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私と一眼レフ
昨年の8月頃に一眼レフのD780を買った。2年ほど前、FM2を買うとも思っていなかった私はFUJIFILMかNikonのAPS-Cサイズのミラーレスを買うつもりだったのが、フルサイズの一眼レフになっていた。
性格があまりよろしくない私は世間とは逆のことをしたくなるタイプで、画像編集でゴチャゴチャしたくないという理由でフィルムカメラを買った。こういう理由であるので、別にフィルムの色味がどうとか、「エモい」かどうかなんて別に何でも良いわけである。
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私は一応”Z世代”と呼ばれる世代に属するわけではあるが、「エモい」なんてボキャ貧なことは言いたくない。しかしながら見たこと感じたことを自由に伝えられるほど語彙が豊富な訳でも無い。だが、既にこれまでコンデジやネオ一眼で写真をたくさん撮ってきたではないか。全ては伝えられないかもしれないが写真なら私の視線を共有することはできる。
カメラは何にしようか。ミラーレスの進歩は日進月歩でその進歩は素晴らしい。APS-Cにすれば小さくて軽い。しかし、偶然にも押入れからフィルムカメラが見つかった。取り敢えず一番普通なフィルムであるFUJICOLOR100を詰めてみた。初めて見る光学ファインダーはα3xiでも十分感動できるほど美しく、これまで写真を撮っていて感じたことのないくらい楽しかった。
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FUJICOLOR100
現像すれば茶色いネガが返却される。そこには確かに光が通った跡が残っている。私は調べた。他にどんなフィルムがあるのかを。感度400のフジのフィルム。Kodakのやたらと高いが人気のあるPORTRAシリーズ。果てはvelviaやproviaのようなリバーサルフィルム。色が反転せず現像したフィルムそのものを楽しめるという。撮影の難易度は高いがその美しさは別格らしい。しかもこれはどうやっても加工できない。スキャンしたデータを弄ることはできるが、現像済のフィルムは修正できない。
私にぴったりじゃないか。これはやってみるしかない。しかし、α3xiでは色々と不安が残る。そこで信頼性が高いNikonでかつフルマニュアルのFM2にした。
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FUJICOLOR100
FM2で初めて撮った1枚。
高いカメラを買って失敗したらカメラは最高のものであるから自分が悪く、言い訳できないという人がいる。そんなことはない。たとえ安いカメラでも失敗すれば使いこなせない自分が悪いのである。フルマニュアルであればカメラは何もしないので失敗の原因は全て私が引き受けねばなるまい。
何もしてくれないカメラを舟に、フィルムをオールにしてデータの海を渡ろう。そして時々リバーサルフィルムで現在位置を測ろう。
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白馬の定宿 「入山登」
そうやってFM2と航海を続けてきたが、新しい仲間が欲しくなった。オールだけでは速度が出ない。舟にエンジンを付けることにした。付けると言ってもちゃんと舟に付くものを選んでこなければならない。そこで私は同じFマウントで同じセンサーサイズになるフルサイズ一眼レフにした。
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真新しいファインダーは埃が1つも入っておらずクリアで明るい。なんてこともない景色も美しく見える。しかし、新品のカメラだったとしてもその機能は最新式のミラーレスには太刀打ちできない。ファームウェアが更新されることもあまりないかもしれない。だがそんなことは別になんでもいいのだ。イメージセンサを介さずに自分の目で眼の前を直視する。これは光学ファインダーでないとできない。むしろ、デジタル一眼レフを新品で買える最後の機会に逃さずに手に入れられたことに喜びを感じているのだ。
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D780でたくさん写真を撮るようになるとピント合わせも早くなったし、露出の感覚もより磨かれた。ファインダーも非常に見やすく、スリットがなくても簡単にピントを合わせられる。たまにリバーサルを使ってみると、ピントが外れていることは減ったし、白飛びさせることも減って上達を感じられた。
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自分の目で見て、道と行き先は自分で決めたい。そんな私にとって一眼レフはちょうどよかった。最新の機能は不要であるし、もはや世の中の潮流に流されることもない。そんな一眼レフとこれからも旅を続けよう。
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