麻雀の押し引き(初心者編)
押し引きとはしばしば麻雀において最も重要であるとされる。
これは選択に対する結果の振れ幅が大きいというのが一つあると思う。60%と40%の勝率の人が戦っているとするとその分野における報酬が10と100ではまったく話が違う。テストでいうと配点が大きい分野という意味だ。
ただもう一つ思い当たる節がある。
麻雀は基本的で簡単な技術ほど重要度が高い傾向にある。難しくて高度な技術が勝敗を分けるのは基本的なことができているめっちゃ強い人同士が長期に戦った時極僅かな差として現れるくらいだと思っている。
押し引きが重要と言われるのは多くの人が最もできていない分野だからじゃないかというのが私見である。
麻雀を始めたばかりの頃から引きについて考えている人は多くない(恐ろしいことにいるにはいるのだが)。そして我流で守るということに意識がいかないままそこそこ打てる人になる。
即ち世の多くの初心者、初級者は押しすぎである。
そして中途半端に人に聞いたり変な学びで引きすぎる人というのもいる。また最初は無邪気に押せた危険牌が麻雀が分かってくると怖くなってくるということもあるかもしれない。そして過剰に怯えてしまう。
世の初級者の一部はビビり過ぎである。
つまり押し引きは初心者や初級者が一番苦手な分野でこの部分の出来不出来で差が付くから重要視されていると思っている。
じゃあどうすればいいんだろう?
何なら押していいの?
いつなら押していいの?
どうすればいいかではなくどう考えればいいかを少し話してみたい。
何故その牌を押すの?
例外もあるがほとんどの場合危険牌を押すのは和了るためである。
「自分の手を和了する」というメリットのために「危険な牌を切る」というリスクを取るのだ(形式聴牌という例外には今回は触れない)。
「どのくらい和了れるのか」「どのくらい危険なのか」が重要になる。
よって絶対に和了れない手は押してはいけない、押す意味がない。また絶対に放銃する牌も押してはいけない。
さて絶対に放銃する牌というのはほとんど無い。
だが和了は違う。絶対は嘘だがこれは無理というのはある。
私は初心者に最も多いミスがこのほとんど和了することが出来ない手牌から和了に向かっていって危険牌を押すというものだと思っている。
今思い当たる節があると思った方は劇的に強くなれるチャンスかもしれない。
何故なら他の分野は強いのにこの部分で大きく失点している可能性があるからだ。無理押しを止めるだけで強くなれるなんて大チャンスだ。
「今捨てようとしている危険牌」がどのくらい危ないかというのは難しいし危険なことに変わりはない。それよりもむしろ自分の手牌がその危険を冒すに見合うのか、自分の手牌に戦うだけの価値があるのかを考えてみよう。
押し引きってどんな時にでてくるの?
押し引きとはいつするのか。それは相手が前に出てきた時だ。
最も代表的な例が相手がリーチをしてきた時だろう。
相手のリーチはどう評価できるだろうか?
基本分からんのだが一つだけ確実なことがある。
「リーチしている人は聴牌している」
勿論当たり前なのだがとても重要なことだ。
他には副露に対する押し引きがある。ただリーチの方が大体ヤバイ。副露は絶対聴牌しているわけではないからだ(流石に4副露はほぼ聴牌してるけど)。
ダマテン(リーチしない面前手)のケアについては触れない。初心者どころか初級者でも必要ないからだ。ネット麻雀の例えば雀魂であればダマテンのケアを一切しなくても魂天になるに当たって支障はない・・・と思う。
敢えて言うならダマテンのケアくらいしかやることが無い時にケアすればよいかと思う。
リーチに対して押し引きをする
リーチに対して非聴牌で押し返すとどうなるのか?
「相手は自分の自摸とあなたの捨てた牌で和了抽選がある。なのにあなたは自分の自摸では和了抽選がなくまたあなたの捨てた危険度のある牌には放銃抽選が発生する。」
つまりとても不利である。よく聴牌してない手からリーチに押すなというのはこういうことである。
自分が聴牌してない状態からリーチに押し返すのはこの不利を跳ね返すくらい自分の手に価値がある時でなければいけないはずだ。
では聴牌しているあるいは聴牌した時ではどうか?
自分の手がどのくらいなら押していいのだろうか?
ここからは結構私見も含むのだがザックリと
・良形なら相手への放銃打点の半分くらいあれば押していい
・愚形なら相手への放銃打点と同等くらいあれば押していい
と思っている。
この根拠を実際に入れて考えてみよう。
1対1で2者が降りきれる前提(単純化のため流局無視)だと
「自分自摸」「相手からロン和了」「相手自摸」「相手に放銃」
待ちが同等ならこの4つは同等に考えていいだろう。
とすると自分の和了は50%、放銃25%、相手自摸25%になる。
降りても相手の自摸は被害が変わらないので、相手の打点の半分というのは和了率が放銃率の倍あると仮定できるからだ。
待ちが自分1に対し相手2の場合上記は
1/6、1/6、1/3、1/3と想定しよう。
すると自身の和了率(1/6+1/6=1/3)と相手への放銃率が同等になり相手への放銃打点くらいの打点があれば良いと仮定できる。
リーチの打点は子なら5200点、親なら7700点くらいを想定しておくと良いと思う。統計では非一発時子は5300点、親は7500点が平均だそうだ。
和了すると相手のリーチ棒がもらえる。
よって良形は2000点以上、愚形は3900点以上あれば押し返しがペイできそうだ、となる(まあリーチで迎え撃つ場合負けた時自分の取られるけど)。ちなみに相手が良形想定になっているので相手が愚形なら中のみ1000点の両面で押し返せる計算になる。
上記は非常に単純に考えた場合であり局収支でのみ考えている。実際は点数状況やルール、場の状況、相手への読みなどいろんな要素が絡むしそもそも上記の仮定は結構強引だ。だが参考程度にでも覚えておいてもらえると役に立つこともあると思う。
聴牌してれば結構戦えるということが分かるかと思う。
副露に対して押し引きをする
では副露についてはどう考えるのか?
相手が聴牌していれば対リーチの考え方が応用できるかもしれない。
だが副露は相手が聴牌しているとは限らない。いつから警戒すればいいのだろうか?
これもざっくりオススメなのだが
・3副露は警戒
・2副露は2段目(7巡目以降)から警戒
・1副露は3段目(13巡目以降)から警戒
これを一つの基準にしてみては如何だろうか?
まず3副露は大体聴牌である。偶に聴牌じゃないこともあるなくらいが体感だ。
そして1、2副露はそれぞれ13巡目、7巡目が統計で50%聴牌ラインだそうだ。体感もまあそんなもんである。
この辺を参考にして自分の手牌価値と相談して押し引きを決めてみてはどうだろうか?
手牌に価値が無ければもっと早くから警戒するし、手牌に価値があればもう少し押すのも面白いだろう。
ただ副露に関してはリーチより読みで限定できる範囲が増えるため雀力が向上するに従ってもっと高い精度で押し引きできるようになると思う。上記は本当にザックリとしたオススメ指針であり実戦はケースバイケースになることには注意だ。
最後に
私は人にあーしろとかこう打てとかいうことをあまり言わないよう心掛けているつもりだ。
自分で考えて試行錯誤することが強くなるために必要だと思うし、それが麻雀の楽しさの1つでもあると思うからだ。
今回どうするかというよりどう考えるかの一例を挙げたつもりだ。
押し引きを考える上で少しでもこれを読んで下さった方の助けになれたならとても嬉しいなと思う。
参考文献
・「統計学」のマージャン戦術p.80,81 著:みーにん様
・神速の麻雀(令和版)p.139 著:堀内正人様、福地誠様
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