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『0』 ryo irei


始まりはいつも突然で
終わりはいつも必然で
願われた奇跡の時計は
60億の明かり全てに降り注ぐ。

孤独を紛らわすように生きたけれど
旅に出るときはいつも一人だ。

誰かの心に一欠片でも
何かを残せたことが幸せだったし不幸せだった。

誰かを愛せたことが
幸せだったし不幸せだった。

ただ
寂しくはなかった。

満足をしていた。

歩き出した足に自らの意思を持っていなくとも、
後ろ向きに進む足には意思があって、
最後はそれを知っている。

怯えながら、忘れながら荷を下ろして
0に近づけていくこの時間が
愛おしい。

0になった
孤独な0には
愛が宿っていた。

 

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