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私の簡単な白黒現像プロセス

前回は必要な用品類について説明したので、今回は実際に行うプロセスについて解説する。まず、初めて処理を行う場合は薬液の準備から始める必要がある。薬品は元々液体の状態で販売されているものもあれば、粉の状態で販売されているものある。液体のタイプは直前に水で希釈すれば良いが、粉のタイプの物はあらかじめ原液を作っておく必要がある。原液の作成は少なくとも処理する日の前日に行うべきである。

 

あまり詳しいことはわからないのだが、溶かした直後は一見溶け切ったように見えても実際には完全には溶けておらず、成分が固まった状態で水の中に存在しているそうだ。この状態では不安定で現像結果に影響を及ぼすといわれている。そのため、少なくとも24時間は放置して薬品の状態が安定するまで待つ必要がある。薬液の原液ができたら ろうと を使ってビーカーからペットボトルやポリエ瓶等のボトルに移して保管しておく。ここまでを前日までに行う。

 

処理を行う当日は実際に使用する薬液を作成する。原液の薬品を実際に使用する希釈率に伸ばして使用液を作成する。ちなみに希釈率が1+4の薬品があったときに、原液が1でそこに4の水を注ぐというのが1+4の意味である。例えば500mLの液を作る場合、原液が100mLで水が400mLとなる。そうして現像液と停止液、定着液を用意する。用意できたらビーカーのままでも良いし、ボトルに移しても良い。私はこのように毎回使用液を作って現像しているが、原液をそのまま使う方法でも問題ない。

 


これで必要な薬品は揃ったのだが、この使用液を作るときにあらかじめこのようなシートを作成しておくことをお勧めする。一枚の紙に希釈率から処理時間までを記載しておけばケアレスミスを防げるので、慣れないうちは鉛筆書きでもいいので準備しておくと非常に便利である。

 

さて、使用液ができたら今度は薬品の温度を必要な温度に合わせていく。多くの現像液は20℃が基本となっているので、ここでは20℃として説明する。ただし、それぞれの説明書に目を通して適切な温度を調べていただきたい。



実際に温度を合わせる方法であるが、私の場合は全ての薬液をペットボトルに詰め、大きなバケツには水を張っておく。この水を薬品の設定温度の少し行き過ぎたところにしておき、その中に薬品入りのペットボトルをドブ漬けする。例えば20℃に液音を調節したいとき、夏17℃くらい、冬は23℃くらいにすれば、徐々に薬液の温度とバケツの水温が一致するようになり、適宜氷やお湯で調節して20℃で安定すれば温度合わせは終了。

温度の確認はボトルに温度計を突っ込むのが確実ではあるが、樹脂製の温度計の場合変質してしまうのでバケツの水が20℃から動かなくなったのを確認して液温が20℃になったとしている。


PETの耐薬品性に疑問は残るものの、一度温度を合わせてしまえば、大量の水で周囲を満たされているので、温度変化が小さいし冬場は熱帯魚用のヒーターを使えるので非常に便利である。またボトルにはキャップをしているのでこぼす心配もない。



 さて、温度合わせにはしばらく時間がかかるので、その間にフィルムをリールに巻き取ると時短である。フィルムピッカーでベロを出し、ベロの部分は邪魔になるので切り落として端をリールにセットしておく。



リールやタンク本体、蓋などの全ての部品とハサミをダークバックの中に入れて、ダークバックの中でリールに巻き取る。巻き取ったらリールをタンク内に収めて、蓋を閉める。きちんと閉まっていること、タンクの中に入れる物がダークバックの中に残っていないことを確認したら取り出す。

 

リールへの巻き取りが完了したら、再度薬液の液温を確認する。ここで目標の20℃になっていたら問題ないが、違った場合は再度温度を調整して適切な液温にする。

 


適切な温度になったらいよいよ作業を始める。まずは現像液からタンクに注ぎ、注ぎきったらタイマーを開始。タンクの底を数回叩いてフィルムに付着している気泡を散らす。気泡が残っているとムラになるので必ず行うこと。現像時間はあらかじめ作成しておいたシートに基づき、一定時間ごとの撹拌を行う。

 

私の場合はHP5+のフィルムに対して同じくILFORD製の現像液であるID-11を1+3に伸ばして行う。ILFORDのテクニカルシートによれば現像時間は20分である。1分に一度撹拌を行う間欠撹拌が推奨されているので、撹拌を行う時間をシートに記載している。ここに時間さえ書いておけば、あとはこの時間通りに10秒程度タンク中央の棒をかき混ぜてやれば問題ない。棒の回転速度は1秒で一回転程度で良いと思われる。この工程は時間が掛かるので道具を片付けながらやYouTubeを見ながらなどリラックスして進めてもらえればと思う。


 時間が来たら中の薬品をボトルに戻す。戻したら今度は停止液。これは30秒くらいで終わってしまうので、ながらではできない。時間が来たら先ほど同様にボトルに戻す。


最後は定着液。これも現像液と同じように処理する。規定時間まで間欠攪拌を続け、時間が来たらボトルに戻す。ここまできたらほとんど作業は終了。


ボトルに水を注いで水洗。30秒くらい中央の軸を回し続けて、その後水を捨てる。これを2回繰り返す。終わったら水洗促進剤を入れて、30秒くらい撹拌する。ボトルに戻したらもう一度水洗して終了。水洗促進剤がないなら水で構わない。



ボトルの蓋を開けてネガを確認して像が現れていたら現像は成功。黒いべたっとした物が残っていたら定着が足りないので、再度定着液に浸してやる必要があると思う。


水切り剤を持っている人は再度ボトルに水を溜めて、数滴水切り剤を垂らしてかき混ぜたら引き上げ、風呂場など埃の少ないところに干してやれば作業は完了。プラ製のリールを使っている場合は、フィルムの端を少し引き出してからリールのロックを外すとフィルムに皺が寄らず綺麗に取り出せると思う。



乾燥後、ちょうどいい長さに切ってスキャンなどしていただければ、スマホ等で楽しめるので良いのではないだろうか。

これで現像の実践編は以上。とりあえずまとめてみたという内容なので不足点はたくさんあるだろうが、今後細かなところも充実させて一つの手引きとなればいいなと考えている。


今週はここまで。今週も皆様にとって良き週末となりますように。

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