の初めの列車は特急まつかぜ号だった。JR特急に乗るのは実は初めてであるのだが、初めてのJR特急がディーゼルカーかつ変わり種な車両になるとは思ってもいなかった。


まつかぜは勢いよく加速し、カーブに差し掛かれば線路のカント量からさらに振り子装置によって大きく車体を傾けながら山陰本線を西に進む。ものの30分足らずで松江に到着。デザイン性は一旦脇においてとにかく性能を追い求めて作られた車両のようで、狭軌かつ地方路線であるとは思えない走りであった。


松江では城を見るとかそういう訳ではなく、車を借りて美保神社へ。城に行くというのも観光の一つであるが、暑すぎるので今回はパス。それに順番は逆になってしまうが、せっかく出雲大社に行くのに美保神社に行かないと、お伊勢参りして内宮だけ行くような状態だ。やはり両方とも行かねばなるまい。

松江からはタイムズのカーシェアを利用し、日産のノートe-powerを借りた。運転した友人の感想は「これは運転下手になるわ」とのことだった。回生ブレーキが非常に便利らしくアクセルのオン・オフのみで加速も減速もできるらしい。その代わりにあまりあれこれ考えなくていいので、漫然運転になりそうであるというのがその理由だそうだ。

さて、駐車場を出たら「くにびき大橋」を渡り、少し北上。附属中前交差点より国道431号に右折。ここで曲がったら美保神社までは一度も曲がらない。駐車場から神社まで右左折の回数は僅か3回のみである。国道431号は途中まで片側2車線の道が続き、往復2車線となっても道幅が狭くなることはあってもセンターラインが消えることはなかった。


45分程度で神社に到着し漁港と一緒になった駐車場に停める。キラキラと輝く海の向こうには秀峰大山が見えた。

美保関港と美保神社は非常に近接しており、岸壁のすぐ後ろに鳥居がある。谷地形の中に本殿と門、回廊が建てられコンパクトにまとめられている。海が間近ということもあり、奉納品には船も選ばれるようだ。祭神は五穀豊穣・夫婦和合・安産・子孫繁栄・歌舞音曲(音楽)の守護神である三穂津姫命と海上安全、大漁満足、商売繁昌、歌舞音曲(音楽)、学業の守護神である事代主神(えびす様)の2柱となっている。また、2柱とも音楽の守護神であることから大きな太鼓も奉納されている。


一通り参拝し、神社を後にする。短い参道を戻れば左手に細い路地が見える。路地には必ず生活や昔の名残が残されており、スナップするには非常に楽しい被写体がある。時間もまだ早いからか人はほとんどおらず、フレームに人が入らない。

建物の向こうには美保関の港とその奥に大山が見える。建物に遮られて隣が海であることを忘れがちであるが、車が通れるように建物がくり抜かれているところや建物の隙間から青い光が差し込むと思い出させてくれる。

生憎時間があまりないため、適当な所で引き返す。行きは影でひんやりした景色であったが、帰りは光が建物を照らしていた。


旅館だろうか、建物を通して奥の海が見える。こんな食堂で朝食を摂れば気分の良い朝を迎えられるだろう。

路地を後にする。門をくぐると急に明るく開けたところに出るので、千と千尋の神隠しのように現実世界に戻るような気分だった。


車に戻るとさらに岬の先端に進み美保関灯台へ。駐車場は尾根上にあるので、両方が崖で、眼下には透明度の高い海が広がる。

尾根の先には白亜の灯台が見える。明治31年に建てられたものらしく、国の有形文化財にも指定されている。灯台自体は高さ14mと小ぶりであるものの、海抜73mの高台に建てられており、海面からの灯火の高さは83mとなっている。光度は46万カンデラと想像もつかない明るさで、発する光は23.5海里(約43.5km)まで届く。43kmもあれば隠岐の手前まで光が届くので、沖を出てとりあえず南に進めばすぐに灯火を確認できて境港に向かえそうである。

さて、あまり長居していると車の返却時間を過ぎてしまうので松江へ戻る。帰りの道も渋滞はなくスムーズに駐車場まで戻れた。次は出雲大社に行くのだが、同じ道を使って出雲に戻ってもおもしろくないので、帰りは一畑電車を利用した。松江駅から松江しんじ湖温泉駅へバスで向かう。利用したバスが一畑バスだったのだが、まるでハリー・ポッターが家出するときに登場するバスのようだった。乗ってると「おお…やるねぇ」って感じだったのだが、大阪でこれをすると大変だろうと思う。その甲斐もあって駅にはすぐに到着し、しばらく駅で待つことに。


地方私鉄であるので、もっと古い車両で来るものと思っていたが、新造車であった。出雲と出雲大社、松江までの輸送を担っているので案外収益はあるのかもしれない。


駅を出発した列車は快調に進み車窓は流れ、宍道湖が大きく横たわっている。

一畑口に到着すると折り返し線になり、前後を入れ替えて再出発する。その後、列車は終点の川跡へ到着する。平日は電鉄出雲市駅まで直通するが、休日は電鉄出雲と出雲大社間で直通運転となるため、松江方面から来た場合は乗り換えが必要となる。なお、私はフィルムを1本しか持ってきていなかったので一度出雲市へ戻ることにした。

川跡から電鉄出雲まではすぐに到着した。改札を出て眼の前のロッカールームへ向かい、リュックサックからフィルムを取り出す。扇子も忘れていたので、ついでに取り出すことにした。当日はフェーン現象でかなりの高温になっていたため扇子がないと地獄である。

さて、東京出雲旅の第一弾はここまで。出雲大社とメインディッシュのサンライズ出雲、東京散策の様子は次回以降に報告する。予定では次週で出雲大社と寝台特急の様子を。再来週に東京散策の様子をお伝えしたいと考えている。それでは今週も皆様にとってよき週末となりますように。

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