寝台特急とカメラの出雲東京旅-vol.2
今回は出雲東京旅の第2弾。前回は出発から美穂神社と一畑電車で出雲に戻ってくるところまでで、今回は出雲大社の観光とサンライズ出雲の乗車体験までを記事にしたいと思う。
前回の内容をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。
さて、前回は松江方面へ出かけたものの、換えのフィルムをリュックサックに忘れたので電鉄出雲市駅へ一度戻ってきた。36枚撮のProImage100を使っているものの、既に全て撮り切りそうであるので、もう一本持っていたProImage100をリュックから取り出した。天気は相変わらず快晴で雲がかかる気配もないので引き続き感度100のフィルムを使い続ける。感度400のUltraMaxも持っているが、二日目の東京の天気が分からないので置いておくことにした。
JR出雲市駅から出雲大社へ一畑バスが出ているのでバス停へ向かう。バス停には既に60人ほどの人が並んでおり、乗り切れるのかかなり不安な人数だった。15分ほど待つとバスが到着。始発なので誰も乗っておらず、バスは勢いよく人だかりを吸い込んでいく。しかし、勢いが良かったのは始めのうちだけで、半分ほどが乗り込んだら次第に勢いが鈍化していく。私の順番まであと10人になるとかなり苦労して乗り込むような状態でかなり不安な状態になってきた。それでも何とか先に乗ったお客が協力してくれて無事に乗車が完了した。隙間ほとんどない状態で、朝の大阪や東京の通勤電車くらいしかここまで満員にはならないのではないかという乗車率であった。
外から見ていたらバスが膨らんでいるのではないかと言うくらいの満員バスに30分ほど揺られて出雲大社に到着。時刻は既に13:30になっていたのでそばを食べに行こうとGoogleMapで評価の良いところを探した。とりあえず見つけてそれほど並んでいなかったので20分ほど待っていたのだが、1時間待ちだと告げられたので、別の店を探してまた15分ほどで店に入れた。蕎麦なんてすぐに食べれるのに一軒目の回転の悪さは驚きだった。食べたらすぐに出る、マナーではないと思うが蕎麦の一つで粘るのは如何なものかと思ってしまう。
腹ごしらえを済ませたら出雲大社へ。蕎麦屋のクーラーが強烈に効いていたのと、汗だくで凍えるくらいだったので、外に出てもしばらくは暑さを感じなかった。しかし、それも一時のことですぐに暑くなり、また汗をかいてしまった。9月も半ばという時期だったが、無限に水を飲めて汗が止まらない気温はやはり異常としか言えないだろう。
鳥居をくぐると参道が続いており、中央は松の並木となっていた。かなり老いた木々が多く、支えをしているもの、隣の木からワイヤーで引っ張っているものなどが多かった。
中には切り倒されたものもあるようで、切り株の中心には新しい苗が植えられていた。
もうしばらく歩くと本殿に到着し、見慣れた光景が広がる。思ったよりも人は少なく、快適な参拝であった。手を合わせて少し戻って散策することに。
境内には庭園も設けられているが、あまり知られていないのか、興味を持たれないのか人は少なくじっくり堪能できる。シャッタースピードを遅らせたので手ブレしているが、滝もある。
池には仲良く二匹のカメが日向ぼっこしている。奥の滝も写したかったので、割とオーバーにしたが、さすがネガフィルム、手前の鯉までちゃんと写っていた。
死んでいたがタマムシ。
庭園を後にして、本殿へ戻ってきた。暑さにやられてしまったので少し早いが出雲市駅へ戻ることにした。
行きはバスで来たが、人が多いのは懲り懲りなので帰りは一畑電車で帰ることにした。
やはりこの選択は正解だったようで、座席に座って快適に駅まで戻ることができた。
駅に戻るとロッカーからリュックを取り出し、温泉へ向かう。時刻はまだ16時であったが、1日暑くて疲れたので早めに温泉に入ってゆっくりすることにした。温泉自体はかなり茶色い湯でしっかり温まった。暑いからと言っても冷房の効いたところに入ったりして冷えたりしているので、かなり心地よかった。
風呂から上がったら牛乳を飲む。定番中の定番であるが、まさに至高。
しばらく温泉のフリースペースでゆっくりして駅の待合へ。あまり長居してはいけない。待合へ移動したが、席はまだ十分に空いていた。乗車時間が近くなってきたらコンビニへ夕食と朝食を調達へ。駅の中にはセブンイレブンがあるが、すでに棚がスカスカになっていたので、急ぎ足で近くのローソンへ向かう。急いで買い物を済ませ、酒も持ってプラットフォームへ。サンライズ出雲の入線は見られなかったのが少し残念であったが、そんなことはすぐに忘れて先頭を撮りに行く。
当たり前であるが、行き先表示は東京。中国地方にいながら、明日は東京とはなかなかイメージが湧かない。
適当なドアから乗車し、自分の部屋へ向かう。列車であるのに、廊下で両側の壁には戸が付いているというのが非常に新鮮である。
自室に荷物を置き、カメラと夕食だけを持って隣の友人の部屋へ。コンビニ飯であるが、寝台特急につき極上の夕食である。
夕ご飯を食べたら買っておいたスナック菓子を開けて小さな乗車記念パーティーを開催。部屋の明かりを消して、月明かりに照らされる山陰の街並みを眺める。公共交通でありながら、電灯を自由に操作できるのは寝台特急の特権である。
晩酌が済んだら今度はワクワク車内探検タイム。岡山まではサンライズ出雲号単独で運転されており7両編成の短い状態で先頭から最後尾まで歩いてみる。
号車案内の表示さえもなんだかカッコよく感じる。廊下の両側に化粧板が張られ、戸が並ぶ光景はとても列車とは思えない。揺れていること以外は完全にホテルである。
3号車はフリースペースになっており、少しのおしゃべりやパソコン作業にはうってつけである。車端部であるので多少は揺れるが、台車の音やジョイント音が旅情をかき立てる。
4号車はA寝台とサンライズツイン。大きな部屋になっているので廊下は片側に寄せられている。これが寝台特急のイデアのようなもので、これ以上に寝台特急らしい絵はないのではないかと私は思う。
散策し終えるころには列車は新見に到着。伯備線は単線であるので、交換の列車を待つ。ここからも乗車可能であるので、列車のドアは開いたままで少しの間であればホームに降りれる。
しばらくすると交換のやくも号が入線してきた。時刻はすでに21時を回っているが、結構な乗車率であった。
いい席だろうか、やくも号にも素敵な空間が用意されている。
新見を出ると伯備線も残り半分。倉敷で山陽本線に合流すると、線路は一気に高規格になる。これまでは左右の揺れが割と多かったが、一大幹線である山陽線ともなると揺れは小さくさらに快適になる。岡山で高松から来たサンライズ瀬戸号に連結し、14両編成で東京を目指す。
編成が長くなったので再び探検してみる。同じ構成の編成が二つ繋がっただけではあるが、今度は先頭車両の連結部を越えていく。14両も繋がっていると前から後ろまで歩くにはかなりの時間を要する。
一通り歩いてみたら部屋に戻り、車窓を眺めたり、携帯を触ったり。カーブに差し掛かれば、大きく弧を描く車体の窓からは溢れる光が点々と並び、編成の長さを教えてくれる。
部屋を出て車端部にある洗面台に歯を磨きに行き、部屋に戻ったらJRが用意してくれた寝巻きに着替える。横になって少しまどろんだら、列車は姫路駅に停車していた。
ホームに人影はなく、駅員や乗務員の姿が散見される程度であった。
30分ほど経つと海がぐっと近くなり須磨の海岸線を走るようになる。前方に明石海峡大橋のメインロープに灯されたイルミネーションがカテナリー曲線を描く。もう少しすると橋が真横に見えるようになるのだが、零時を過ぎたからか灯は落とされてしまった。
海峡を過ぎると河のようだった海は海であったことを思い出すかのように急激に広くなってゆく。遠く大阪湾の湾岸を埋め尽くすように付けられた桟橋の電灯の光が海と空を隔てるように薄く伸びていた。
車窓は名残惜しいがこの列車は寝台特急である。寝ずして目的は達成されない。翌朝の太平洋の車窓を楽しむためにここはしっかりと眠ることにした。
今回はここで一区切り。次回、最終回は明るくなってからのサンライズ出雲・瀬戸号の車窓、そして東京散策の様子をお伝えする。
それでは今週も皆さまにとって良き週末となりますように。
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