慶應大学SFC合格者の志願書から読み解く戦略(すぐ真似できるサンプル付き)
戦略的な大学受験とは?
総合型選抜AO入試は、テストのスコアーを高得点にすることで一発逆点が可能な一般選抜に対し、中学を卒業した時点からじっくり3年かけて戦略的に行うコツコツ型受験になります。実はこの入試方法は、アメリカの大学入試と非常に告知しておりますが、まだあまり知られておりません。
世界のトップ10に入る名門大学スタンフォードやハーバード大学をはじめ、アメリカの大学では書類選考で大学を志願します。高校4年間(アメリカは4年制です)の学校での成績、活動、アワードなど地道に築いてゆき戦略的に大学へのアピール要素を構築してゆきます。アメリカでは、高校でさまざまな功績を残す機会が与えられます。学期ごとに優秀な成績を収めた人がもらえるHonorsやDean's listがあり4年間の学業が大きく評価され大学受験に有利になります。
これまでの日本の大学受験では試験入学が一般的だった為、アメリカのような高校での功績を形にすることが難しいのが現状です。功績の題材にしやすい部活を使って総合型選抜を利用する学生が多くいます。その為総合型選抜を一芸入試と誤解している人がいるのかもしれません。
総合型選抜試験は、慶應大学湘南藤沢キャンパス(通称慶應SFC)が初めて導入しました。現在では、最も難関な総合型選抜とも言われています。慶應大学SFCの総合型選抜AO入試は、部活動を頑張った程度では評価対象にはなりません。アメリカのように学校で功績を作る機会がないので、自ら功績を作ることが必要になります。高校生活3年間に渡り計画的に功績を作り上げてゆく。これが総合型選抜AO入試での戦略です。
慶應大学SFCの総合型選抜の攻略には、考え抜いた戦略が必要です。自分の自慢大会を開催するのではなく、間接的に自分のスキルを仄めかす。そんな技法が有効的です。人の自慢話を聞くのは結構疲れますよね。志願書も同様です。
このように事実を述べ自分がすごいと自慢をしても中身がない文章は、相手を説得する効果は全くありません。
同じ文面で戦略を考えるとすれば、私ならこんな筋書きを作ります。
慶應大学SFC志願書作成手順 - 材料集め
きっかけや経験談
父が大工であったことから、小さな頃からものづくりに興味がある。
小学校の頃から野球をやっており木のバットの質にはこだわりがある。
バットの持ち手の深みやグリップ細かいことまでよく知っている。
不用なバットが世界中で破棄されているのを聞いたことがある。
WBCで折れたバットがオークションにかけられ高価で売れることを知った。
グリップを利用した再活用法を模索する。
靴べらとして製品化し収益をアオダモ(バットの原料)育成のために寄付し持続性のあるアップサイクルシステムを提案する。
まずは、野球を長年やっていた部活から引き出せるキーワードを模索してゆきます。野球をやってきたからこそ気づけたバットに関するこだわりやそれにまつわる環境問題などに目を向けます。
問題発掘:
野球への参加: 小学校の頃から野球部に所属し、県大会に出場するなどの経験を通じて、野球用具の使用頻度と消耗に気付く。
家庭環境からの洞察: 父が大工であることから、子供の頃より木製品との関わりが深く、木の持つ価値やその特性に興味を持つ。
実際の廃棄の観察: 野球を続ける中で、使い古されたり破損したりしたバットがどのように処分されているかを実際に目にする。
自分の野球体験からバットという道具に出会いそれが環境とどのように連動していたかを知ります。そして問題点を発掘しリスト化してゆきます。
問題認識:
バットの消耗と廃棄: 不用になったバットが破棄される様子を目の当たりにし、その大量の廃棄物としての問題を認識する。
木製品の再利用の潜在性: 木製品についての基本的な知識と経験を活かして、破棄されるバットの持つ再利用の潜在的な価値に気づく。
部活という長い期間をかけたからこそ不要になったバットという存在を認識することができるものです。どんな部活でも気が付かなかった何かがあります。それを模索し認識してゆきます。
問題解決:
再利用のアイディアの模索: バットの持ち手部分の特性や木製品としての知識を活かして、新たな用途や製品を考案する方向性を探求。
解決のための実践: バットの持ち手の特性を利用して、靴べらの試作を開始。そのプロセスを通じて、木製バットの再利用による新しい製品の価値を確認する。
問題の発掘、問題認識、問題解決とという順序で自分が何ができるのか?ということをまとめます。野球部という部活の功績を前面に出すのではなく、野球を長く続けていたからこそ気づけたこと。そしてそれが環境や社会に役立つことにつながったということを野球をやっていたからこその功績としてゆきます。
このような感じでざっと大きな概要を作ってゆきます。これをもとに志願書、自由表記、活動記録、任意提出10点。を総合的に肉付けしてゆきます。
志願書は慶應大学SFCの骨格です。人間の身体で言えば脊髄のようなものです。軸をずらさず全ての書類を1つの作品として作り上げてゆきます。
慶應大学SFCの書類選考は、志願書、自由表記(2枚)、活動記録、任意書類(10点)があります。これらのすべての書類を1つの主張に絡めて構成してゆきます。これらの書類は、目を引く、相手に興味を持たせるものでなければなりません。
これは現実社会のビジネスと同様です。
アメリカの不動産業界で、一億円の家を売る際のスキルを以下のように教育します。
勝負は初めの10秒。だから、玄関周り、ドアを開けた瞬間から初めに入る部屋を見事なまでに飾りモデルルームを作ります。皆さんも経験ありませんか?欲しい洋服が見つ買った瞬間というのは、一瞬だったりすることありますよね。金額が高かろうと安かろうと、人間の脳の心理というものは初めの10秒が勝負なのです。
大学の書類も同様です。パッと目を惹く10秒。これを戦略的に作る必要があるというわけです。
それでは、実際の手順に進みます。慶應大学SFC総合型選抜AO入試では、書類の量が多くて苦労する人が多いです。しかし、言い換えれば多くのものをみてくれる機会があるとも言えます。
とはいえ、大量なデータをみせるには一瞬で目を引かなければなりません。そしてその自分の持ちうるスキルを10秒以内で表現する。
それにはこんな方法があります。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?