19 ボケっていいね:ルームメイトのおばあちゃん
2017・10・19 @病棟
さっき、不在者投票をした!選挙管理委員会の人ではなくて、病院の総務の人が二人組でわざわざベッドまで来てくれた。いちいち投票用紙と封筒を渡してはカーテンの外で待つというご丁寧なお仕事でした。
ボケがうまいご高齢
今日、お昼の後、うとうとしてしまった。
はっと起きて病室の前にあるトイレに行ってドアを開けたら、電気がついた。目の前に車いすがあって(?)その向こうに便器に乗ったおじいさん(!?)という光景が目に飛び込んできて、一挙に目が覚めた!!
この病棟には、ご高齢の方もたくさん入院しているので、(お?)ってことが時々ある。「おかあさーん、おかあさーん」って遠くで呼んでいるのがおばあさんだったり。新築仕立てだからピカピカのきれいなトイレなのだけれど、ドア開けて入ったら、おむつが生き物のように立てて置いてあったり・・・。(これから使うんだろうか?)と思ってそのままにしておいたけれど、二回くらいそれに遭遇した時には(やはりおかしいな?)と思って看護師さんに報告したら平謝りされた。いや、謝らなくて全然いいのだが・・・。しかし、今日のおじいさんにはさすがに(゚Д゚;)驚いた!
今日は斜め前のベッドのおばあさんの話。割と最近来たひと。半分くらいボケているような感じで面白い。入室したころ、不満がたくさんあって、よく文句を言っていた。
看護師さんがこれから起こることを丁寧に説明するのだが、それをすっかり忘れてしまうものだから、ちぐはぐな会話になってしまう。例えばこんな感じ。
朝、看護師さんに「これからエコーの検査があるから禁食です。」と何度か言われる。
「あら、そうなの。」とおばあさんは言うけれど、しばらくして、看護師さんに「御飯が来ないのはどうして」と聞く。それで看護師さんは「禁食なんですよ〜。検査があるから。」と改めて答える。
すると、「そんなことはだーれも言ってくれなった。それならそうと言ってくれればいいのに、なんでひと言言ってくれないのかな。こっちはずっと待ってるじゃない?」ということになる。看護師さんは「ごめんなさいね。言ってなかったね。」と話を合わせる。
(メモを書いて置いてあげたらいいとおもった)
この間、このおばあさんは、食事が出てからしばらくシーンとしていた。そして様子を見に来た看護師さんに不満をぶつけた。
「ねえ、、、、。どうしてこんなものがここにあるの」明らかに不満気。
「どれですか?」
「これよ。これ、これね!昨日からずっとここにあるものなの。残りものなのよ。」(もちろん新しいものである)
「そうでしたか。ごめんなさい。変えましょうね」
そしてまた「どうしてこれがここにあるの?」から繰り返し。笑
「どうしてお茶の一つもでないの。これさ、ずっと昨日からここにあるの。残り物なの。これはさすがにひどいと思うけど。」とか、
「だーれもそんなこと、ひとっことも言ってくれないで待たせる。そんなのある?」プンスカプン!
とこんな感じ。もちろん看護師さんたちは事あるごとに伝えてるんだけどね。
今朝はこんな感じ。
おばあさん「パンがね、冷たくなってるの。前はあったかかったでしょ。こんな冷めきったままじゃ食べられないのよ。前は焼いてあったでしょ。」
看護師さん「トースターありますから、温めてきましょうか。」
おばあさん「あら、できるの?(喜)じゃあそうして頂戴。」
それから、パンは毎回看護師さんが焼いてきてくれるようになったようだ。
このベッドに来てから、初めはやたらとナースコールしていた。
「どうしましたか。」
「あのね、今日は寒いわよね。それなのに、これ!これが冷たいの!これも、これも冷たいの!」
胸にモニターを付けてるから冷たいようだ。
「そうなんですね。それは検査のために機械をつないでいて、冷えちゃったんですね。暖かくしますね。あ、とっちゃだめなんです。ごめんなさいね。温めますね。」ってな感じ。
モニターされているから、ちょっと何かあるとすぐ看護師さんが来てくれる。
「〇〇さん、大丈夫ですか。」
「ん?どうして?」
「胸のモニターが鳴ってたから様子をみにきました。ご加減いかがですか。」
「ん?そうね、大丈夫みたい。ご心配おかけしました。ありがとう」なんて言う。
そのおばあさんのところには、一度きれいな服装の女性がお見舞いに来ていて親しげに話していたけれど、それ以外はずっと一人でいる。この間は、電話で家族か親戚かなにかと話していた。
「いや、あたしも半分ボケちゃってね、どうも電話の仕方がわからないみたいなの。それで今、ここの人に電話みてもらって、それでやっとかけられたのよ~。ほーんと、困っちゃうね。だんだん死に近づいてるっていうか!ふふふ」とか言って、そのあとは普通に話していた。
ボケてる自覚があるから、何がわかっていて何がわかっていないのか、ほんとに不思議なものですね。
おばあさんの隣のベッドは私の向かいの女の子(と言っても妙齢の)。とっても弱くてよく具合が悪くなる。昼間はお母さんがつきっきり。週に何度か透析室に通っている。耳も遠くて看護師さんは筆談か大きな声で話す。
この間の夜、具合が悪くて、看護師さん2名が必死に対応していた。大きめの声で会話しながら対処していたら、隣の女の子へ話しかけているのに、おばあさんは隣のベッドから
「え!?なに!?」って、自分に話しかけられたかのようにいちいち答えてた。そして、
「あなた方、あなた方、どなた?外の方なの?お仕事の方なの?」とカーテン越しに呼びかける。まあ、姿も見えないカーテンの向こうから話しかけられていると思えば不思議な気持ちになるだろう。
「はい。ここで仕事です。そうです仕事してます。」と看護師さん。手当てに必死だから慌てて答える。
「たいへんね、夜なのに。外から来た方なの?」
「ええと、看護師です。ちょっとお待ちください。今そちらにも行きますから。」
ひとりの看護師さんがおばあさんのベッドへ移動。
「すみません。お隣の方は今、具合が悪くて、、、お耳がよく聞こえないので、大きな声の対応になっています。こちらもすぐご対応しますから、ちょっと待ってください。」
おばあさんはわかったのかわからないのか
「あのね、声が大きいからね、眠れないでしょ!?」
「はい。ごめんなさい。なんとかします。」
と、てんやわんやだった。
看護師さんは大変なんだけど、会話を聞いてたらおもしろくなってしまった。
別の時、隣の女の子のベッドで手当てをしている看護師さんに向かっておばあさんはまた話しかけていた。
「ねえ、あなた、外の方?なんでここにいるの?お仕事で来ているの?」
「はい、来ているっていうか、ここで仕事しています。」
「大変ね~。ここの人はどこにいったのかしらね。あなたお住まいはどこなの。」
どうやら、新米看護師さんみたいだった。
「ええと、、、、寮に入ってます。」
「え?なに?なんていったの?」
「ええと、りょう、、、ええと、ええと、ここから十五分ぐらいのところに住んでます。」
「まあ、そうなの。仕事で来てるの?夜なのに?」
っていうような感じ。和む。笑
お向かいの女の子のこと
家政婦は見た!じゃないけど、、、そんなに耳をダンボにしているわけではなけど、、、、病室にいると会話が耳に入ってくるんですよ。昨日、隣の子のお母さんは「早めの時間に帰る」と言っていた。それだけど、なかなか別れられなくて、娘さんも「まだいて」とごねてた。そうしたらお母さんが「だって、もえちゃん、かわいそうだから」と言った。む?もえちゃん?「いまから帰ったら八時でしょ。もえちゃんおなかすかして待ってるから」って言ってた。
もえちゃんが、妹なのか、猫なのか??わからないけれど、娘さんもそれは納得したらしく同意していた。妹だったとしたら、それはまた切ない話です。
入院時にマイペースで楽しめるとすごくいい
さっき、主治医の話をきいてきた。なるほど!と思うことが多かった。
私が作った食事のノート「腎40(注1)」ノートを提出するところは、傍目から見たら、おそらく夏休みの宿題を自慢する生徒のようだっただろう。先生はほんとに喜んでくれて、いかにこのような殺伐とした(だがしかし私にとっては極楽のような)状態で病院に長く滞在することが患者さんたちにとってストレスフルで難関であるかと話してくれた。「書いたものをなにかにまとめてほしいです。次の人に読んでもらいたい。」って。悦に入る自分。自分は単にラッキーなだけで、もっともっと痛かったり苦しい思いをしている人がいることはわかってるけれど、少しはお役立ち情報があるかもしれないので書いています。
朗報:苦手な食べ物は変えてもらえる
今日、病気のことで勉強になったことは、私の嫌いなゼリーについて。
腎機能が著しく損なわれている現在の私の食事は完全に病院に管理されている。尿蛋白を減らすためには塩分とたんぱく質の制限が必要になるからだ。(その理由はまた別の機会に書くとして)しかし単にタンパク質を食事から減らせばいいというものではないのだ。1日に必要十分なカロリーをとることも同時にとても大事なのだ。したがって、たんぱく質が普通より少ない分、糖分や油などで補給するということになる。だから、おやつに甘いシャーベットやゼリーが出たりしているのだって。だがしかし、私はそれを知らずに、
「甘いものは結構です。ブドウ糖果糖液糖は結構です!」
とばかりに、勝手に捨てたりして、食べるのをスキップしていた。
それは失敗だったよ!実は、腎臓はカロリーを沢山使うからカロリーが足りなくなると「すわ!カロリーが足りない!」って感じて、からだのほうで勝手に妙なところにたんぱく質を作っちゃったり、役に立ちそうだと思って自分の筋肉からたんぱく質とったりすることがあるんだって!お肉が口から入ってこないから、自分の肉を溶かして食べたことにする!!!???
なんとまあ、からだ、賢すぎ!すごくないですか?
おーい!かーらーだー!どこまで臨機応変なんだよぅ!(≧▽≦)
尊敬する!ラブ!
みんなっ!!自分の体を尊敬して!!
朝夕お礼を言って!
トイレに行くたびに神とからだに感謝してほしい!
これ読んでる人みんな!よろしく!
ということで、話を戻すと、ゼリーをスキップしたのはよくないアイデアだった。
「でもゼリーが好きじゃなくて」と主治医に言ったら、
「じゃ、ゼリー禁止にしましょうか!」と主治医が言う。
「え、できるんですか?それ?」
「できますできます。そこらへんは言ってもらえたら、ゼリー禁止で計算してくれるはずです。」
「えーすばらしいですね!そんなことができるですか!うれしい!マフィンやクッキーはおいしかったんです。ゼリーと、あとマーガリンなしでお願いします!」
「お安い御用です。」
やったー!すごすぎる。ゼリーをやめた分のカロリーを栄養士さんは何か他のもので足してくれることになるわけだ。そこまでわがまま聞いてもらえるなんて!ほんとにわたし幸せ!ルンルン!栄養士さんの次の手を待つ。
写真はすごーく美味しかったマフィンのおやつ。手作り。
(注1)腎40って書いてあるのは、腎臓の患者でタンパク質の1日摂取量は40gってことらしい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?