私の現像システム
少し前にTwitter(現X)でフォローしていただいている人と話していて、現像のコストがだいぶ高くなってしまって人には勧められないということが話題になった。私は写真学校に通ったこともないし、写真部に所属していたわけでもない。そんな人間が白黒フィルムは全て自家現像するようになったわけであるが、いざ自家現像を始めるときに一番私を躊躇させたのは、ちゃんと現像できるのかどうか。
コストはやはり店にお願いするよりも明らかに安いので、用品類が高くなったとは言えあまり気にならなかった。もとの値段を知らないと言うのはある意味”Z世代”の特権かもしれない。
それと、最近私はホームページの大改修を進めていて、これが落ち着いて新体制に移行できたら現像やプリントの方法などについてまとめたサイトを作りたいなと考えており、今回はその一環となっている。全くの素人がネットで調べたことだけで、始めたことなのでこの令和の世の中でどのような軌跡を辿ったのか紹介して、誰かの手引きとなればいいなと思っている。
さて、前振りが長くなったが、今回は現像。現像と言っても現像するフィルムは白黒フィルムである。今回は用意する薬品と用品類を紹介する。ここに書いている物は最低限必要なもので、これさえあれば現像はできる。それぞれについて説明を付けるが、非推奨であるものはその都度書くので注意してほしいのと、現像の結果を保証するものではないのでご理解をいただきたい。
現像で必要な物は以下の通り。
薬品類
現像液
停止液
定着液
用品類
現像タンク
フィルムピッカー
ビーカー(4つ)
ペットボトル(3つ)
温度計
ろうと
混ぜ棒
ダブルクリップ
突っ張り棒か紐
輪ゴム
ここからは細かい説明を。
まずは薬品類について。先に挙げた、現像液、停止液、定着液の3つは必ず必要である。強いて言えば停止液は水で誤魔化すことは可能であるが、非推奨である。定着液にアルカリ性の液体を持ち込みたくないので停止液で中和させる必要がある。
さて、薬品類、特に現像液は何を選ぶかが重要である。この薬品選びはあまり言及されてこなかった。基本的にどの液を使っても良いのだが、私はフィルムのメーカーと合わせるのを推奨する。メーカー推奨の処理時間がちゃんと表示されているので、初めての場合不安が非常に少ない。慣れてから他の薬品を試してみても良いと思う。
必需品には入れなかったが、あると便利なのが水洗促進剤と水切り剤の二つ。水洗促進剤があると、最後にフィルムについた薬液を落とすのに洗うための水を節約できる。水切り剤はフィルム乾燥時に水滴ムラを発生させないようにする上で効果的である。
次は現像タンク。このタンクの中にフィルムを入れて、薬品を順番に注いでやると現像できる。タンクの種類はプラ製とステンレス製があるが、私はプラ製をお勧めする。理由はその中に入ってるリールの形状がステンレス製とプラ製で大きく異なるからだ。
プラ製は写真のような形をしていて、フィルムを巻き取り口に差し込んで、左右の円盤を交互にシャカシャカと回転させてやるとフィルムが勝手に巻き取られるようになっている。一方でステンレスだとリールに自分でフィルムを送り込んで巻いていかないといけない。これが練習のいるもので、慣れが必要とあったので、プラ製を選んだ。この令和のご時世で練習用のフィルムを確保するのは難しいし、期限切れでも使わないと勿体ない。これまでプラ製のリールを使って現像してきたが、現像ムラができたりして失敗したことがなく、気を付けて巻きさえすればあまり失敗はしないのかなと思う。
また、フィルムをパトローネから取り出すにはフィルムピッカーが必要であるので、買っていただきたい。現像以外でも誤ってフィルムのベロをパトローネに引き込んでしまったときに取り出せるので持っていて損はない。
ここで、フィルムをリールに巻くと書いたが、これは完全な真っ暗闇で行わねばならず、僅かでも光があるとフィルムが感光してしまう。そのため、必需品には入れなかったが、ダークバッグが必要である。必需品に入れなかったのは、非推奨であるが、無くても現像は可能であるからだ。現像を始めるにあたり、資金が潤沢ではなかった筆者は、夜に遮光カーテンを引いて、冬ぶとんを2枚重ねれば可能ではないかと考えて冬ぶとんをダークバッグ代わりにしてフィルムを巻き取ってみた。案外これでもフィルムに感光した形跡はないのと、昼間でも問題なく現像できているので、未だにこの方法で現像している。全く推奨ではないので、各個人の責任でお願いしたい。
次は薬品作りに必要なビーカー、ペットボトル、ろうと混ぜ棒である。ビーカーは現像液、停止液、定着液の3液と水を汲むように一つの合計4つ。成分が混ざると困るので使い回しは推奨しない。
ペットボトルは液の保管に。これも最低3本必要である。本来はポリエチレン製の容器であるポリエ瓶を使用するのが望ましいが、ペットボトルであれば新たに容器を買う必要はないし、透明であるため中身の液体を確認しやすい。また、現像編で詳しく説明するが、液温を20℃にする際に、ボトルごとバケツに漬け込んで温度調整できるため非常に便利である。
ただし、PETはポリエチレンよりも耐薬品性は低いためボトルに異常がないか注意する必要がある。
温度計は薬液の液温を調べるために必要である。私は観賞魚用の水温系を利用しているが、樹脂製だと薬液に浸けたりしていると樹脂が変性してしまうので、先がステンレス製の物の方がいいかもしれない。
ろうと は薬品をタンクに移したり、タンクからボトルに戻したりするときに必要である。100均などで売られているもので問題ないと思うが、折り畳み式の柔らかいタイプのものは避けた方がいいかもしれない。混ぜ棒は粉の薬品を水に溶かすときに必要である。カフェなどでもらえるプラスチック製のもので問題ない。ただし、割り箸や木製の混ぜ棒は推奨しない。木片が液内に落ちたり、木が水分を吸うため、表面の薬品を拭っても拭き取れないのでお勧めできない。
これで処理に必要な物は以上である。突っ張り棒か紐を風呂場などに掛けて、そこにネガを吊るして乾燥させる。棒に固定するのと、下に錘として使うためにダブルクリップを二つ用意する。クリップの棒への固定はクリップに輪ゴムを結び付けて、棒に引っ掛ければよい。ちなみに専用の用品も一応あるが、二つで800円ほどするのでクリップで代替すれば良いと思う。
これで必要な用品類は以上である。他にもあると便利なものはあると思うが、最低限これさえあればなんとかなると思っている。今回は必要な用品類までを解説し、実際のプロセスは次回に回したいと思う。
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Webギャラリーをやっています。機材の紹介やら白黒のスナップ写真をエッセイ風にまとめたものを掲載しています。ぜひご覧ください。
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YouTube始めてみました。