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ハロウィンの夜に不思議で少し怖い話でも…いかがですか…?

今夜はハロウィン!色々な仮装をして楽しむイベントですよね~。
魔女やドラキュラ、フランケンシュタインやゾンビ、そしてゴースト!

そんな不思議でちょっと怖い日にぴったりな、こんなお話…聞いていきませんか…?

耳鳴り

これは私が学生の頃に体験した出来事です。
私は集合住宅に家族で住んでいました。

ある日の夕飯時のこと。
唐突に母がこんなことを言いました。

「耳鳴りがした時は、『お先にどうぞ』って唱えるといいんだって!」

(お先にどうぞ…?)

私は昔から怪談やオカルト系のものは大好きだったので、アンテナがピコンと反応しました。そういう類の話かもしれないと。

そんなことを考えていると母に姉が返します。

「そうみたいだね。鈴の音が聞こえたりとかするよね。」

(鈴の音…?ほんとにそれっぽいな…)

とはいえ、私の母も姉もそういう話は苦手なのです。私がそういう話を聞かせたりすると、怒ったりはしないものの「夜に話すのはやめてよ~」などと言われてしまうほど。

そんな二人なので、この話題が出たときは非常に驚いたことを覚えています。
でも私は今まで耳鳴りというものを経験したことがありませんでした。

(もしかしたら、私が考えすぎなだけで耳鳴りってそういうものなのかな…?)

そう思って私は何となく相槌を打っていました。

翌日のお昼、私は自室でゲームをしていました。
PCやSwitch、スマホと色々なゲームを平行して遊んでいたこともあり、2時間もすると目が疲れてきました。

(少し目を休ませないと…)

そう思い、なんとなく画面の外に目を向けました。
その時、

リンリンリンリンリンリンリンリンリンリン…

鈴の音が響き始めました。

(なにこれ…!?)

突然のことに私の頭はフリーズしてしまいました。
妙にリアルな音です。そして他の部屋から聞こえているわけではないことは明らかでした。

その日、私以外の家族はそれぞれの用事で出かけていて、家には私一人しかいません。

私の部屋には、集合住宅の廊下に面した窓があります。しかしいつも締めきっていて、よっぽど大きい音でもない限り聞こえません。

なによりその鈴の音は、窓がある方とは反対の右耳から、それも耳元で鳴らしているほどの大きさで鳴り続けていたのです。

全身に鳥肌がたち、何が起こっているのか理解できませんでした。
恐怖で体が固まってしまい、身動き一つとれません。

しかし昨日の話を思い出し、恐る恐るその言葉を唱えました。

「お先に…どうぞ…」

すると鈴の音は歩き去るように小さくなっていき、やがて聞こえなくなりました。

ホッとして気が抜けた体は冷や汗をびっしょりかいていました。

【耳鳴り 鈴の音】と検索すると色々と出てくるので、もしかしたら怖がるほどのことではなかったのかもしれません。

でも『お先にどうぞ』というワードは検索では引っかからないんですよね…。

母や姉に聞いても、その対処法はどこから聞いたのか覚えていないそうです。

あれは単なる耳鳴りだったのか、それとも別のなにかだったのか。
今でもよくわかりませんが、それ以来耳鳴りのようなものは起こっていません。

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