中島雷太 / 英国登録建築家 / 僧侶

イギリス/ヨーロッパ/中近東/東南アジアで20年余り建築家として活動。帰国後、主に建築プロジェクトPM業務を提供する中島製作所を設立。PLP ARCHITECTURE駐日代表。真言宗僧侶。建築のフィールドを通して社会の世相を様々な視点から考える。

中島雷太 / 英国登録建築家 / 僧侶

イギリス/ヨーロッパ/中近東/東南アジアで20年余り建築家として活動。帰国後、主に建築プロジェクトPM業務を提供する中島製作所を設立。PLP ARCHITECTURE駐日代表。真言宗僧侶。建築のフィールドを通して社会の世相を様々な視点から考える。

最近の記事

高校球児と丸刈り頭

今年の高校野球は試合の結果もさることながら、高校生のヘアースタイルの話題が全国レベルのトップニュースという異常事態をみせた。うだる暑さでとうとう一億総員頭のネジが緩み始めたのか?これだけ国民が大騒ぎするというのが、世間が「ヘアースタイルを気にしている」という紛れもない証拠であり、完全に学生の「自由」でいいというわけではない証拠である。この結果全国何千とある高校野球部が「ウチはどうしようか?」という難しい課題に取り組まなければならなくなり、それこそ「野球どころではない」という結

    • 高校球児の髪型。。。

      今年の高校野球は試合の結果もさることながら、高校生のヘアースタイルの話題が全国レベルのトップニュースという異常事態をみせた。うだる暑さでとうとう一億総員頭のネジが緩み始めたのか?これだけ国民が大騒ぎするというのが、世間が「ヘアースタイルを気にしている」という紛れもない証拠であり、完全に学生の「自由」でいいというわけではない証拠である。この結果全国何千とある高校野球部が「ウチはどうしようか?」という難しい課題に取り組まなければならなくなり、それこそ「野球どころではない」という結

      • SDGって。。。

        僕は実家がお寺ということもあり、これまでお寺さんでお勤めをさせて頂く機会が多くあった。小学生の頃には、京都のお寺さんで開催されている夏休み体験修行のような催しに泊りがけで参加していた(させられていた)。 お経を読んだり、説法を聞いたり、作務を手伝ったりしたのも何となく記憶に残っているが、食事の作法が一番記憶に鮮明である。 当然食事は精進料理で、朝ごはんは白いご飯、お味噌汁、漬物、ちょっとしたおかず程度だったと思う。食事の終わり頃になると急須に入ったお茶がテーブルの端から回され

        • 正論か世論か?

          何かのきっかけで田中正造の逸話が小学校の教科書に載ってたなと思いだした。ネットで調べてみたら、僕の世代だと6年生の国語の教科書に載っていたらしい。 田中正造は明治時代の栃木県出身の政治家で衆議院議員まで務めた人である。地元の足尾銅山から出る排水によってもたらされる公害とそれに苦しむ農民を目の当たりにして、問題解決を目指して様々な活動をしてきた人で、その象徴的な事件が明治天皇に直訴状を手渡して事態を知ってもらおうと、天皇陛下の行列に向かって単身飛び出し書状を渡そうとした事件で

          飛行機の旅と旅情

          先週末のシンガポール旅行で「飛行機に乗る」事について考えた。コロナ禍で大打撃を受けた航空産業は多分立ち直りの途上にあるのだろうが、コロナ前もしくは20世紀スタイルの飛行機に乗るスタイルにはもう戻れないのかなと思った。 僕たちが70年代からこれまで体験してきた飛行機に乗る行為は、19世紀の客船旅行スタイルの延長にあった気がする。キャプテンがいて、豪華なおもてなしと食事やお酒の振る舞いがあって、特別な時間を演出する「体験重視」の産業だったのかなと思う。 今回の旅行でこの産業に

          シンガポール旅行で思ったこと

          夏休みが取れなっかたので、弾丸旅行でシンガポールに行ってきました。楽しかったというより色々考えさせられてしまいました。 まずは成田空港が地方都市のシャッター街の様に閑散として「日本のゲートウェー」としてはあまりにも寂しい様子だったこと。海外に開かれていないとは言え、もう立ち直れないぐらいに施設が沈んでいる様子だった。 物価の違いの著しさ。円安やら世界的な物価高やらが原因とは思うけど、特に日用品や食料品の物価が高く感じました。 社会インフラの成長。地下鉄に乗ろうとして切符

          シンガポール旅行で思ったこと

          建築家として浪花節

          https://www.youtube.com/watch?v=RLnhEZBzNdU たまたま忙しかった金曜日が明けた土曜日の朝、たまたま観たYOUTUBEのロバート・デ・ニーロのスピーチを聞いて感動してしまった。 50歳を過ぎても、どんなに気丈に振る舞っていても人生不安だらけである。これまでの人生の中何度も訪れた分岐点で、安定した「成功」の道に唾を吐いて、「なんとなく」魅力的に見えた道を選んできて。大企業でスーツを着て着実に出世して安定した年金生活を迎えて。。。って道

          広島原爆慰霊碑とイサム・ノグチ

          たまたま観たNHKの番組で、広島の原爆慰霊碑は当初イサム・ノグチ氏のデザインでつくられることになっていたと知りました。それが、何らかの理由でくつがえり現在の丹下健三氏デザインの慰霊碑になったそうです。 どちらのデザインがいいかという議論は難しいのですが、個人的にはイサム・ノグチのデザインの方がちょっと縄文土器っぽくて、女性的で、好きです。 現在の丹下先生デザインの慰霊碑はコンクリートの劣化で今後どうするかが検討されている様です。いっそこれを機にイサム・ノグチデザインの慰霊

          広島原爆慰霊碑とイサム・ノグチ

          アメリカの高校生のLGBTQ事情

          僕たち世代の日本人にとって、アメリカの高校生活は映画やテレビドラマでしか垣間見れない憧れだった。キラキラした太陽の光と、ちょっと大人ぽくって背伸びした世界と、ドタバタコメディーのハチャメチャ感と、フィービー・ケイツの様な見たこともないかわいい女の子と。 夏休みで一時帰国していたアメリカに住む姪っ子達の現地での高校生活を聞いていると、全く違った意味ではあるけどアメリカの生活は想像出来ないほど「進んで」いた。 アメリカは良くも悪くも社会制度の実験場のような国であるが、日本でも

          愚民の街東京。。。

          NHKの「映像の世紀」というシリーズはドスンと心に響く素晴らしい番組が多い。たまたま数日前にテレビで見たのは関東大震災から太平洋戦争までの東京の壊滅と復興の歴史についての番組。 途中から観たので断片的な理解しかできなかったが、特に考えさせられたのは関東大震災で壊滅的な打撃を受けた帝都東京とその復興計画について。 当時の都知事(内務大臣?)だった後藤新平は10万人あまりの被害者の内9割近くが地震でなく火災によって亡くなった事、火災に巻き込まれ全く逃げ場を失い亡くなった悲惨な死

          人間がカバ(バカ)になる為に

          夏なのでプールでひたすら泳いでいると、色々くだらない事を考える。 自分も巨漢の部類に入るので、この暑さの中地上での活動が困難になってくると、そう言えばカバは水の中で生活してるなと思いを馳せる。 アフリカの灼熱の中、あの巨体と短い足で動き回るのは困難と理解し、日中は水の中で浮力と涼しさを享受して、夜だけ陸に上がって必要最小限の活動をする。 人間もそれでいいんじゃないかと思う。 この殺人的な暑さの中、昼間っから会議やら商売やらにかけずり回り、暑いからとエアコンぶん回し、それでエネ

          人間がカバ(バカ)になる為に

          「宗教」っていうと敬遠されるかもしれないけど。。。

          政治家が暗殺されるというショッキングなニュースを受けて、犯行の引き金となったとされる宗教団体とその活動に注目が集まるようになった。そんな中、先日床屋で散髪をしながら、若い店員さんとこの事件について話をしていると、「やっぱ宗教って恐ろしいですね~」とその店員さんがしみじみ漏らしていた。 僕の実家がお寺だということは伏せておきながら、はてさて「宗教って厄介なものなのか?」と、加えて社会一般では通念的に宗教全体が厄介者扱いされているのかと考えてしまった。 現代社会の日本では、宗教の

          「宗教」っていうと敬遠されるかもしれないけど。。。

          フェイクな感じの「木造」。。。

          建築・建設業界で「木造」がホットトピックになって久しい。だいぶ以前から地道に木造建築の可能性に取り組んできた方には一時の流行りのように感じられるか、やっと時代が追い付てきたと感じられるかわからないが、様々な取り組みが実際のプロジェクトでも取り入れられて新しい木造建築として世の中に紹介されている。 そんな中、ふと思い出すのが以前担当していたヨーロッパの製薬会社の東京オフィス移転プロジェクトでクライアントに指摘されたこと。都内のオフィス移転・内装プロジェクトで設計とPMを担当して

          フェイクな感じの「木造」。。。

          街の本当の魅力って何だろう?

          今週は暑さも一段落しているようですが、梅雨明け直後の暑さは酷暑と言っていい感じでした。「暑いとプール」という思考は小学生から成長していない証拠ですが、やはりプールに行きたくなり、小学生の子どもを誘ってどこか大きな屋外プールに行こうと試みました。 世界の住みたい都市ランキングでは常に上位に入り、1000万人以上の住民を抱え、世界経済中心の一つであり、何にも増して日本の首都である東京ですが、「小学生の子どもと週末プールに行く」という行為がどうしてこうも面倒なのか?僕の基準が皆さ

          街の本当の魅力って何だろう?

          チーズバーガーの偉大さ

          日本ではじめてマクドナルドが出店したのが1971年ということだから、僕たちの世代はファーストジェネレーションマクドナルドキッズかと思う。最近吉野家の幹部が「若い頃からわが社の製品の味に慣れ親しんでもらいたい」という主旨を、全く違ったウィットで表現して問題になったが、僕らの世代は小学生の頃からマックの味に慣れ親しんだ世代と言えよう。 僕のアメリカ人の友人が、マックの偉大さを「世界中どこに行っても、全く同じ味の食べ物が食べられるその安心感は絶大である。イタリアであろうが、ケニアで

          今、都市生活者に必要なもの

          コロナ禍で沢山の人が亡くなったり、生活に深い苦労を強いられたりして何年も経つ。これだけ世界中の人々が苦しめられたのだからもう安らかな生活が戻ってもいいだろうと思うのだが、戦争があり、経済の不安が続き、地震や天災が間近にあると脅かされ、いったいいつになれば安穏とした普段の生活が戻るのだろうと思ってしまう。 そんな中、報道で伝えられるのは、様々なやるせない犯罪だったり、本来世間の見本とならなければならない人の社会を裏切るような行為だったり。 これだけ社会全体が様々な次元で不安