雨宮タビト自作解説②「ジェンガ」
はじめに
二作目です。ジェンガです。
えらく時間がかかってしまいました。
「ジェンガ」のお届けができます。
実際今まで書いた作品で一番好きな作品なんなの?と訊かれたらすごく悩んで「ブライアン」か「スリーピー」か「安田君」か、と呻吟した後、恥ずかしそうに
「ジェンガ」
と答えるのでしょう。
ジェンガ
その「ジェンガ」です。ある満月の夜、死んだ犬のことを考えていたら思い浮かんだ作品です。
ジェンガを崩しに来る猫、という話があって、飼い主さんが衰えたその猫の前でジェンガをして、崩しに来なかったのを嘆く、というのをどこかで聞いたんですね。誰から聞いたのかどこで聞いたのかも、そんな話が存在したのかどうかも、今となっては闇の中なのですが。
昔働いていたときに、最初についた先輩(女性)がめちゃくちゃ怖い人だったのですが、実家で飼ってた犬が死んだ日だけは、「すぐ帰りなさい」と早退させてくれたのを思い出します。
その人ももう、この世にはいないのですが。
BGM「犬と月」BONNIE PINK
夜の種族たち
僕は半年ほど心を病んで無職だった時期がありまして、そのときのことはよく覚えているのですが、その頃書いた小説がこの「夜の種族たち」と「ゴー・ナウ」の真ん中のエピソードになります。
妙に長い割に、あんましまとまりもないし、ただ勢いだけで書いた感じなんですけど、読んだ人からはなぜか好評です。
コンビニバイトの「李君」は別の作品にも出てくる予定です。
BGM:「夜明け」フラワーカンパニーズ
コオロギ
頼まれてから3時間で書いた作品です。その頃、ブラック企業に勤めていて、その会社の先輩が、しつこい勧誘電話にすごく丁寧に対応しているから、「切ればいいじゃないですか」と言ったら、「この人きっと、必死で電話してるんだろうなと思うと、かわいそうで切れない」って言ってたんですね。
そんなときにふと思いついたのがこの話で、ずっと温めていました。
BGM:「昆虫ロック」ゆらゆら帝国
マルボロ
今も昔も、報われない気持ちを書くのが好きで、この作品と「デイドリームビリーバーズ」は僕の中では対になっています。
まあ、今はそんなの関係ない時代になった、とは思うんですけどね。
チャットモンチーの「染まるよ」を聴きながら書いた作品で、仮タイトルも「染まるよ」でした。
この「琴子ちゃん」を好きな女の子の名前、「カヤ」といいます。そう、バンドをやっている可愛いボーカルの子です。
BGM:「染まるよ」チャットモンチー
冷蔵庫を取りに
この作品集の中で最も昔に書いた話で、引っ越す先輩の家に冷蔵庫をもらいに行ったときに、中の食材を適当に料理したら喜ばれた、という経験からきています。その先輩は女の人でしたが、結婚して引っ越したので、里子さんみたいな結末ではないんですけど。
BGM:「深海冷蔵庫」aiko
「デイドリームビリーバーズ」
この話は、昔夢にみたのがきっかけで書いたと記憶しています。友人から赤ちゃんの写真を渡されて、これで小説を書いて、と依頼されたとき、夢の中の景色とその写真が一致したのでちょっと驚いてしまいました。書き上げて、赤ちゃんが一回も出てこなくて、それもまあ驚いたんですが。
BGM:「QUEEN」アナログフィッシュ
ゴー・ナウ!
4つの別々の作品として書いたものが一つの作品になった、自分でもよくわからない作品です。タイトルはクラッシュ・イン・アントワープの曲のタイトルから。本当に、いいバンドだったんだよなあ。
病んでるときに、「そんなことしてないで会社に戻ってきてくださいよ」って言ってくれた後輩、あのときはすごく腹が立ったけど、今から思えばすごくありがたかったなあ、と思っています。いつかどこかで逢ったら、また笑えますように。
「ゴー・ナウ」はサブスクも音源もないので、BGMは岡田ひよりのリクエストで。
あ、これだ、ひょうたんがかけたCD。
BGM:「世界の終わり」thee michelle gun elephant
おかえりの月
病弱児童生徒のための特別支援学校にいたときに、看護士さんから聞いた話が元になっています。短いけど忘れられない話。
BGM:「おかえりさよならーSeiho Remix」maison book girl
https://open.spotify.com/track/5c0ogdktVWxSeXnG7Fuach
犬と月
mixi全盛期に、足跡が10000を突破した記念に書いたんじゃなかったかな。忘れてしまいました。
ジェンガを書くときに、BONNIE PINKの「犬と月」を聴きながら書いていたので、このタイトルになりましたが、もともとの題は「君の犬」でした。話自体ももう少しライトだった気がします。
松原君は漱石のエピソードを知らなかったんですかね。編集者なのにね。
幸あれ。
BGM:「君の犬」オオヤユウスケ
https://open.spotify.com/track/31qJLowMF7Z9aWRQCcYi15
おわりに
頭の中をさらすようで少し恥ずかしいし、こんなの読まなくても自分の好きなように読んでもらえればいいんですけどね。
いつか届きますように。
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