
Photo by
shokonote
切なくて、儚くて、眩しい朝
元彼の夢を見た。
彼は、夢の中でも優しくて、穏やかで、涙が出るほど、暖かかった。
夢の中で、私は彼に手を伸ばした。
あと一歩。あと一歩で手が届きそうなところで。
目が覚めた。
私は泣いていた。
「...なんだ、夢か...。」
..まだ、好きだったんだな..。
その事実に、胸がキュッと苦しくなる。
忘れようと、彼のことを思い出さないようにして忙しくして、やっと、忘れられた。そう思っていたのに。
「夢の中まで出てくんなよぉぉ....」
そう落胆してため息をつく。
恋愛はものすごく、不確かで、不安定で、掴みどころのない、いわば、ぷるっぷるのゼリーみたいなもの。
「Fragile」と貼っておかないと、油断しているスキにすぐに壊れてしまう。
「よし、現実はこっち。今日も1日が始まる。」
そう自分に言い聞かせ、ヨイショと起き上がる。
ミーンミーンミーン。
外で早くも蝉が鳴いている。
カーテンからこぼれる眩しい光。
「..もう夏かぁ...!」
大学生活最後の、夏が始まる。
(それにしても、夢に出てくる場所も人も妙にリアルで、不気味なほどだったな...。)