春蒔秋

あずまあきです。 架空の手紙を書いたり、 有り体にエッセイを書いたりします。

春蒔秋

あずまあきです。 架空の手紙を書いたり、 有り体にエッセイを書いたりします。

マガジン

  • 釣り堀のエッセイ。

    なんで釣り堀でカッコつけてんの? 誰を意識してんの? 見てるのじいさんと魚しかいないんだけど。

  • 架空の手紙を、 架空のみんなへ送ってる。

    いやぁ、恋しいね! 手紙を送りたい季節になってきたねぇ。まぁボクにはそんな気安い友だちいないから! いつも架空の手紙を、架空のテラスハウスで、架空のみんなへ、架空で送りつけてる❤︎ え? なにを言ってるかよく分からない? ……ボクもだよ。

最近の記事

鳩に棲みつかれてから追い出すまでの話

さて、今年の春に引っ越した。 引っ越したので前の家の話をする。 1年だけ住んでいた家だ。 前の家の賃料、驚きの3.7万円。安い。 共益費5千円を合わせても4.2万円。格安。 大阪市内、御堂筋沿線、1DK、風呂トイレ別、クリーニング済、キッチンは新品。 エレベーター無しの4階だったことを考えても、好条件だ。 更に入居直後に壊れたエアコンは、大家さんのご厚意で翌日新品に取り替えられた。ちょっと怪しいぐらいの優良物件。 なんでこんなに安いんだろうかと疑いながら、2月に入居。

    • 裁判所で名の変更をしました

       親との確執があり、改名に至りました。  わたしの準備物と手続きの詳細を書きます。  今苦しんでいる誰かの一助となりますように。 1.背景 わたしの名前は、両親が占い師に相談して決めたものだ。占い師とは母と祖母が傾倒している人だった。結婚相手を決めるのも、引っ越しするのも、学校も、会社の取引も、全部その占い師が相性を判断して決める。  占いの内容は姓名判断と四柱推命と、そのほか独自の勘を混ぜたものだ。たぶん。詳しくは知らない。  母曰く、「あんなにすごい占い師の先生が完璧な

      • 彼氏のはなし(どうも良い人のふりを13年間続けているらしい)

        彼氏は出会ってこの方ずっと良い人。 常識人という意味でも、優しいという意味でも、良い人。 それを褒めると、照れ隠しなのか、「良い人のふりやで」と言う。良い人のふりが13年も続いてるなら、正真正銘良い人に違いない。 出会って13年 付き合って10年 ずっと良い人。 今日は彼氏がどれだけ良い人か、のろけたいと思う。 たとえば。尿意爆発寸前に最寄駅でそれを在宅の彼氏に伝えると、先に玄関のドア開けて便器の蓋まで開けて、トイレまでの動線を確保しておいてくれる。「彼氏のどこが好き

        • スーパーの年末年始

          近所のスーパーが3店舗とも、 三が日がお休みだった。 良いことだと思う。 少し前まで、スーパーだろうと百貨店だろうと、年末は通常通り営業して、年始も元旦から初売りをする。 そういう日常と変わりない年末年始に、十数年ほど、うんざりしていた。 年末の29日か30日は時短営業、31日は休み、年始も三が日は休みであってほしい。 そうして町中が静かになり、お寺と神社にだけ、光が灯る。 そういう田舎の年末年始が好きだった。 わたしが5,6歳ぐらいまでは、穏やかにしめやかに過ごしていた

        鳩に棲みつかれてから追い出すまでの話

        マガジン

        • 釣り堀のエッセイ。
          10本
        • 架空の手紙を、 架空のみんなへ送ってる。
          2本

        記事

          良いお年を

          「良いお年を」という言葉が好きだ。 「良いお年を」お迎えください。かもしれないし、 「良いお年を」お過ごしください。かもしれない。 「お迎えください」や「お過ごしください」まで言ってしまわずに、 「良いお年を」とだけ、口々に挨拶する、日本の年の暮れが好きだ。 来年のことかもしれないし、 残りわずかな今年のことかもしれない。 「かもしれない」から、 どっちのことでもあると思いたい。 来年のことでもあるし、 今年のことでもある。 2年分の無事を祈っている。 2年分、と

          良いお年を

          エレベーターのジレンマ

          マンションのエレベーターがちょっと苦手だ。 もっと言うと、マンションのエレベーターで見知らぬ人と同乗するのが苦手だ。 同じマンションに住んでいる、 すれ違えば頭を下げるぐらいはして、 だけど言葉は交わさない。 嫌われると面倒だし、 親しくなっても面倒。 そういう他人と、狭い箱で、ほんの数分を過ごす。できれば避けたい事案。 自分が乗ってるところに、ひとが入ってくる。 これは避けられない。 まさか入らないでくださいとも言えないし、 すれ違いに降りるのも変だ。変というか失礼

          エレベーターのジレンマ

          わたしのヒーロー

          わたしの初めては、小学5年生のときです。 一般的に早いぐらいだったと思います。 すでに、当時の同級生にも1人か2人経験者が居るのは知っていたけれど、悩みを打ち明けることはできませんでした。 想像以上の痛みに泣いてもがきましたが、助けはありません。 ただ、「はやく終われ」と念じるばかりでした。喜びはひとつも感じられず、ベッドのシーツを握りしめて、痛みを逃すことだけに神経を集中させていました。しかしながら、痛みに堪え、痛みから逃れようとすればするほど、思考は痛みに支配されて、

          わたしのヒーロー

          機械的なワークじゃなかった

          携帯会社のコールセンターに勤めていたことがある。 –––というと、「クレーマーが多いんでしょう?」「マニュアル仕事なんだってね」と返されることが多い。どうかすると、「人を騙してお金を稼ぐ仕事なんて最低」となじられることもあった。 そのどれに対しても「ちがうよ」とハッキリ否定するのだけど、あんまり信じてもらえない。 まぁ、いいか。 とそのたびに思う。 あの仕事の喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、かつての同僚とだけ分かち合えればそれでいい。 誇らしい仕事だったことは、

          機械的なワークじゃなかった

          疎遠になった君をどうしてもマジミラに誘いたい手紙

          マジミラ最高だった。 めっちゃ泣いた。 陳腐な言葉しか出てこない。 だって、ぜんぶよかった。 マジミラっていうのはマジカルミライの略称で、クリプトン社ボーカロイドのライブと、関連グッズ販売などの企画展を併催するイベントのこと。つまり、ボカロのライブと物販。 ボカロといえば初音ミク。 稀代のバーチャル・シンガー。 「え、初音ミク…? 生の声が聞けるわけでもないのに、ライブ行く意味ある?」 マジミラ参加者がよくかけられる言葉。たぶん第1位。しらんけど。 いやわかるよ、そ

          疎遠になった君をどうしてもマジミラに誘いたい手紙

          架空の先輩が転勤するときに送る手紙

          先輩が転勤なさると伺ってから、毎日何度も、ご挨拶のお声をかけようとしましたが、お顔をお見かけするとどうしてもできなくて、お手紙を書くことにしました。 わたしが入社したとき、先輩はスーパーウーマンに見えていました。かわいくて、お仕事ができて、優しい。憧れでした。お話してみると更に面白い方でもいらして、非の打ち所がない様にびっくりでした。…ほんとですよ? ヘルプを出すと先輩はいつでも笑顔で駆けつけくださって、本当に安心しました。わたしがどれほど焦心していても、呼吸を整えて落ち

          架空の先輩が転勤するときに送る手紙

          赤信号はちょっと注意して進め、と父に教えられた話

          青は進め、 黄色も進め、 赤はちょっと注意して進め。 それが父の最初の教えだ。 1868年に世界初の信号機導入から1世紀、 1930年に日本に信号機導入から半世紀、 世界各国の交通法と教育は必ず 「青は進んでもよい、赤は止まれ」 と伝えていたことだろう。 赤で進むのは闘牛か野蛮人ぐらいのものだ。 ところが、齢5歳のわたしに父が教えたのは前述の通り、 「赤はちょっと注意して進め」だった。 それが間違いだということは、5歳のわたしにもわかっていた。 ドラえもんも、 アン

          赤信号はちょっと注意して進め、と父に教えられた話

          電子レンジ

          去年の秋に電子レンジを買った。 いままでは中古のもらいものを使っていたのだけれど、引っ越しを機に新しいものを購入した。 それはそれは何日も悩んだ。こっちはあの機能がある、そっちはどんな値段だとたくさん検討して、今のものに落ち着いた。 新しい電子レンジなのだ。 大切に使いたいし、いつまでもキレイでいてほしい。 そう思って、こまめに掃除していた。 できるだけラップを使ったし、庫内専用マットなんかも設置したし、調理のあとは必ずぬれ布巾で拭いた。ときには重曹も使った。 ふふん、な

          電子レンジ