仕事が辛くてたまらないと感じている新入社員に向けて

 仕事辛い。会社行きたくない。辞めたい。
 そう思ってこの記事を開いた人に向けて、色々とメッセージを描く。

1.仕事って辛いよな

 ホワイト企業、働き方改革、コンプライアンス。
 こんな言葉が蔓延る世の中になったというのに、仕事はクソだ。

 余程のホワイト大企業でもない限り、新入社員は辛い思いをする。
 誰もが叱られることだろう。ミスしてしまったこと、失敗してしまったこと、抜けていること、出来なかったこと。ありとあらゆる欠点を指摘され、お叱りが飛んでくることだろう。何かやるたびに説教。ちょっと動くたびに説教。文字を一文字間違える。メールの文面を少し間違える。言葉遣いを間違える。マナーを間違える。その度にお叱りを受けることだろう。

 辛いよ。マジで。
 分からないことは聞けというくせに、聞きに言ったら自分で調べろと言われる。
 読み辛い文字の塊をマニュアルと称して手渡され、それで教育が終わる。
 会話をするときはメモが必須で、一度言われたことは完璧にこなさなければならない。
 上記全てを踏まえ、頑張って何かを仕上げても、遅いだのダラダラしているだの完璧じゃないだのと言われ、あれこれと減点される時間が始まる。
 業界によっては帰った後も勉強しろと言われるし、平気で休日にセミナーに行くよう言われたりするだろう。もしかしたらサービス残業だって強いられるかもしれない。無理難題を新人に吹っ掛けるようなところだって、未だに大量に存在する。

 ツイッターやyoutubeに慣れている人は特に思うだろう。
 やってらんねーよと。
 もっと優しく教えてくれよ。一度二度言われた程度じゃ分かんねえよ。教育体制がしっかりしてないのに、全部の負荷を新人に投げつけてんじゃねえよ。こちとら何も知らないんだぞ。まだ入って一ヶ月も経ってないのになんでこんな言われなきゃならない。よくそこまで人を傷つける言葉を平気でポンポン使えるな。ふざけんなカスが死ね。

 分かるよ。マジで分かる。
 そして退職だの転職だのを考え始めるようになるんだ。

2.大事なのは忍耐

 だからこそ言おう。耐えろ。

 一年耐えろ。一年は長すぎるなら、三ヶ月耐えろ。話はそこから始まる。
 状況に流されるんだ。何かしようとしなくていい。自己主張なんて一切するな。むっとしても顔に出さずハイハイ言え。
 抵抗せず、言われたことに頷き続け、目の前の物事だけに集中しろ。流れていく時間、言葉、仕事。そういったものに逆らわず、身を任せてしまえ。

 辛かったら逃げていいとか、辞めても他の場所があるさとか。
 そんな無責任な甘い言葉を信じるな。
 入った会社で、出来る限り自分が傷つかない生き方をまずは探せ。
 無能と言われる? 無気力とされる? それでいい。人生長いんだぞ。最初は無能とみられた方が楽だ。プライドがあるなら後にしろ。その会社である程度経ってから逆襲するために、今は爪を隠して牙を研いでおけ。

3.耐えろて。こんな地獄もう無理だが

 まず前提として、社会は辛く厳しいのだということを理解しろ。

 たしかに世の中のどこかには、お前の理想とする職場はある。クソホワイトで、誰もが優しく、全てが整っている世界。探せばどこかにあるだろう。
 だが、それが夢であることは理解しているはずだ。世の中多くの人間はクソだ。何万人もの客と会話し、何千もの企業を見て、何千人もの事業者や経営者を見てきた僕が断言してやる。誰もお前のことなんて気にかけないし、暴言や叱責を当然のことだと思っているし、それが当たり前だと思っている。お前が間違っていると思っている世界を当たり前だと思う人間の方が、世の中には圧倒的に多いのだ。世の中クソなんだ。これが事実だ。

 その上で、新入社員や新社会人がまず身に付けるべきは『耐性』だ。
 この世で一人で生きていくということがどれほど大変なのか。どれほど嫌なことにまみれているのか。どれほどクソなのかを理解し、許容するところからお前達は始めなければならない。

 お前達は安い覚悟していたはず。
 働くって大変なんだろうなー、でも頑張るぞ、って。
 けれど、そんな覚悟はもう砕けただろう。想像の数倍、やってみると辛かったよな。だからここにきているわけだ。

 でも、それが現実だ。

 あいつらは変わんねーんだよ。価値観違うから。
 だったら自分が変わるしかない。この世界で、ちゃんと稼いで、立派に大人やっていくためには、自分の方が変わらなきゃいけない。
 駄々を捏ねても誰も助けてくれやしないのだ。「大人なんだから」とか「社会人なんだから」みたいなことを言う奴は一生湧き続ける。だからお前は、それをまず認める必要がある。

 曲げろ。曲がれ。
 社会ってのはそういうもんなんだなって受け入れろ。
 ストレスに対する耐性を付けるんだ。これは必須だ。ストレスのない道を歩みたいかもしれないが、それは無理だと知れ。豪運がないとそんなものにはありつけない。
 辛い思いをしなきゃ社会では生きていけないのだ。このどう考えても狂っているとしか思えない現状を、そういうものなのだなと受容しろ。

4.認めました。何すりゃ良いすか?

 まず、認めろ。

 そして流されろ。自分が擦り切れないように。手を抜いたっていい。誰かに何を言われても構わない。自分がクソだと思っていた奴がなんか言っとるわ。その程度に思っておけ。
 お前は自分なりに頑張って、それでも通用しなかったんだ。そのお前に出来ることは、ただ自分が傷つかないように休むことだけだ。

 そしたら余裕が少しだけ出来るはずだ。
 次は言われたことを完璧にやれるようにしろ。
 完璧というのがミソだ。どんな小さなことでも死ぬ気でやれ。手を抜くな。時間をかけても構わない。自分に任されたもの全てを100%に仕上げ続ける。その作業に全てを費やせ。
 何を言われても、100%完成させることを優先しろ。質問をしろ。どうしても質問出来ないなら時間をかけまくって自分で調べて、100%まで持っていけ。少なくとも前回指摘された部分だけは死ぬ気で注意して丸を貰えるようにし、成果物は現時点での自分の最高傑作だと言い張れる質へと持っていけ。

 俺は抜けが多い人間なんだとか、100点を取るのは難しいよとか。
 その気持ちは分かる。ADHDだのASDだのもある。向き不向きもある。完璧なんてのは誰にとっても難題でもある。

 でも、出来るはずだ。
 チェックしまくって、時間をかけまくれば、ミスや抜けは限りなくゼロに近付けることが出来る。これはもうやるしかない。なぜなら仕事において、100点以外のものは全て0点でありお叱りの対象となるからだ。それで金銭を稼ぐ以上、不備は許されない。常に最善で最優であることを示さなければ、それは仕事と呼べないのだ。

 バカみたいになって穴を埋めろ。
 一度ミスしたものはメモやノートに書き込んで見えるところに置いとけ。
 仕事ってのは100点しか評価されない。常に全力を出せ。疲れたっていいだろ。金は貰えるんだし、100点を出せば叱られないんだから。
 まずは小さなことから一つずつ、100点を取りに行け。

 マジでこれを徹底しろ。
 教わったこと以外も知っているとか、言われてないことも出来るようにするとかじゃない。
 教わったこと、言われたことを100点に近付ける作業に全てを注げ。
 忘れっぽかったり、注意力散漫な奴は苦しいと思うかもしれない。でもやれ。やるしかないんだ。
 「俺はこういう人間だから配慮してください」は絶対に辞めろ。

6.いや、それってお前らの都合じゃん。配慮するのが社会人マナーだろ? 配慮してくれよ。

 4で少し強い言葉を僕は使った。「やれるようになるまでやれ」と
 それに対し多くの人はこう思うだろう。「それが出来たら苦労しねえよ」

 でもやるしかねえんだわ。悪いな。

 真面目に答えると「俺に配慮してくれ」は本当にやめた方が良い。
 分かるよ。きついし辛いし余裕ないよな。自分のことを少しは労われよって思う気持ちは誰もが抱える。余裕あるはずなのに誰も助けてくれん。死ねカス共がと恨みの気持ちを必死に押し殺して、知らない慣れない作業をする羽目になる。

 でも考えてみろ。今のお前の最善策はなんだ。
 怒りに任せて当たり散らすことか。投げ出して仕事を辞めることか。文句を言ってこうしてくれと伝えることか。意趣返しに凄んでみせることか。

 違う。それじゃあどこへ行っても同じことの繰り返しだ。
 やるしかない。自分のための勉強だと思おう。そんな立派な理由じゃ納得できないなら金のためだ。月に一回しか貰えない金のためが遠い理由だと感じるなら、今日の夜のためにだ。
 「今日はクソ頑張った。俺はマジで偉い」と言って布団に入るために、全てを我慢してやるのだ。

 これでも「知らんわ辞める」って思うのであれば、理詰めをしよう。

 お前が今辞めたところで誰も苦しまない。会社の奴らは新人いなくなったなで終わり。もちろん少しはビックリするが、一週間ほど雑談のネタにされて忘れ去られる。
 対するお前はどうだ。確かに一時クソ気持ちいいが、転職活動を頑張る必要が出てくる。履歴書にもちょい傷が残る。正社員であれば雇用保険があるので必ず次の会社にバレるのでね。何より収入源が途絶える。そして辞めたところで次に何するかを考えてなければそれは意味がない。Youtube見たりゲームしたり漫画するために辞めたのだとしたら、それは多くの場合後悔に繋がってしまう。

 また、多くの奴はどれほどクソ企業クソ従業員クソ社長死ねと思って退社したとしても、心に傷を負う。
 何をやっても続かない。俺はダメな奴なんだ。忍耐力がなかったのかな。そう思ってネガティブになる奴はマジで多い。というか「運悪かったな! 次次~~~!」と言えるような奴は多分ここに来ない。

 だとしたら分かるだろう。
 辞めずに務めるのが最良だということを。
 だけど務めるのが辛すぎるから、何かを変えなきゃいけない。
 なら、変わりっこない他人より、変えられるかもしれない自分を変えるのが一番合理的なのだ。

 尚、これでも辞めた方が良いと思っている奴は段落8.例外まで飛ぼう。

7.少しずつ変わっていく

 目の前の物事を100点にする。
 見えている課題だけは完璧に仕上げる。
 これを少しずつ積み重ねていくことで、お前は認められる。
 なぜなら世のクソ大人達はそういう評価軸を持っているからだ。

 新人が辛いのは当たり前だ。
 ミスした奴が怒鳴られるのは当たり前だ。
 教えるなら初めの内だから、心を鬼にしてキツイ言葉で教えてるんだ。
 お前のためを思ってやってやっている。
 だって俺も新人の頃は、それぐらい大変だったんだから。

 こんな思想を持つ奴は腐るほど多い。くっそくだんねえよな。でもこれが彼らの思考回路だ。認めるしかない。
 だがそんな奴らも、流石に100点の答案には何も言い返せない。だって100点だもん。貶しようがない。

 100点を取るのだ。最初は単純で簡単で誰でも出来る作業から。
 コピーでを取るのでもいい。挨拶をするのでもいい。電話対応でもいい。書類にちゃんとハンコを押すとか、名前をしっかり書くとか、書類をしっかり綴じるとか、ファイルを綺麗に作るとかでいい。
 少しずつ百パーセントを積み重ねろ。全く未知の課題に対してもだ。例えどんなに頑張っても90点しか取れん、残る10点を取るには経験も知識も何もかも足りんって思っても、自分にとっての100点を、仕事を振ってきた相手にとっての100点を目指し続けろ。

 言われたこと以外、手を出したり学ばなくていい。
 入社してから半年は、自学習だのする必要はない。

 まずは社会のクソさを認め、水に慣れろ。
 泳ぎ方を学び、呼吸の仕方を知って、余裕が出てから、何かしよう。
 それまではロボットになれ。
 「おはようございます。かしこまりました。申し訳ありません。よろしくお願いします。お疲れ様です」
 この五つの言葉だけ使って生きろ。もう死んだ目で連呼するだけでマジで良い。これは冗談ではなくマジの話だ。これだけで一~二ヶ月やっていける。もちろん雑談とか、仕事の会話もする必要はあるが、怒られてる時とか特別な会話がないならこの五つだ。沈黙は金、多弁は銀なのだ。

 そうしたら、徐々に変わってくる。
 何が変えてくれるのか。仕事に慣れて成長するから? 余裕が出来て色々出来るようになるから? 耐性がついて何とも思わなくなるから? たしかにそうなのだが、そこには頑張りが必要になるし、人によってはきつい部分もあるだろう。それではない。

 時間だ。
 時間が全てを解決してくれるのだ。
 勝手に流れていく時間というものが、勝手にお前を社会人にしてくれる。
 具体的に言えば周りが変わる。お前がいるのが当たり前の会社になっていく。お前にとっても会社が生活の当たり前になっていく。全てが丸く回るために、在り様を勝手に変えていくのだ。

 新人の辛さの大部分は生活環境の大きな変化に由来する部分が非常に多い。見知らぬ人、知らない仕事、慣れない生活スタイル。変化は生物にとってストレスで、それが一気にのしかかるせいで辛さが乗算されている。
 だから、時間が必要なのだ。そのために耐えて、目の前の一つのことをちょっとずつやる三カ月が、新人にとって一番大切なことなのだ。

 後は簡単だ。閉ざしていた心を解放しよう。
 三カ月もすればもう好き放題やっていい。あれこれ好き勝手口にするなら三か月後から。その時にはもうお前は異物ではないのだから。まぁそこから異物になるかもしれんが、それはまた別の話なので取り扱わない。

 要は時間は偉大だということだ。
 そのために、流れに身を任せるのだ。
 本当に楽になるはず。なれなかったら叩いて良いぞ。
 まずは明日、やってみてくれ。 

8.例外

 ここまで書いたことが何一つ心に響かず、流されろだの100点を取るだのといった言葉に対し「ふざけんな」ではなく「……はぁ」とかため息ついちゃったそこのお前。
 過労死か精神病を患う気配がプンプンするなら退職しろ。

 僕は高校の同級生が一人、大学の友達が二人、日本社会に殺されている。比喩ではない。マジで死んだ。
 精神病や身体的な怪我を負った奴は他に四人ほどいる。知人まで足を伸ばせば十人以上。真面目にシャレになっていない。一応言っておくと、ちゃんとした大学の院まで出た奴らばっかりだ。良すぎる奴らほど早死にする。

 まぁ死は救いなんて言葉もあるし、中には自ら望んで花火のように燃え上がって燃え尽きた奴もいる。特に何かを言いたいわけではない。
 ただ、人を殺す職場は実際にある。それも上場企業にわんさかと。
 それだけは伝えておく。

 もしお前が擦り減り続けた消しゴムの残りカスみたいな状態なのだとしたら、今すぐ退職しろ。退職代行使ってもいいし、最後の機会なので無敵のメンタルで上司に辞表叩きつけてもいい。メールだけでもいい。
 そして市役所に駆け込め。間違っても「精神病院で鬱って診断取ってから辞めよう」は辞めろ。色々理由はあるが、退職と市役所が先。
 まず国に助けてもらえ。生活保護を受けにいき、そこで退職給付金を受給しろ。受給条件満たしてないなら親に泣きつけ。親がいないなら友達に泣きつけ。それも出来ないなら上司かその辺歩いてる誰かをぶん殴って警察行って保護してもらえ。そして泣け。感情の赴くままに喋れ。
 僕はおふざけじゃなく真面目に言ってる。どうしようもなくなったら、これが一番正しい手順だ。

 だが一方で、若気の至りでそこそこ優良だった企業を退職し、ヒィコラ言ってる奴はもっといる。
 新入社員や新卒は、マジで辛い思いをするのだということを、冗談か何かだと思ってる奴は大勢いる。断言する。百人いたら九十九人は辛い思いをする。これは現代日本がどうとかじゃない。縄文時代からずっとそう。縄文は嘘ついたかも。少なくとも文明が興ってからはずっとそう。
 学生と社会、子供と大人。この二つの間には天と地ほどの高低差があり、ハワイと北極海の海ほどの寒暖差がある。それを理解しよう。

 皆辛い思いしてるんだから我慢しようね、ではない。
 辛い中でちょっと歯を食いしばるのが、生きていく上で必須なのだ。
 やらなきゃ生きていけないのだ。

 ちょっとでいい。本当に。
 頭の中で楽しいこと考えながら、ひたすら流れ流されているだけで、お前は絶対に少しは楽になれる。

9.最後に

 僕は「生きてるだけで偉い」って言葉が好きじゃないんだけど、「新入社員が毎日会社に来るだけで偉い」は事実だと思っている。
 マジで辛い。まーじーでー辛い。マジ辛い。やべえよなホント。世の中ガチで狂ってる。全員ぶち殺してやりたくなる。全員俺を甘やかせよって思う。こいつら見る目なさすぎだろ死ねって呟いてしまう。
 それなのに会社に来て退社時刻までデスクに座っていられるお前らは、空に輝く満天の星空よりも美しいと僕は断言できる。

 今だけだ。辛さに終わりは来る。
 認めて、流されて、しばらく経ってからもう一度考えよう。
 惰性で勤めているだけでも、なんだかんだでそれはお前の糧になる。
 退職すべきかどうかを考えるのは、後で大丈夫だ。

 以上、終わり。
 どうか頑張ってくれ。

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