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ただ、日々が少しずつ辛い

ㅤすし詰めになった通勤電車に乗り込むために、地下鉄への階段を下りる時、もし今ここで躓いてしまえば、僕の身体は滅多打ちになって、骨はぐちゃぐちゃに砕けて、もう、楽になれるんじゃないかって、いつも思う。でも、きっとものすごく痛いんだろうなぁと思って、いつも躓かないように注意している。
ㅤ死にたい、殺したい、自分を殺してしまいたい。常にそう思ってる。
ㅤもし日本が銃社会だったら、何度自殺しているか分からない。でも、小さな拳銃だと楽に死ねる保証はないし、出来ればショットガンで痛みを感じる間もなく死にたいな。ぱぁって。花火みたいに。綺麗に頭が爆発四散する。そういえば、かの有名なカート・コバーンは自分を殺す道具にショットガンを選んだと聞いた。分かった。僕の命を引き換えに、彼を蘇らせるのはどうだろうか。あのニルヴァーナを蘇らせるのだ。そんな偉大なことを成し遂げるなら、対価として安楽な死の一つや二つ、渡してくれてもいいんじゃないか。自分を殺してしまうほど追い詰められた人間を生きた世界に引き戻すなんて残酷だ、なんて言葉は知らない。僕はただ、楽になりたいだけ。
ㅤ先日、就労支援施設の職員に、生活保護を受けるように勧められた。拒否したいけれど、かといって踏ん張る余力もない。あぁ、また、生きているだけで迷惑をかけてしまう。
ㅤもし人生を終える時が来るのなら、皆の記憶の中から僕の存在を抹消してほしい。酔狂なことに、僕が死んだら涙する人間は少なくないようだから。死ぬことで、人に迷惑をかけたくない。でも、生きることで、人に迷惑をかけるのもいやだ。八方塞がりだ。
ㅤでも、そんな魔法みたいなことが起きるのは、絵本や小説の中だけだから。きっと明日も僕は、地下鉄への階段を一段ずつ確実に、慎重に下りていくのだろう。


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